独特の苦味や風味が楽しめる山菜は、その多くが春が旬。そんな山菜の中でも特に馴染み深いのがわらびです。山菜採りのお土産でいただく事も多いのではないでしょうか。
山菜はアク抜きなどの下処理が面倒というイメージもありますが、わらびもアク抜きが必要な山菜ですね。アク抜きには少し手間がかかりますが、わらびを美味しく食べるためには避けて通れません。またアク抜き後の保存方法も気になるところ。
そんな、わらびのあく抜き方法と、アク抜き後の保存方法についてまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
わらびのあく抜きを行わないといけない理由は?
アクが強く体に悪影響も

わらびは食べる前に、必ずアク抜きしなければなりません。
その理由はと言うと、アク抜きをしていないわらびには、体に悪影響を及ぼす「プタキロサイド」という成分が含まれているからです。プタキロサイドにはビタミンB1を壊す作用があり、摂取しすぎると体がだるくなるといった中毒症状が出てしまいます。
生のわらびを少量口にした程度なら大丈夫と言えますが、そもそもアク抜きをしないと苦くて食べられません。
わらびに熱を加えてアク抜きを行えば、プタキロサイドの毒性は消えるため、必ずわらびはアク抜きするようにしましょう。
わらびのあく抜き方法について

重曹で茹でてあく抜き
わらびのあく抜き方法でおなじみなのが、重曹を使って茹でる方法。少し時間がかかりますが、手順は簡単なのでぜひマスターしましょう。
□材料
- わらび 500g
- 水 1リットル
- 食用重曹 小さじ1(5g)
水の分量はわらびの2倍と覚えておくと、たくさん茹でるときに便利。また重曹は入れすぎるとわらびが溶ける恐れがあるため、水に対して重曹は1%以下としましょう。
- わらびは流水で洗い、根本から3センチ程度を切り落とします。
- 大きい鍋にお湯を沸かします。
- 沸騰したら火を止めて重曹を加えます。
- わらびを鍋に入れてから火をつけ、軽く混ぜます。
- 再び沸騰したら火を止め、落し蓋をして一晩(6時間程度)置きます。
- 水を入れ替えて10分程度置きます。
- 味見をして苦かったらもう一度水を取り替えて10分ほど置きます。
- 味のアクセントとなる程度の苦味となっていたら、アク抜きは完了。
わらびは沸騰した状態で長く置くと食感が悪くなるので、再沸騰したらすぐに火を止めることが大事です。苦味は完全に抜いてしまうと味が物足りなくなるため、少し残るぐらいを目安としましょう。
□わらびのあくぬき―山形県最上郡鮭川村
https://youtu.be/MOQifvTmFzo
*平らな容器にわらびを並べ、そこに重曹入り熱湯をそそぐ方法でもアク抜きできますよ。
アク抜きした後のわらびの保存方法
冷蔵庫や冷凍庫での保存
あく抜きしたわらびは、冷水につけた状態にすれば冷蔵庫で保存可能。毎日水を交換すれば1週間程度保存できますが、味が落ちるので3日をめどに食べきります。
冷凍保存する場合は、水気を拭き取ってから食べやすい大きさにカット。ファスナー付きビニール袋に入れて空気を抜き、冷凍庫で保存すれば1ヶ月程度保存が可能です。
食べる時は凍った状態で調理し、自然解凍しないようにしましょう。
塩漬けで保存
昔ながらの保存方法に、塩漬けがあります。1年程度の保存が可能なので、一年中わらびが楽しめますよ!
□材料
- あく抜きしたわらび
- 塩 1キロ程度
- 煮沸消毒をして乾燥させた保存容器
- 落し蓋
- わらびの7割程度の重さの重石
※保存容器は漬物用がおすすめです。
※重石は水を入れた瓶などでも代用可能です。
- 保存容器の底が見えなくなるまで、塩を敷き詰めます。
- わらび→塩→わらび→塩の順で、容器に入れます。
- 最後にたっぷり塩を敷き詰めてから落し蓋と重石をして、冷暗所で保存します。
食べたい時は、塩抜きを行ってから調理に使いましょう。
□調理前に塩抜きする方法
- 大きめの鍋にお湯を沸かします。
- 沸騰したら塩を落としたわらびを入れます。
- 再沸騰したら火を止め、冷めるまで待ります。
- 冷めたら流水で洗い、調理に使います。
塩抜きしても塩味少しは残るので、調味料は薄味を心がけましょう。
天日干しをしてから保存

あく抜きしたわらびを天日干しすると、やはり1年程度保存が可能に。栄養価や旨味も濃縮されるので、この点もうれしいですね。
□わらびの天日干し方法
- あく抜きしたわらびをザルなどに並べて広げ、風通しと日当たりの良い場所で干します。
- やや乾燥したら、優しく全体を揉みます。
- 何度か揉みながら、完全に乾燥するまで数日間干します。
- 清潔な密封容器に乾燥剤と共に入れ、冷蔵庫や冷暗所で保存します。
天日干ししたわらびを使う時は、半日程度水につけてから、新しい水とともに鍋に入れて沸騰するまで加熱。沸騰したら火を止めて水洗いし、軽くもんで柔らかくしてから料理に使いましょう。
わらびを一年中味わおう!
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わらびは山菜の中でも身近なもので、煮物や混ぜご飯に入れると美味しいですよね。また初心者でも採取しやすい山菜のため、いただくことの多い山菜の一つ。
ただしそのまま食べるとエグみが強く、また体に良くない成分も含まれます。しっかりあく抜きすれば安心して美味しくいただけますし、長期保存も可能なんですよ。
野菜不足に困ったときなどに、あく抜きをして保存したわらびを活用しませんか?
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