和菓子には見た目にも美しく、食べるのがもったいなくなるものがあります。茶会の席では季節感を取り入れた和菓子が登場し、私達の目を楽しませてくれますよね。
そんな和菓子の中に「上生菓子(じょうなまがし)」というものがありますが、どんな和菓子なのでしょうか?また上生菓子にはどんな種類があるのかも気になるところ。
そんな「上生菓子」について、生菓子との違いや、どんな種類があるのか?について紹介しますので、ぜひ覚えてくださいね!
上生菓子とは?生菓子との違いは?
和菓子の技術が詰まった最高級品
和菓子は、まんじゅう・ようかん・せんべいなどの、日本の伝統的なお菓子全般を指す言葉です。
上生菓子は、そんな和菓子の中でも、特にこだわりをもって作り上げた和菓子を指します。原材料は厳選されたものだけを使い、職人の手によって手作りされています。
また草花や自然をモチーフに使うことも多く、見ただけで日本の四季が感じられます。もちろん、そうしたこだわりがあるだけに、味も美味しく、お茶に合う甘さが楽しめますよ。
上生菓子は限定商品も多い
上生菓子は季節感を大切にすることから、季節限定で売り出されることが良くあります。またお茶会や特別な席のためだけの、「その場限りの上生菓子」が作られることもあります。
お茶の席でいただいた上生菓子が美味しくて、後で探しても2度と食べられない和菓子だった…なんてこともあるんですよ!
「菓銘」がつけられる
上生菓子には、「菓銘(かめい)」と呼ばれる名前がつけられています。
菓銘は季節や自然から付けられることもあれば、古典文学から取られることもあります。
例えば、紅葉をモチーフとした上生菓子には、「竜田」という菓銘がよく使われます。これは奈良県に流れる「竜田川」が、紅葉の名所として知られているからです。
平安時代の歌人・在原業平が、
「ちはやぶるる 神代もきかず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは」
…と和歌をよんだことから、現在でも多くの人が訪れるほどなんです。
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このように菓銘から想像を巡らせる楽しさも、上生菓子の特徴となりますね。
上生菓子は生菓子の特別なもの
和菓子は、一般的に水分量の多さで、
・生菓子 …水分量30%以上
・半生菓子 …水分量10%~30%
・干菓子 …水分量10%以下
の3つに分類されます。
「生菓子」は水分量がおよそ30%以上(和菓子によっては40%以上)含有するものを指しますが、上生菓子はその中でも、特に製法にこだわって手作りしたものだけを指す言葉です。
上生菓子は、生菓子の一種であり、さらに特別な和菓子と言えますね。
上生菓子にはどんな種類があるの?
練り切り
練り切りは白あんに砂糖や山芋などを加えて練り上げた、「練り切りあん」を使った和菓子です。白あんは、白いんげんや白あずきから作られるあんこで、上品なあっさりした味わいが特徴なんですよ。
練り切りは程よい柔らかさと粘り気があるため、細工しやすい特徴があります。色も白いため着色しやすく、和菓子職人が思い描いたイメージの上生菓子を作りやすいんですね。
練り切りだけで上生菓子を作ることもありますし、中に別のあんを入れた上生菓子を作ることもあります。
こなし
「こなし」は白いこしあんに「上用粉(じょうようこ)」という米粉や小麦粉を混ぜて蒸し、甘みを付けた生地です。練り切りよりも柔らかく、味もさっぱりしていますね。
粘り気が少ないため加工が難しいことから、思いのままに扱うという意味の「こなし」と名付けられました。練り切りのように使うことが多いので、練り切りと食べ比べてみたいですね。
求肥
求肥(ぎゅうひ)とは、白玉粉などの餅粉に砂糖や水飴を加えて練った、和菓子の材料です。砂糖や水飴が多く使われるため、練り切りやこなしよりも甘みが強い特徴があります。
求肥だけを使った「羽二重餅(はぶたえもち)」は、白さと柔らかさから上生菓子として使われることがあります。また、あんを包んだ求肥を梅漬け用のシソの葉で包んだ、「甘露梅(かんろばい)」という上生菓子もよく知られています。
薯蕷饅頭(じょうよ まんじゅう)
こなしを作る時に使う「上用粉」は、「薯蕷(じょうよ)粉」ということがあります。薯蕷とは山芋のことですが、上用粉には山芋は使われていないんですよ。
一方で「薯蕷饅頭」(じょうよ まんじゅう)では、上用粉や上新粉にすりおろした山芋を混ぜて生地を作り、あんを入れて蒸し上げます。普通のおまんじゅうよりもしっとりとした食感と、素材本来の上品な味わいがたのしめるんですよ。
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特別な席に上生菓子を
特別なお客様をお迎えする時は、美味しいお茶やお菓子でおもてなししたいですよね。
上生菓子は美しい見た目と上品な味わいが、おもてなしの席によく合います。職人の手によって作られたものが多く、場合によってはその場限りのものもあります。
上生菓子はお茶を飲む前提で作られているものも多いので、良いお茶と一緒にいただきたいですね。
目でも名前でも味わうことができる上生菓子で、特別な席を粋で素敵な場にしましょう!
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