
夏バテに効果のあると言われるうなぎは、蒲焼にしてからご飯に乗せて食べるのが一般的。うなぎ屋さんに行くと、「うな重」や「うな丼」というメニューをよく見かけますよね。
ところで「うな重」と「うな丼」には、どのような違いがあるのでしょうか。家で作るときはともかく、お店ならではの違いがあるのか気になりますね。
そこで、うな重とうな丼の違い、また他にもひつまぶしの由来や食べ方についても紹介します。
うな重とうな丼の違いとは?
「肝吸い」のありなし?
- うな重は、「漆器の器」に盛られるもの
- うな丼は、「丼」に盛られるもの
という違いがあります。
それ以外でのわかりやすい違いとしては、「肝吸い」の有無が挙げられます。
肝吸いとは、うなぎの内蔵の一部が具として添えられたお吸い物のこと。「肝」と言いますがウナギの肝臓ではなく、胃とその周囲の臓器の一部が使われます。
- うな重には肝吸いが添えられる
- うな丼には肝の付かないお吸い物が添えられる
・・という場合が多いようです。
うなぎの量?
うな丼とうな重は一見すると、量が変わらないように見えることがあります。しかし同じ量に見えても、うな重のご飯の中に蒲焼が隠されていることがあるんですね。
実はうな重は、ご飯とうなぎが重なっているから「うな重」という地域もあります。この場合だと、見た目はうな丼と同じでも、うなぎの量はうな丼の2倍近い事もあるんですよ。
うなぎの質?
ご飯の量もうなぎの枚数も同じな場合、うなぎの質が違うことがあります。
例えばうな重ですと、
- 身が厚くてふっくらしている胴体部分
を使うことがあります。
これがうな丼となると、
- 身が薄くて骨が増える頭や尾に近い部分
を使うことがあります。
また同じ胴体を使用していても、
- うな重では天然うなぎ
- うな丼では養殖うなぎ
を使用することがあります。
うなぎの産地が明記されていない場合は、うなぎで差をつけていることも多いんですよ。
サービスの違い?
実はうな丼とうな重には、器以外の違いがないというお店もあります。
今でこそうなぎは高級食材ですが、江戸時代のうなぎは美味しくないとされていました。しかしうなぎを開いて炭火で焼くことで程よく油が落ち、タレを染みこませることで美味しい蒲焼になります。
こうしてうなぎの蒲焼が食べられるようになりましたが、庶民が食べる大衆食という扱いでした。
□うなぎ大黒屋蒲焼
https://youtu.be/3mqKjQkV_cY
*この美味しそうな焼き方も、昔の方の知恵が生み出したものなんですね。
大衆食の蒲焼を上品にするために、丼ではなく漆器に入れたのがうな重です。そのためうな丼より値段が高いのは、「お店のサービスの質が違う」という場合があります。
ちなみに「ひつまぶし」とは?
お櫃にうなぎとご飯を盛る
最近ではうな重・うな丼に加えて、「ひつまぶし」にして食べる方も増えています。
ひつまぶしは明治時代以降に生まれたと言われる、名古屋発祥の食べ方です。
ひつまぶしは丼などではなく、お櫃に盛られていることがほとんど。別に茶碗が添えられていて、ウナギとご飯を茶碗に盛って頂きます。またネギ・わさび・ノリなどの薬味と、だし汁やお茶が入った急須がセットになっています。

ひつまぶしが生まれた背景や由来は?
ひつまぶしが生まれた背景や由来は諸説ありますが、次の様な説が主流ですね。
○説1:
元々名古屋でも、東京と同じく鰻の蒲焼を丼やお重に入れて食べていました。ところが出前の注文が入ると、漆器や陶器の器が重く割れてしまう事があったんです。そこで割れにくい木製の大きなお櫃に変え、複数人分をまとめて出前するようになりました。
○説2:
ウナギを酒の席で頂いた時に、最後にさっぱりと食べたいという意見もありました。そこでうなぎとご飯の残りにお茶を加え、お茶漬けにしてサラサラといただきました。
いくつかの説がありますが、いずれにしてもこうした由来から、名古屋名物「ひつまぶし」が生まれたと言われています。
一度に三度の美味しさ!
ひつまぶしのおいしい食べ方は次の通りです。
- まずはお櫃の中でご飯とうなぎを四等分にします。
- 四等分にしたら1/4を茶碗に盛り、普通に頂きます。
- 次に1/4を盛ってネギやわさびなどの薬味を添え、うなぎとご飯を混ぜて頂きます。
- 更に1/4を盛ってお好みで薬味を添え、だしやお茶を掛けてお茶漬けとして頂きます。
- 最後の1/4は気に入った食べ方で頂きます。
これが、ひつまぶしの美味しい食べ方です。三通りの楽しみ方がある上に、最後にお気に入りの食べ方ができるなんてとても贅沢ですね。
□ひつまぶしの正しい食べ方
https://youtu.be/iIqnYu2AqkI
*見ていると、本当に美味しそうですよね!
お店の人に聞くのもあり
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うな重とうな丼の違いは、お店によって様々です。違いが書かれていない場合や、値段が同じ場合はお店の方に聞いてみるのも良いでしょう。
値段もうなぎの質も量も違いがなければ、丼の持ちやすさや食べやすさで選ぶのもアリ。せっかく美味しいうなぎを頂くのですから、モヤモヤしたまま食べてはもったいないですからね。
うな重とうな丼の違いを理解して、美味しく夏を乗り切りましょう!
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