昔から使われていることわざには、動物や魚に関連したものも多くあります。身近な存在である動物や魚に例えられると、覚えやすく便利ですよね。
そんなことわざの一つに、「鯉の滝登り」があります。ビジネスシーンにおいても良い意味で使うことが多いことわざですね。
そんな「鯉の滝登り」の意味や由来、そしてビジネスシーンにおける使い方について紹介していきます。
鯉の滝登りの意味とは?
ものすごい勢いで出世していく
鯉の滝登りとは、次の意味があることわざです。
- 驚くほど早さで、出世すること。
- ものすごく勢いの良い様子。
滝を駆け上ることは、水流もあって大変ですよね。そこを鯉が難なく登っていく様子を、出世の早さや勢いの良さに例えています。
ちなみに鯉はパワフルな魚で、池で跳ねたり餌をねだって寄って来る様子はとても元気に見えます。滝も登りそうではありますが、実際は滝を登ることはできません。
その代わり渓流などで、流れに逆らって泳ぐことができるんですよ。
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5月5日の鯉のぼりも
5月5日の「端午の節句」には、男の子の健やかな成長を願って「鯉のぼり」を飾ります。この鯉のぼりも「鯉の滝登り」が、深く関係しています。
もともと端午の節句は、武士階級で鎧兜と菖蒲を飾って男の子の成長と出世を願いました。一方で商人階級では「鯉の滝登り」にあやかり、吹流しに錦鯉の絵を書いて外に飾るようになりました。
これが魚型の「こいのぼり」となり、現代まで伝わっているんですね。
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鯉の滝登りの由来
中国の「竜門」の故事から
鯉の滝登りということわざは、中国の故事から生まれた言葉です。
中国を流れる黄河には、「竜門」と呼ばれる激流地帯があります。その流れは滝のように激しいのですが、鯉が登りきると竜になるという伝説が残されているんです。
この伝説がやがて日本に伝わり、「鯉の滝登り」ということわざとなり、出世するという意味となりました。
鯉の滝登りの類義語は?
登竜門
鯉の滝登りと同じ由来の類語に、「登竜門」があります。
登竜門は黄河の竜門のことで、出世や大活躍のために試験や審査を突破する事を指します。また活躍するための審査や試験そのものも、登竜門と呼びます。
うなぎのぼり
この他の類語に、「うなぎのぼり」があります。
意味は「ある物事の人気や価値が、急上昇する」というもの。うなぎも流れに逆らって川をさかのぼることができるから、このことわざが生まれたんですね。
ただし鯉とは違って滝には登らないので、「うなぎの滝のぼり」のような言い間違えには注意してくださいね。
ビジネスシーンにおける鯉の滝登りの使い方
出世した人に
ビジネスシーンでは、鯉の滝登りは次のような場面で使いたい言葉です。
- 昨年4月に入社したのにもう課長になったんですか?まるで鯉の滝登りですね!
- 同期の一人が鯉の滝登りのように、あっというまに役員になった。
鯉の滝登りは出世の早さを例える言葉なので、会社の役員や同期に対して使う場面が多くなります。同期の早い出世や、異例の抜擢で役職についた若い人に対して使うと、よりわかりやすいですね。
業績や成績に対して
驚くほどの勢いで業績が上がったときにも、鯉の滝登りは使われます。
- この商品は一ヶ月で昨年度分の売上を出し、まるで鯉の滝登りのようだった。
- 映画にドラマにバラエティにと活躍する彼女は、本当に鯉の滝登りと言える存在だ。
短期間で大ヒットした商品や、一気に人気が出た俳優・歌手に対して使うとぴったりですね。
鯉が竜となるように!
鯉の滝登りは、鯉が滝を登って竜になるという、中国の故事から生まれたことわざ。ものすごい勢いで出世するという意味があります。
実際の鯉は滝を登りませんが、滝を登るほどの勢いは感じられる言葉ですね。誰よりも早く出世したり大人気となる裏では、人知れず努力や工夫を重ねているのかもしれません。
鯉が竜になれるように、自分も頑張って「鯉の滝登り」と言われるようになりたいものですね。
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