
昔から伝わることわざには、人生において参考になる部分がたくさんあります。一方でその言い回しから誤解され、違う意味で広まってしまったことわざもあります。
そういったことわざの一つとしてあげられるのが、「果報は寝て待て」。
実はこのことわざは人によって意味のとり方が違うことがあるんですが、本来はどの様な意味になるのでしょうか。
「果報は寝て待て」の意味や由来、反対の言い方や英語での表現について紹介します。
「果報は寝て待て」の意味
良いお知らせを待とう

「果報は寝て待て」ということわざには、次のような意味があります。
「果報」とは良いお知らせと言う意味で、ここではチャンスや幸運という意味で使われているものです。
チャンスや幸運は、欲しいと望んでいても、なかなか巡ってくるものではありません。なので、その時が来るのを待とう、という意味があるんですね。
「寝て待て」は寝てはいけない?
「幸運は寝て待っていれば転がってくる」と解釈する人もいますが、これは誤った解釈。というのもこの「寝て待て」は、最初から何もしなくても良いという意味ではないからです。
例えば、宝くじは当選確率が低いですが、そもそも購入しなければ当たりませんよね?
当たるためにはまず宝くじ券を購入することが大切で、その上で購入枚数を増やすなどの努力を行う。その上で最後は当たることを願い、発表当日を待つこととなります。
このように吉報をつかむために自らできる事を行い、後はじたばたせずにその時を待つ。
これこそが「果報は寝て待て」なので、何もせず待つだけではダメなんですよ。
果報は寝て待ての由来は?
仏教の教えからきた言葉

意味が誤解されやすい「果報は寝て待て」のことわざですが、元々は仏教の教えからきた言葉です。
果報とは仏教の教えにおいて、「人の行いは巡り巡って良い方向にあらわれる」ということ。
ただし、あらわれるのは現在の人生(現世)ではなく、来世において発揮する可能性もあります。あるいは、前世で良い行いをした結果、現世でチャンスに恵まれるのだと言います。
運といったどうすることも出来ない領域も、努力を重ねればいつか必ずチャンスが訪れるかもしれません。
なのでやるべきことをやったら、後は吉報を待ちましょうと仏教では説いています。
改めて言いますが、「何もせず寝て待っていれば良い」という意味ではないんですよ!
「果報は寝て待て」を英語で言うと?
待っている人の元へ良いことが
仏教の教えからきた「果報は寝て待て」ですが、英語でも似たような言葉はあるのでしょうか。
実は英語にも似たようなことわざや格言があり、次のような言い方をします。
- Everything comes to him who waits.
待つ人の元へは、すべてのものがやってくるし、願いも叶えられる
- Good things come to those who wait.
良いことというのは、待っている人のもとへやって来る。
ニュアンスとしては、待てば良いというよりも、努力を重ねてその時を待つべきだというもの。
果報は寝て待てと同じく、何もしないで待っていれば良いという意味ではありませんね。

「果報は寝て待て」の反対の意味を持つことわざは?
「果報は寝て待て」と、反対の意味にとれることわざもいくつか存在しますので、合わせてご紹介します。
蒔かぬ種は生えぬ
これは何事も自分から動いたり努力しなければ、結果は出てこないという意味のことわざ。しかし、果報は寝て待ても、本来は努力した末に待つという意味。
反対というよりは、実は似た意味を持つことわざです。
思い立ったが吉日
「何かを思いついたのなら、良い日を待つのではなくその日のうちに実行しよう」ということわざ。
行動を起こしたからその日が良い日になるんですよ、という意味でもあります。
待たずに動くという点では反対の意味ではありますが、行動を起こす点では同じなんです。
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虎穴に入らずんば虎子を得ず
「何事も危険を避けてしまっては、成果は得られない」という意味のことわざ。
失敗する可能性があっても待たずに動く点が、反対の意味に取れますね。
運を待つは死を待つに等しい
「運頼みではどうすることもできず、最悪の結果を招くことになる」という意味の格言。投資の世界で使われる言葉で、待つのではなく考えて行動するべきだという意味で使われます。
果報は寝て待てだとチャンスを待ちますが、こちらはチャンスに頼らず行動するという事ですね。

努力の積み重ねが大事
「果報は寝て待て」という言葉を聞くと、楽して待っていればよいと言う意味に感じてしまいがち。それは「寝て待て」をそのまま受け取ってしまうからで、本来は努力した末に後は待とうという意味の言葉。
努力を積み重ね、あとはチャンスが来るその時まで待つのが本来の意味なんですよ。
そのため、何もしないで待つ理由に使うのは間違い。努力している人に対してこそ使うべきことわざです。
出来ることはすべてやりきって、その後にやってきたチャンスをつかみ取りましょう!
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