漢字の使い方の間違いは、できることなら防ぎたいもの。しかし同じ音で似たような意味がある漢字もあり、注意していても間違えやすいものです。
例えば、日常的に使うことの多い、「固い」「硬い」「堅い」もそんな迷いやすい言葉。それぞれ漢字が違うのに読み方は同じで、意味も似ていますよね。
ですが、あるポイントを抑えておくと、違いや使い分けがしやすくなるんですよ!
そんな、固い・硬い・堅い、それぞれの違いや使い分け方について紹介します。
固い・硬い・堅いの違い
固いとは?
固いには、次の意味があります。
- 全体がしっかりしていて、形が変わらない。
- 外部からの影響を受けない。
- 頑な(かたくな)であること。頑固。
物や気持ちがしっかりしていて、外部の影響・意見で変わることがない。そういった「かたさ」が、固いにはあるんですね。
また固いの反対語には、次のものがあります。
- 緩い(ゆるい)
- 柔らかい
- 軟らかい
「緩い」は、水分などを含んで柔らかい状態であるということ。また張りがなく隙間などが存在する、寛大であるという意味もあります。
ちなみに「柔らかい」と「軟らかい」の違いは、対象となる物の「かたさ」によるもの。
- 一度変形しても自然に戻るなら「柔らかい」
- 変形すると自然には戻らない場合は「軟らかい」
を使用します。また物事の考え方に対しては、「柔らかい」を使います。
堅いとは?
堅いには、次の意味があります。
- 中身が充実していて、しっかりしている。
- 品質などがしっかりしていて、確実である。
- しっかりした性質をもつ、人や物。
「しっかりしている」とは、物事の基本が安定している様子を表す言葉。また人柄・考え方が安定していて、信用出来る人という意味もあります。
これらを合わせて、人柄や品質が安定していて確実性がある状態を「堅い」と表現。物理的な頑丈さもありますが、安定感と安心感がある状態を表しているんですよ。
ちなみに堅いの反対語は、次の3つ。
- 脆い(もろい)
- 柔らかい
- 軟らかい
「脆い」は、崩れやすい・壊れやすいという意味の言葉。考え方や品質に安定性がなく、すぐに形を保てなくなってしまう事を表しています。
硬いとは?
硬いには、次の意味があります。
- 材質が密になっていて、形が変わることがない様子。
- ぎこちなく、こわばっている。
- かたくるしい。
「固い」の意味と似ていますが、硬いは力強くあって影響を受けない状態。一方で人の心持ちを表す場合は、未熟・不慣れであることを表現しています。
そんな硬いの反対語は、次の2つ。
- 柔らかい
- 軟らかい
硬いでは、こちらの2つのみが反対語となりますね。
固い・堅い・硬いの違い、まとめ
固い・堅い・硬いの違いを簡単にまとめると次の通りです。
「かたい」 | 意味 |
---|---|
固い |
|
堅い |
|
硬い |
|
意味が似ていて迷いがちですが、わかりにくい時は、反対語(緩い・脆いの違い)の特徴を思い浮かべるといいですね。
固い・堅い・硬い、それぞれの使い分け方
固いは「かたい」全般に
固いには、「外部がしっかりしている」という意味があります。そのため「かたい」全般の表現、特に物事に対して使いやすいですね。
- 靴紐が固く結ばれていて、なかなか解けない。
- 固い信頼に支えられ、創業30周年のこの日を迎えることが出来ました。
人が関係する場合は、
- あの男は頭が固いので、説得は難しい。
…のように、頑固さを表す時に使いましょう。
堅いは気持ちに使いやすい
堅いには「しっかりしている」という意味があるため、確実性があるという意味で使用します。また信頼が置ける人を表現するのにも、堅いはピッタリです。
- 手堅い商売を行っているので、あの人は信用出来る。
- 堅い守備が売りの選手。
- 口は堅いので安心してほしい。
硬いは物と気持ちに
硬いに関しては、材質が石や岩のように頑丈である場合に使うと最適。また心の有り様も、岩石のようにこわばっている時にもピッタリですね。
- このパンは硬すぎて歯が立たない。
- コンクリートが硬くて、ドリルの先端が欠けてしまった。
- 表情が硬いが、緊張しているのか?
「かたい」は絶妙な違いで使い分け
固い・堅い・硬いは、それぞれで「かたさ」の表現が異なります。
- 固いは、物品全体に使え、また頑固な気持ちを表したい時に、
- 堅いは、物自体の丈夫さもそうですが、信用できる安心感を出したい時に、
- 硬いは、岩石のような頑丈さがあり、気持ちもこわばっているような時に、
それぞれ使用します。
これらの違いは、ある意味わかりにくく絶妙なんですが、上手に使い分けて表現したいですね。
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