立ち食いそばから名店までと、蕎麦(そば)にも様々なスタイルがありますよね。また食べ方も「かけそば」などの温かいものや、「もりそば」「ざるそば」などの冷たいものと多彩です。
特に「もりそば」「ざるそば」は、その店の実力がわかると言われるほど。
そんな「もりそば」と「ざるそば」は似ていますが、違いがどこにあるのか知っていますか?また「せいろそば」はどう違うのでしょう?
もりそば・ざるそば、そしてせいろそばの特徴や違いについてまとめましたので、そば屋に行かれる時にはぜひ参考にしてくださいね!
もりそばとざるそばの違い
「もりそば」とは
お蕎麦(そば)が現在のような形になったのは、江戸時代に入ってから。当時の主流は「蕎麦切り」というもので、切った蕎麦をつゆに付けて食べるものでした。
今回紹介する、もりそば・ざるそばと同じ食べ方ですね。
しかし忙しい江戸庶民の要望に応えるために、先につゆをかけた蕎麦が誕生。「ぶっかけそば」と呼ばれたこの蕎麦は、現在の「かけそば」の元祖となりました。
ぶっかけそばが流行した際に、それまでのお蕎麦との区別が必要に。
そこで蕎麦を器に盛り付けることから、「もりそば」と呼ばれるようになりました。
「ざるそば」とは
さるそばを考案したのは、江戸中期に深川にあった「伊勢屋」というお店です。
当時のもりそばは、せいろや皿に蕎麦を乗せて客に提供していましたが、伊勢屋では、竹のざるに蕎麦を乗せて提供するようになりました。
すると見た目にも涼しげで美味しそうだと、新しもの好きの江戸っ子に大受け!竹ざるに乗ったお蕎麦、ということで「ざるそば」と呼ばれるようになったんですね。
違いは、器と海苔と価格
さるそばは明治時代に入ると、次のような違いが出るようになりました。
- もみ海苔や切り海苔を乗せる。
- つゆに一番出汁を使用したり、みりんを加えてコクやうまみを出す。
- そば粉もより良いものを使用する。
- 高級感を出すために、もりそばよりも50円~100円程度高めに設定する。
そば粉や出汁にこだわれば、その分価格が上がるのは当たり前。しかしお店によっては「器が違うだけ」という理由で価格を上げていることもあるんですね。
ちなみに「せいろそば」とは
違いは「せいろ」
もりそば・ざるそばと共に、せいろそばを提供しているそば店もあります。
せいろそばの「せいろ」とは調理器具の一種で、木や竹の枠に蒸気が通るよう「すのこ」を敷いたもの。
実は江戸時代初期のお蕎麦は、せいろで蒸した温かいお蕎麦を客に提供していました。
これが現代まで続き、「せいろそば」となったと言われています。
現代では温かい蕎麦ではなく、もりそば同様冷たいお蕎麦を提供することが多いせいろそば。違いは器だけなので、もりそばのあるお店ではせいろそばを出さないことがあります。
苦肉の策のせいろそば
せいろそばには、もう一つの由来があります。
それは、
- お蕎麦屋さんの値上げ
- 幕府の対応
に関係していることなんですね
江戸末期のある時、お蕎麦屋さんが蕎麦の値上げを行いたいと要求しました。しかし幕府は、値上げ要求を拒否。その代わりに「器を工夫して、蕎麦の量を減らせばよいのでは」と提案します。
そこで蕎麦屋さんは「せいろ」を底上げし、蕎麦をうず高く盛り付けることで対応したと言われています。
見た目は変わらず価格も同じ、しかし量は減った「山盛りせいろ」が誕生。その後「山盛りせいろ」から「山盛り」の部分が抜け、現代までつづく「せいろそば」となりました。
もりそば・ざるそばとの違いは?
最後に「もりそば」「ざるそば」「せいろそば」の、それぞれの違いをまとめました。
蕎麦(そば) | 特徴や違い |
---|---|
もりそば |
|
ざるそば |
|
せいろそば |
|
その日の気分で、美味しく蕎麦を楽しもう
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お蕎麦屋さんのメニューは意外と多く、つい迷ってしまいがち。
その中でも、もりそば・ざるそば・せいろそばは、見た目も似ていることからどれも同じだという人もいます。
- お財布に優しくて器に盛られた「もりそば」
- せいろに盛り付けた「せいろそば」
- ワンランク上のお蕎麦が楽しめて、竹ざるに盛り付けられた「ざるそば」
と覚えておくと安心ですね。
日本人が大好きなそば。その日の気分やお財布の中身と相談して、美味しいお蕎麦を楽しみましょう!
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