「車にはじゅうぶん気をつけて!」
…と書くとき、あなたは「充分」、「十分」どちらの漢字を書きますか?
この2つの単語は同じような言葉ですが、どんな違いがあるのでしょう?また、どう使い分けることが正しいのでしょう?もしかすると、間違って使っていたのかもしれませんね。
そんな気になる、充分と十分の言葉の違い、また使い分けについて紹介していきます。
充分と十分の違い
十分の意味
まず、「十分」という文字を見てみましょう。
慣用句で「腹八分目」や、「十二分に頑張った」という言葉がありますね。
- 「腹八分目」は、少し余裕を残している様子
- 「十二分」は自分の容量を超えるぐらいの様子
と表されます。
このように数字を使った慣用句は一、二、三、と増えるにつれて、満たしていく様子として表現されます。
段々と数字が増えていって、そしてとうとう十まで達すると、もう「満杯状態!」です。この状態を「十分」と表記します。
充分の場合は?
それでは、「充分」の場合はどうでしょうか。
「充」を使用する他の言葉を見てみましょう。
- 充実
- 充足
- 充填
これらは数字のようなわかりやすいものでなく、「あ~満杯だな~」と感覚的な言葉として「充分」と表記されます。
簡単にまとめると、
- 「十分」は数量的に満たされることで、客観的に見ても満たされていること
- 「充分」は計測できないもので、主観的に見て満たされると感じること
…と判断することができます。
「十分」と「充分」は、全く同じ発音で似ている言葉ですが、中身は少し違わけですね。
十分と充分はどう使い分ける?
それでは「十分」と「充分」は具体的にどのようにして使い分けるのでしょうか?
どちらも「もう足りている」という状態で使用します。これが数値的に満杯なのか?感覚的に満杯なのか?の違いぐらいなのです。
例えばこちらの画像はダイエットのために、筋トレしている女性です。
この画像のように「ダイエットはもうじゅうぶんした」という場合、どちらの「じゅうぶん」が入るかわかりますか?
正解は
- 体重の数字が理想的なものならば「十分」
- 数字は関係なくここまで痩せて満足な時は「充分」
と、使います。
他にも、感謝をするときに
「そのお気持ちだけで十分です」と書くよりも、「お気持ちだけで充分です」と書いた方がベストです。「ありがとう、その気持ちだけで満たされています」という情緒的な感情を示すことができるんです。
逆に、食事会の皿の枚数が足りているか確認するときに「お皿は10枚で充分です」というのは少し変なのです。
この場合は「お皿は10枚で十分です」となります。
お皿の枚数は情緒的な感情で減ったり増えたりしませんよね。そこで「十分」を使うのです。
もう一つあげましょう!
この画像の「5つのドーナツ」を一人で食べるとします。
このドーナツの量でもう満足という場合は「充分です」となります。これを5人で1個ずつ分けると、数は足りているので「十分」となるのです。
■お腹いっぱいになる赤ちゃん
こちらの動画の赤ちゃん、まだ飲もうと思うと飲めるけど、満足したから眠たくなってきたようです。
こういう場合は「充分」ということになります。感情的にお腹が満たされていますからね。
良くわからない場合は、十分を使用してもOK
「充分」と「十分」の言葉の意味や違い、そして使い分けについて見てきました。
ただ現状を言うと、そこまで難しい区別はしていないのが現状なんですね。実は学校教育、公文書、新聞などでは一般的に「十分」を使っています。
厳密に言うと言葉の意味に違いはありますが、良くわからない場合は「十分」を使用すれば大丈夫とも言えます。
こうした似た言葉は沢山ありますが、言葉の意味を知って使うと、文章を書く時、話す時もいつもより丁寧になりますよ。
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