仕事を覚えてしばらくすると、上司から「なれた時こそ注意が必要だ」と言われたことはありませんか?そう言われると初心に戻り、改めて注意しなければと身が引き締まりますよね。
ところでこの「なれる」は、「慣れる」と「馴れる」どちらの漢字を使うべきなのでしょうか。
日本語にはこのような「同じ音で違う漢字」を使うことが多いので、注意しないと間違えやすいんです!
そこで、慣れると馴れるの意味と違いや使い分け方について紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね。
慣れると馴れるの意味と違い
慣れるとは?
慣れるには、次の意味があります。
- 何度も同じ経験をすることにより、当たり前の事として受け止められるようになること。
- 何度も経験することで、上達すること。
- 使い続けることで、道具などが体の一部のようになること。
ここでのポイントは、「何度も同じ経験をする」という点。同じことを何度も繰り返すことで、体で覚えて上手に出来るようになる事を指しています。
これは「慣れる」で使われている「慣(かん)」という漢字に、「いつも同じことを繰り返す」という意味があるからです。そのため、経験を積み重ねた場合は「慣れる」を使うんですね。

馴れるとは?
馴れるには、次の意味があります。
- 他人に対して違和感がなくなり、親しみを感じること。
- 動物が飼い主などの人間に対し、警戒感を持たなくなること。なつくこと。
ここでのポイントは、「人や動物に対して使う」という点。
時間の経過などにより、当初はぎこちなかった対人関係がスムーズになったこと。あるいは飼いだした当初は警戒していたペットが、ご主人・友人だと認識してくれること。
このように「近い関係となる変化」を、「馴れる」と表現しています。
ちなみに「馴れる」に使われている「馴(くん・じゅん)」には、「言うことを聞く・従う」という意味があります。特に動物に関しては、主人の命令に従う関係である意味も含まれているんですね。
慣れると馴れるの違い
慣れると馴れるの違いは、次の点を覚えておくと簡単に覚えられます。
- 慣れる
何度も繰り返すことで覚えて上達したり、道具などが使いやすくなること。
- 馴れる
人や動物の関係に警戒感がなくなり、親しくなること。
- 道具や経験といった「心のない物事」は、「慣れる」
- 人や動物といった「心があるもの」は、「馴れる」
を使うと覚えるとわかりやすいですよ。
慣れると馴れるの使い分け方
「慣れる」を使う場合

記事の冒頭であげた「なれた時こそ注意が必要だ」は、どちらを使用すればよいのでしょうか。
これは「仕事を繰り返して上達した時こそ、間違いなどに注意しなさい」と言っているもの。そのため「何度も繰り返す」事に対して使用する、「慣れる」が最適です。
ですので「慣れた時こそ注意が必要だ」が正しい表現となるんですよ。
この他にも、「慣れる」は次のように使用します。
- 古い包丁だが、使い慣れているので問題ない。
- 営業の仕事にもようやく慣れ、難しさと楽しさが理解できるようになった。
- 習うより慣れろ。
「習うより慣れよ」ということわざは、人から教わるよりも自分で経験を重ねたほうがよく覚えるという意味。事前学習も大切ですが、実際に体験したほうが理解できるという点で「慣れる」の漢字が使われています。
「馴れる」を使う場合

一方の「馴れる」は、人や動物との距離感が縮まって親しみを覚えるという意味。そのため次のように使うのが、最適です。
- 言葉遣いがきつい上司だが、すぐに馴れた。
- 父が再婚して新しい母との生活が始まったが、未だに馴れることができない。
- 野生の熊が人に馴れてしまうと、餌を求めて里に降りてくるので危険だ。
- この前、家に来た保護猫がようやく家族に馴れてきたよ。
ここでの馴れるは、時間の経過や繰り返しはそれほど関係ありません。対象となる人や動物に対して気持ちの変化があった、あるいは変化があらわれない時に使いましょう。
違いを覚えて使い分けに「慣れよう」
「慣れる」も「馴れる」もよく使う言葉のため、違いを理解して使わないと思わぬところで失敗してしまいます。
- 慣れるは、何度も繰り返すことで上達したり、体に馴染んで道具などが使いやすくなる時
- 馴れるは、人や動物などが警戒心を解いて親しみを感じる状態の時
・・・にそれぞれ使います。
簡単に言うと、
- 仕事や物事に対しては・・・「慣れる」
- 人や動物の気持ちに対しては・・・「馴れる」
と覚えておけば大丈夫。
それぞれの違いを覚えて使い「慣れ」て、間違えないようにしたいですね!
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