ビシネスシーンで発言するときは、自分の立場を考えて言葉を選ぶことは大切です。特に「へりくだった言い方」を覚えておくと、取引先や社内での人間関係がより良くなりますよ。
そんな「へりくだった言い方」の一つに、「僭越ながら」があります。意味を理解して効果的な場面で使いたいですし、似たような意味の言葉も知っておきたいですよね?
そこで、「僭越ながら」の意味や使い方の例文、また類語についても紹介します。ぜひ参考にしてくださいね。
目次
「僭越ながら」の意味は?

僭越は自分の立場以上の行動をとること
僭越ながら(せんえつ ながら)の「僭越」は、次の意味がある言葉です。
・自分の地位・立場以上の、出過ぎた行動を取ること。
ここで言う「出過ぎた」とは、自分が行うべき範囲以上の事柄に対して発言したり行動を取る事です。
僭越の「僭」には、身分や立場を越えて勝手な振る舞いを行う、という意味があります。そして「越」には、ある場所や境界を越える、という意味があります。
「ながら」をつけることが大切
僭越だけだと、「自分の立場を考えていない行動や発言」という意味となってしまいます。
しかし「僭越ながら」と、僭越に“ながら”をつけることで、
・自分の立場を理解した上で、それでも発言・行動を取ること。
・失礼であることを承知の上で、発言や行動を行う。
…という意味に変化します。
その上で、
・自分のような立場の人間が、発言・行動することを許してほしい。
…という、へりくだった表現となるんですよ。
「僭越ながら」の使い方の例文

目上の方へ意見する時に使う
僭越ながらという言葉は、上司などの目上の方へ意見を述べる時によく使われます。
・今回提出された企画書に気になる点があったため、僭越ながら意見を申し上げます。
・僭越ながら、上司の意見にはしたいと存じます。
たとえ相手が上司や幹部社員であっても、意見を言わなければならない場面は出てきます。その時に「僭越ながら」と付け加えることで、相手が上であることを表現しているんですよ。
もし「僭越ながら」では丁寧さが足りないと感じたら、次のように、「僭越ではございますが」を使うとより丁寧ですね。
・僭越ではございますが、社長のおっしゃった日付に間違いがあるため、この場で修正申し上げます。
自分を一段低くする
僭越ながらは、こちらが低い立場であると一歩引いた表現にもなります。そのためスピーチや挨拶文で、よく使われる言葉ですね。
・ご指名をいただきましたため、僭越ながら乾杯の音頭を取られていただきます。
・僭越ながら、お二人の幸せを願いまして、挨拶の締めくくりとさせていただきます。
使う相手に注意する
「僭越ながら」を使うときには、誰に対して使うのかを考えましょう。あくまでもこちらは格下の存在であると、「一段下がった表現」として「僭越ながら」は使います。
そのため、同僚や部下に対して使うと、嫌味となるので使わないようにしましょう。
「僭越ながら」の類語は?

恐縮ながら
「僭越ながら」の類語として、「恐縮ながら」が挙げられます。
恐縮ながらには、「相手の厚意に対し、身が震えるほど恐れ入る」という意味があります。そのため、相手から受けた厚意に返事をする時に、「恐縮ながら」と使うんですよ。
使い方としては、相手の厚意を受け入れるときと、断るときの2種類があります。
・恐縮ですが、今回の昇進は辞退させていただきたく思います。
・あまりに恐縮ですが、昇進の辞令を受けたいと思います。
昇進という辞令を受け入れるのも辞退する時も、自分にはもったいないほどだとしています。乱用すると軽い印象となりますので、ここ一番という時に使いたいですね。
微力ながら
「僭越ながら」では大げさになるようでしたら、「微力ながら」がピッタリです。
微力ながらは、次の意味があります。
・力や実力が足りないが
・たいした足しにはならないが
ここでは自分の実力を、へりくだって表現したい時に使われます。そのため本当に実力不足の時に使うのは、間違いですので注意してくださいね。
相手を手助けしたい時など、
・微力ながら、このプロジェクトに協力したく思います。
・微力ながら精一杯がんばりますので、どうかよろしくお願いいたします!
…と使うと、ピッタリですね。
へりくだった表現は難しいですが…
ビジネスシーンでは実力を発揮することは大切ですが、それを自慢だと思われないことも大切です。目上の方に対して意見を述べるときも、自分は格下であることを表現することが必要なんです。
「僭越ながら」は、身分をわきまえずに発言や行動することをお詫びする、という意味があります。これによって自分を一段下に表現し、相手が格上であるとしているんですよ。
へりくだった表現は難しいですが、上手に活用して上司に自分の意見を伝えてみませんか?
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