入食料品店を見ていると、珍しい食料が多くて楽しくなります。特にスパイスや調味料は変わったものも沢山あって、どんな料理に使うのか気になったりしますね。

そんな珍しい調味料の一つに、ベトナムの「ヌクマム」というものがあります。実は日本でもおなじみの調味料に似ているので、1つあると料理の幅が広がるんですよ!

そんな「ヌクマム」について、

  • どんな調味料なのか?
  • どんな料理で使うのか?
  • タイのナンプラーとの違いは?

…といった内容で紹介していきます。ぜひ料理に活用してくださね!

ヌクマム(ニョクマム)とはどんな調味料?

魚を発酵させて作る醤油

ヌクマム

ヌクマム(Nước mắm)はベトナムの調味料。ニョクマム・ヌックマムとも呼ばれています。

見た目は透明感のあるうすい茶色で、薄口醤油のようです。ただ発酵した魚の強い香りがあるため、苦手と感じる人もいますね。

ニュクマムが独特の香りを持つのは、小魚を塩に漬けて発酵させた時に出来る液体だから。漬け込む期間は半年から1年ほどで、発酵させることで旨味成分が生まれます。

そのため、味は塩辛のような旨味が感じられ、醤油とは違った味わいなんですよ。

日本にもあるヌクマム

ヌクマムのように魚を発酵させた液体調味料は、他の国にも存在します。

有名なところではタイの「ナンプラー」も、魚を発酵させた調味料です。日本にも「魚醤(ぎょしょう)」という調味料があり、「しょっつる」「いする」などと呼ばれていてお馴染みですね。

ラベルを見て使い分ける

ベトナムで販売されているヌクマムは、瓶詰めで販売されています。

ラベルに「30°N」「35°N」などと、数字が書かれてるのがヌクマムの特徴です。

この数字はヌクマム1リットルあたりに含まれる窒素の含有量(グラム)を表したもので、数字が大きいと旨味と香りが強くなります。その分価格も上がりますね。

料理に使いやすいのは15°N~25°N程度で、30°Nを越えるものは香りも旨味も強い高級品なんですよ。

ちなみに、ベトナムの標準品質局で規定されているヌクマムの基準(TCVN 5107:2003)は次の通りとなっています。

引用:Tiêu chuẩn Việt Nam TCVN5107:2003

  • 30°N以上 …特級品
  • 25°N以上 …上級品
  • 15°N以上 …一級品
  • 10°N以上 …二級品
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ヌクマムはどんな料理で使う?

ベトナムの春巻き

隠し味に使える!

ヌクマムは旨味成分が多く含まれているため、料理に少量加えるだけで旨味とコクがプラスされます。最初のうちは醤油に1・2滴加えて使うと、独特の香りも気になりません。

ヌクマムを混ぜた醤油をチャーハンの味付けに使うと、中華とも日本料理とも違うアジアンテイストに仕上がります。またお刺身にヌクマム入り醤油を付けると、いつものお刺身もどこか不思議な味わいになりますよ。

この他にはカレーや煮物に数滴加えたり、お肉の下味に使うのもおすすめです。入れすぎると独特な香りが強くなるので、最初は数滴使うことを心がけるといいですね。

万能つけダレ、ヌクチャムを作ろう

ベトナムでは様々な料理にヌクマムが使われ、ベトナムらしい味を演出しています。また35°Nぐらいの濃度が高いヌクマムは、水で薄めてからつけダレにも使われています。

そこで生春巻きのつけダレに使える、「ヌクチャム(Nước chấm)」の作り方を紹介しますね。

■材料(2~3人分)

  • ヌクマム(濃度は高め)…大さじ3
  • レモン汁       …大さじ3
  • 砂糖         …大さじ3
  • お湯         …大さじ3
  • 赤唐辛子       …1~2本
  • ニンニクみじん切り  …1片
■ヌクチャムの作り方
  1. 砂糖をお湯で溶かしておきます。
  2. お湯を冷ましてからヌクマムとレモン汁を混ぜます。
  3. 赤唐辛子は種を取り除いて輪切りにし、ニンニクと一緒に混ぜて完成。

ベトナムでは良くライムの絞り汁を使うので、入手できたらライムで作るのもおすすめです。

生春巻き以外でもサラダのドレッシングに使えますし、野菜炒めの味付けにも使えます。千切りにした大根やニンジンにかけて1時間ほど置けば、浅漬けにもなりますよ!

【ベトナム料理】 万能タレ、ヌクチャムの作り方

*こちらの動画にあるレシピでは、ナンプラーとすだちでヌクチャムを作っていますね。

ヌクマムとナンプラーの違いは?

香りと塩辛さがわずかに違う

複数の調味料

魚を発酵させた調味料で有名なものに、先に少し触れました、タイの「ナンプラー」もあります。

ナンプラーは日本のスーパーでも販売していることがあり、ヌクマムよりも入手しやすいですよね。

ヌクマムとナンプラーの違いは、香りと塩辛さです。

「香り」については、

  • ヌクマムは、発酵具合が低めで独特の香りが強めにでる
  • ナンプラーは、発酵具合が高めでヌクマムよりは香りが抑えられる

といった傾向の違いがあります。

そして「味」に関しては

  • ヌクマムは、塩味が弱め
  • ナンプラーは、塩辛い

といった違いがあります。

ただし、この違いは、ほんのわずかですね。詳しくなければどちらも同じ味に感じられるくらいなんです。なので特にこだわりがなければ、入手しやすいナンプラーをヌクマムの代わりに使っても大丈夫ですよ!

ヌクマムを数滴加えて旨味を出そう!

ヌクマムはベトナムの魚醤で、強い旨味と独特の香りが楽しめます。

そのまま使うと香りが強すぎるので、料理に数滴加えて隠し味に使うのがおすすめ。ベトナム料理として楽しみたい時は、砂糖やレモン汁を混ぜたつけダレ「ヌクチャム」を作ると便利ですよ。

日本ではあまり見かけない調味料ですが、タイの「ナンプラー」でも代用できるので、無ければ活用したいですね。

ヌクマムを手に入れたら、いつもの料理に数滴加えて、アジアンテイストの美味しさを楽しみましょう!