昔から伝わる格言の中には、一見すると矛盾する言葉が並んでいることがあります。その中の代表的なものが、「負けるが勝ち」という言葉。
負けたのだから勝つのはおかしい!と思ったりしますが、その意味は実はとても深いもの。もし使うのであればどんな場面が良いのか、また似たような言葉があるのかも気になりますね。
そんな「負けるが勝ち」の意味や由来、そして使い方や類語についてまとめて紹介します!
負けるが勝ちの意味や由来は?
負けるが勝ちの意味とは?
「負けるが勝ち」という言葉には、次の意味があります。
- あえて争わず相手に勝利や利益を譲ることで、最終的には自分に利益や勝利につながること
理想はあらゆる状況で自分が有利となり、得をして勝利を得ることかもしれません。しかしほんのわずかな利益を得るために、無理をする必要が出てくることもあります。
そのため無理をしないでおくことが、最終的には大きな利益につながるとしています。
例えば、商談などで相手が求める条件が自分にとって不利なもの、ということはよくありますよね。しかし自分がどうしても通したい条件があるために、あえて先に相手の条件を認めて状況を有利にする方法もあります。
そういった時に「負けるが勝ち」という言葉は使われます。
負けるが勝ちの由来は?
負けるが勝ちという言葉は、「江戸いろはかるた」で紹介されているものが由来とされています。
「江戸いろはかるた」とは、「いろはにほへと」のかな47文字に対応する慣用句を札にしたかるたのこと。「犬も歩けば棒に当たる」や「花より団子」など、今でもよく使われる言葉が登場します。
その「江戸いろはかるた」の「ま」の札で、「負けるが勝ち」という言葉も使われているんです。
しかしこの言葉がいつ生まれたのかはわかっていません。少なくとも江戸時代には「かるた」に登場するほど、覚えておくべき言葉だったんですね。
負けるが勝ちの使い方は?
長期的に見れば利益になる
負けるが勝ちは、次のような状況で使われます。
- 値下げをやめることで売上は減少するが、品質を上げるための決断なので負けるが勝ちとしよう。
例えば、商品の値下げをすれば多くの人が買いやすくなりますが、会社としては利益が減ることになります。しかし値下げをせずに他の面で勝負すれば、長期的に見たときにはプラスとなることもありますよね。
このように一時的な損をしても長期的に見れば利益になる時に、「負けるが勝ち」は使われるんですね。
こちらが折れてあげる
その他には、次の状況で使われます。
- 今は相手の怒りをしずめるために謝っておけ。あちらの言い分はおかしいが負けるが勝ちだ。
- 議論が無駄に長引きそうだったので、負けるが勝ちということでこちらが折れることにした。
時として感情の食い違いで、不利な状況に追い込まれることがあります。そういった時に正論で相手を打ち負かすことも可能ですが、その後の人間関係に影響が出ることがあります。
相手に理解を求めることも大切ですが、一時的に相手の意見を通してその場を収めることも大切。無駄な言い争いをせず相手の気持ちや意見を尊重できる人は、自然と周囲も認めてくれるものです。
本当に自分の意見を通したい時に、それまでの積み重ねが生きてきますよ!
負けるが勝ちの類義語は?
損して得とれ
「負けるが勝ち」に似た言葉に、「損して得とれ」があります。
意味は負けるが勝ちとほぼ同じで、
- 一時的に損をしても、将来的に得となるならそれでいい
…というもの。
「勝ち負け」という言葉を使いたくない時は、こちらを使いたいですね。
逃げるが勝ち・三十六計逃げるに如かず
「逃げるが勝ち」と「三十六計逃げるに如かず(しかず)」も、「負けるが勝ち」に似た言葉です。
「逃げるが勝ち」とは、
- 無駄な争いごとなら避けることで、最終的にこちらが得をとする。
…という意味。
「三十六計逃げるに如かず」は、
- 状況が不利になった時は、あれこれ対策を考えて有利にするより逃げてしまう方がいい。
…という、中国の格言が元になった言葉です。
争いごとを避けたり不利な状況から逃げるのは、卑怯だと言う人もいます。
しかし無駄な争いで時間やお金を無駄にしないことで、最終的には得となることもあります。またこちらが損をする選択こそが、あとから振り返ると一番良い方法だったということもあります。
最終的にこちらが勝ちとなるためには、戦わないことや逃げることも必要だとしているんですよ。
状況に応じて「負けるが勝ち」とできる柔軟さを
「負けるが勝ち」と言われると、負けているなら勝ってない・・・と思うかもしれません。しかし人生は長く、今は負けて損をしていても、それが後の勝ちにつながることもよくあります。
また相手の言い分を認めることで、その後のおつきあいをスムーズにする方法もあります。無理をして常に利益を得るよりは、一時的に損をしても将来の利益につなげることも大切ですね。
最終的な利益とするために、状況に応じて「負けるが勝ち」とできる柔軟さを身につけませんか?
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