四字熟語には先人から伝わる言葉で、現代でも通用する物が多いですよね。中でもよく聞く四字熟語の一つに「本末転倒」があります。
なんとなく意味はわかりそうですが、間違って使うと思わぬところで恥をかいてしまいます。
そんな、「本末転倒」の意味や由来、使い方と類語について紹介するのでぜひ覚えてくださいね!
本末転倒の意味は?
根本的なことと、ささいなことがひっくり返る
本末転倒は「ほんまつてんとう」と読む、四字熟語です。「本末顛倒」と書くこともありますが、読み方は同じく「ほんまつてんとう」です。
本末転倒の意味は次の通り。
- 根本的な物事や事柄と、ささいな物事や事柄を、取り違えてしまうこと。
本末転倒の「本末」とは「根本的なことと、そうでもないこと」という意味があります。
ここでは、
- 「本」が、根本的なこと・重要で大切なこと
- 「末」は、それほど大切ではないこと
となります。
さらに「転倒」は転ぶではなく、物事がひっくり返るという意味で使われます。
この「本末」と「転倒」がくっついて、根本的なこととささいなことが、ひっくり返って取り違えるという意味になるんですよ。
本末転倒の由来は?
お寺の勢力が逆転
本末転倒の由来は、鎌倉時代のお寺が関係しています。
お寺は宗派にもよりますが、大本となる「本山」と末端の寺院が存在しています。今で言えば、会社における本社と支店の関係に似ているかもしれませんね。
平安時代までのお寺は一般庶民のためではなく、貴族などの上流階級のために存在していました。ところが鎌倉時代には、末端のお寺が武士や庶民に布教を行うようになりました。
数で言えば武士や庶民のほうが圧倒的多数ですから、やがて末端のお寺が信者の数を増やすこととなります。この結果、本山よりも末端寺院の方が力を持つ、逆転現象がおきてしまいました。
この出来事から、本末転倒という言葉が生まれたんですね。
本末転倒の使い方は?
目的を見失わずに
本末転倒は、次のような場面で使われます。
- ストレス解消のためのスポーツが上達せず、イライラするなら本末転倒だ。
- ダイエットメニューの食べすぎで太ったって、本末転倒じゃないの?
- 学費を稼ぐためのアルバイトなのに、疲れて学校に行かないなら本末転倒だ。
- 本末転倒にもあの時は、借金を返すためならお金を借りてもいいと考えていた。
いずれの場合も本来の目的を達成するために行ったことや手段が、その目的を邪魔しています。そんなつもりはなかったかもしれませんが、本来の目的とは違った方法を取ってしまっているときに、本末転倒は使われるんです。
本末転倒の類語は?
四字熟語では?
主客転倒
本末転倒と似た意味を持つ四字熟語に、「主客転倒(しゅかくてんとう)」があります。「しゅきゃく」と読み間違えやすいので、注意してくださいね。
主客転倒の意味は、「主と客の力関係が逆転する」ということ。
- 「主」とは家の主人のこと
- 「客」はそのままお客様のこと
です。招かれたはずの客がわがままにふるまい、家の者がそれに従ってしまう状態を表しているんです。
冠履転倒
やはり同じ意味を持つ四字熟語に、「冠履転倒(かんりてんとう)」があります。
冠履転倒の意味は、「上下の順番が入れ替わること」。
頭用の「冠(かんむり)」と足用の「履物」が逆だという意味なんですね。
「主客転倒」も「冠履転倒」も、本末転倒と同じく「転倒」という言葉を使っています。いずれも同じ意味なので、状況に応じて使い分けるとよりピッタリですね。
ことわざでは?
ことわざの中にも、本末転倒と似た意味を持つものがいくつかあります。
木を見て森を見ず
木を見て森を見ずは、森の中にある1本の木だけを見て、森全体を見ていないという意味のことわざです。
そこから転じて、物事の細かい部分に気を取られすぎて、全体を見失う事を表しています。
角を矯めて牛を殺す
角を矯めて牛を殺すは、牛の曲がった角をまっすぐにしようとして、叩いたりするうちに牛が弱って死んでしまうという意味です。
そこから小さな問題を無理に直そうとした結果、台無しになってしまう意味となりました。
四字熟語では伝わりにくいと感じたときは、ことわざにするとわかりやすいですね。
本来の大切な目的と、ささいな事柄が入れ替わってないか?
本末転倒は、ビジネスシーンや日常でも使うことが多い四字熟語です。
その意味は「本来の大切な目的と、ささいな事柄が入れ替わってしまうこと」。相手に注意したり指摘したいときなどに使うため、否定的な意味合いがあります。
もし相手から本末転倒だと言われたら、今行っていることが正しいかどうか確認したいですね。細かなことに気を配ることは大切ですが、やりすぎて「本末転倒」にならないよう気をつけましょう!
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