初詣や七五三などでお世話になる神社では、様々な年中行事を行っています。秋祭りなどの「例大祭」は馴染み深いですが、一方であまり知られていない行事も。
その中の一つに「大祓」というものがあるのですが、実はこれが重要な行事なんですよ。
地域によっては違う名称を使うこともあり、そうした別名なら知ってる人もいるかも!
そこで、
- 大祓の読み方や意味
- 大祓はいつ行われるのか?
- 大祓の方法、「茅の輪くぐり」のくぐり方
についてご紹介するので、ぜひ参考にしてくださいね。
大祓の読み方や意味は?
けがれを取り除いて

大祓は「おおはらい」または「おおはらえ」と呼ばれるもので、神道で行う年中行事の一つ。その歴史はとても古く、「古事記」にも書かれているほどなんです。
大祓の目的は、人々が知らずに犯した罪や過ちといった「穢れ(けがれ)」を取り払うこと。701年(大宝元年)の大宝律令によって宮中行事として採用され、国中の穢れを取り払って無病息災を願ってきました。
しかし室町時代に起きた応仁の乱によって、宮中行事としての大祓は断絶。その後明治時代になってから復活し、現在も皇室の行事として行われているんですね。
神社での大祓
宮中行事の流れをくむ大祓とは別に、各地の神社でも大祓は行われています。その目的は宮中行事の大祓と同じく、人々が背負ってしまった穢れを取り除くこと。
やはりこちらも応仁の乱をきっかけに断絶しかけましたが、ごく一部の神社で儀式は継承されました。
明治時代になって宮中行事として復活したのをきっかけに、各地の神社でも復活したんですよ。
大祓はいつ行うの?
6月と12月の晦日に
大祓は一年に二度、6月の晦日(みそか)と12月の晦日(みそか)に行われます。
「晦日」とはその月の最終日のことで、月の動きをもとにした「太陰太陽暦(旧暦)」の時代に使われた言葉。太陰太陽暦に従えば、旧暦の6月の晦日は6月30日で、12月の晦日は12月30日。
しかし現在は、今の暦である「太陽暦」に合わせて行うため、6月30日と12月31日が大祓の日となっています。
6月に大祓を行うのは、梅雨の時期から夏へと変わる厳しい暑さを乗り越えるため。12月の大祓は、その年の穢れを翌年に持ち込まないためなんですよ。
ただし宮中行事としての大祓では、新しい天皇が即位した直後の新嘗祭(11月23日)にも行うことがあります。また平安時代などには、疫病の大流行や大災害が起こった際にも大祓が行われました。

6月の「夏越の祓」と、12月の「年越しの祓」
6月の大祓と12月の大祓には、それぞれ別名があります。
6月の大祓は、次の呼び方をすることが。
- 夏越の祓(なごしのはらえ)
- 名越の祓(なごしのはらえ)
- 夏祓(なつはらえ)
- 六月祓(みなづきはらえ)
一般的には、「夏越の祓」と呼ばれることが多いですね。あるいは祓を“大祓”として「夏越の大祓」と呼ばれることもあります。
そして、12月の大祓は、次の呼び方をすることがあります。
- 年越の祓(としこしのはらえ)
※または、「年越の大祓」
「大祓」という言葉は聞いたことがなくても、「夏越の祓」「年越の祓」といった名前では聞いたことがある方もいるかも知れませんね。
大祓の方法は?
形代に穢れをうつして
大祓を行いたい場合は、大祓を行っている神社を確認しましょう。
常に神主さんがいる神社でしたら、たいてい大祓は実施されています。ただし事前に申し込みが必要な場合もあるので、開催日も含めて確認をしておくと安心ですね。
大祓に参加すると、「形代(かたしろ)」と呼ばれる紙が配られます。これは自分自身の身代わりとなるもので、人の形をしている場合も。
神社によって手順に違いはありますが、名前・年齢・住所を書いて体の悪いところをなでたりします。
こうすることで自分自身についた穢れを、身代わりとなる形代に移すことが可能に。そしてこの形代を集めて神主さんが祝詞(のりと)を上げ、川に流すなどして清めてくれるんですよ。
6月に行いますものを「夏越しの祓」、12月に行いますものを「年越しの祓」と呼びます。
形代(人形・ペット形)に名前・年齢を記し、体を撫でた後に息を3度吹きかけて罪穢れを形代にお移し下さい。 pic.twitter.com/shfUzcvGxz— 少彦名神社(神農さん) (@sinnosan1123) 2016年6月11日
*形代は人形のような形をしているものが多いですが、神社によってはペット形もあるようですね。
6月の大祓では、茅の輪くぐり

6月の大祓では、多くの神社が「茅の輪くぐり(ちのわくぐり)」と呼ばれる行事を行います。
これは茅(ちがや)という植物で編んだ大きな輪を、所定の手順でくぐり抜けるもの。参道や鳥居の前に設置され、これをくぐることで穢れを払うことができるんですよ。
「茅の輪くぐり」の基本的なくぐり方の手順は、次の通りです。
- 茅の輪の前で一礼します。
- 左足から茅の輪をまたいでくぐり抜けます。
- 左回りで茅の輪の前に戻ります。
- 茅の輪の前で一礼します。
- 右足から茅の輪をまたいで輪をくぐり抜けます。
- 右回りで茅の輪の前に戻ります。
- 茅の輪の前で一礼します。
- 左足から茅の輪をまたいで輪をくぐり抜けます。
- 左回りで茅の輪の前に戻ります。
- 茅の輪の前で一礼します。
- 左足から茅の輪をまたいでくぐり抜け、そのままご神前へ進んでお参りします。
また、茅の輪くぐりでは、唱え詞(となえことば)を唱えながらくぐります。
唱え詞の内容は以下の文言が一般的です。
水無月の夏越しの祓する人は 千歳の命 延ぶというなり
(みなつきのなごしのはらえするひとは ちとせのいのち のぶというなり)
なお、茅の輪くぐりの方法(くぐり方)や唱え詞の内容は、神社によって違うこともあります。各神社で予め確認しておくと安心ですね。
□茅の輪くぐり ~大宮氷川神社~
*大宮氷川神社では、茅の輪をくぐる時に形代にふれるんですね。
大祓で身も心もスッキリ
大祓は罪や穢れといった、悪いものを取り払う行事。6月末日と12月末日に行われ、心身ともに清めるものなんです。
その方法は形代(かたしろ)と呼ばれる紙を身代わりにして、お祓いをうけるもの。また6月の大祓では、茅の輪くぐり(ちのわくぐり)を行って穢れを取り払います。
半年に一度の大祓で気持ちをリセットし、スッキリした気持ちで新しい日々を迎えませんか?
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