雨のあとの晴れ間

緑が成長する5月は、1年で一番気持ちの良い季節かもしれません。たまに降る雨も心地よく、青空が広がる日はお出かけしたくなるほどです。

ところで5月頃に使われている言葉で、「五月雨」「五月晴れ」というのを聞いたことがありませんか?何気ない表現ですが、ニュースなどでも聞く機会は多いのではないでしょうか。

そんな五月雨や五月晴れですが、本当は5月に使う言葉ではないんですよ!

気になる、五月雨・五月晴れのそれぞれの読みや意味と使う時期、そして正しい使い方についてご紹介します。

五月雨の意味は?

5月の雨ではない?

5月の雨

五月雨の読みは「さみだれ」というもので、「ごがつあめ」「さつきあめ」とは読みません。

その意味は、

  • 旧暦5月の長雨、梅雨のこと

…となります。

さみだれの「さ」は、5月の別名「皐月(さつき)」のこと。そして「みだれ」は、水が垂れるという「水垂(みだれ)」という意味。

これらを合わせて、5月に降る長雨や梅雨を指す言葉となりました。

一つ注意してほしいのは、ここで言う5月は旧暦5月ということです。

旧暦とは、月の満ち欠けを元にした暦「太陰太陽暦」のこと。そのため今の暦(新暦)とは約1ヶ月程度ズレがあります。ですので、旧暦の5月といえば、新暦では6月中旬~7月上旬頃に該当するんです。

ちょうど梅雨の時期に当たるため、6月の長雨を指す言葉ともなるんですね。

ビジネスシーンで使う五月雨

ビジネスシーンで「五月雨」といった場合、梅雨ではなく次の意味となります。

  • 途切れつつも長く物事が続く
  • 提出物や報告を、何度かに分割して提出・報告する

これはダラダラと物事が続く様子を、長雨や梅雨に例えたもの。主に「五月雨式(さみだれしき)」と言う表現が用いられるので、五月雨と区別しやすいですね。

五月晴れの意味は?

やはり5月ではない!?

5月の晴れ

五月晴れには、2通りの読み方があります。

一つは「さつきばれ」と言う読み方。

こちらの意味は、

  • 旧暦5月の、長雨や梅雨の合間の晴れ

…というものです。

五月雨のときと同じく、ここで言うさつきは旧暦5月のこと。現在の6月中旬~7月上旬頃のことで、梅雨の合間に見える束の間の晴れを意味するんです。

5月を指すこともある

五月晴れにはもう1つ、「ごがつばれ」と言う読み方があります。

こちらの読み方の場合は、今の5月を指す言葉。そのため「ごがつばれ」と読む時は、そのまま「5月の爽やかな晴れ」をとなります。

注意してほしいのは、あくまでも今の5月を指す場合は「ごがつばれ」と読むこと。「さつきばれ」と読んだ場合は、梅雨空の合間の晴れを指すので注意してくださいね!

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五月雨・五月晴れの使い方は?

五月雨の使い方

五月雨は、6月頃の梅雨に対して使用します。文字だけを見ると5月に使いたくなりますが、先に説明した通りここでの5月は旧暦5月のこと。

とはいえ「現在の5月」だと覚え間違えている人も多いので、少し使いどころが難しいですね。

五月雨を使うのであれば、俳句の季語として使うのはいかがですか?五月雨は夏の季語であり、意味はそのまま「梅雨」のこと。

五月雨をあつめて早し最上川」(最上川はまるで梅雨を集めた様な急流だなあ)と松尾芭蕉が詠んだように、6月頃の梅雨に関する俳句を詠むのにぴったりなんですね。

てるてる坊主

ビジネスシーンでの「五月雨」

ビジネスシーンで五月雨といった場合は、物事が断続的にダラダラと続く様子を表す言葉。あるいは一度に提出せずに、分割することを指しています。

ビジネスシーンでは、五月雨は次のように使われます。

  • 五月雨式に会議が続き、終了時刻が予想できない。
  • 資料提出が五月雨式となってしまい、申し訳ありません。

「資料提出が五月雨式で」といった場合、小分けにして資料などを提出しているということ。

全て揃ってから提出では間に合わない、急いでいて部分的にでも提出しなければならない。そういった時に「五月雨式」と断りを入れておくと、先方への印象も幾分は良くなりますよ。

五月晴れの使い方

五月晴れを文章で使う場合、音がわからないので、前後の文章でわかりやすくする必要があります。

しかし一般的には「さつきばれ」で、6月の晴れ間を指す言葉。

  • 梅雨の合間の五月晴れを見計らって、急いで布団を干した。
  • 午前中は五月晴れが楽しめそうですが、午後からは雨の予報となっています。

…といった表現をつかい、梅雨の合間の晴れであることを強調すると親切ですね。

言葉は時代と共に変わる

五月雨も五月晴れも「五月」と入ることから、5月の雨や晴れに使う言葉と思いがち。ですが本来は旧暦5月を指す言葉で、今で言う6月の梅雨や晴れ間を指す言葉なんです。

しかし時代と共に言葉の意味が変化することも多く、特に五月晴れは「今の暦の5月」に使うことも多くなりました。

五月晴れの読みは2つあるので、「ごがつばれ」と言えば5月を指すということで区別しますが、「さつきばれ」の読みでも5月を指すといった使い方も実は増えています。

時代と共に変化することを理解しつつ、本来の「五月雨」「五月晴れ」の意味もしっかり理解して使うようにしましょう!