秋冬物の衣服には、暖かさと肌触りの良さを求めたいですよね。
特にベロア・ベルベット・別珍の生地は、秋冬コーデの軸となるもの。起毛と光沢に特徴があるこれらの生地ですが、どれも同じ生地に見えませんか?
それぞれどこに違いがあり、使い分けが必要なのかも気になります。
そこで、ベロア・ベルベット・別珍の特徴や違いについて、様々な角度でまとめました!
ベロアとは
起毛の生地
ベロアとは、上品な光沢のある、表面に細かな起毛がある生地のこと。ラテン語で「毛むくじゃら」という意味の言葉が、フランス語(velour)に変化したものが語源。
見た目の美しさとしなやかさから、ゴシックデザインのドレスやワンピースによく使われます。
ベロアの特徴
ベロアの特徴としては、次の3点が挙げられます。
- 伸縮性に富んだ、綿またはポリエステル製のパイル編物。
- 細かで長めの起毛があり、強めの光沢をもつ。
- ポリエステル製の場合、擦れた部分がテカテカになりやすい。
ベロアの最大の特徴は、「パイル生地の編物」という点です。
パイル生地を簡単に説明すると、タオルのように表面に糸がループ状に出ている生地のこと。
ベロアはループしている部分を薄くカットし、ふかふかになるように起毛させたものなんです。
ちなみに衣服などの使われる布地(生地)は、製造方法によって「織物」「編物」に分けられます。
- 織物は、縦糸と横糸を交差させて生地を作る技法
- 編物は、糸を輪にし別の糸を通して生地を作る技法
です。
ベロアの特徴である伸縮性は、編物であるからなんですよ。
ベルベットとは
別名・ビロード
ベルベット(velvet)とは、上品で光沢がある起毛の生地のことを指します。
日本では天鵞絨(てんがじゅう)ということがあり、またビロード(veludo)ということも。
- ベルベットは英語表記
- ビロードはポルトガル語表記
で、実は同じものを指しているんですよ。
ベルベットはドレスやコートに使われることが多く、またカーテンの生地としても利用されます。
ベルベットの特徴は
ベルベットには、次のような特徴があります。
- レーヨンや絹を使用した織物。
- 生地は厚みがあるが柔らかく、表面に豪華な光沢と長めの起毛がある。
- 水や圧力に弱く、一度毛が寝てしまうと元に戻りにくい。
一見するとベロアと似ていますが、最大の違いは「織物」であること。
織り方も特徴的で、二枚重ねのような生地を織り上げて間を切断。切り離した部分が起毛状態となり、ベルベットの生地が完成します。
ベルベットは編物であるベロアとは違い、柔らかさはあるものの伸縮性はそれほどありません。また水に濡れたり圧力がかかると起毛が倒れやすくなり、元に戻りにくい弱点もあります。
別珍(べっちん)とは
別珍は当て字
別珍(べっちん)は英語のベルベッティーン(velveteen)が語源の生地で、主に綿で作られる織物のこと。
日本では明治時代より製造され、その時につけられた「別珍」の当て字が定着したんですよ。
別珍は足袋や帽子などに仕立てる他に、最近ではスカジャンの素材としても使われることがあります。
別珍の特徴は
別珍には、次のような特徴があります。
- 綿生地の織物がメインである。
- 生地はやや硬く、落ち着いた光沢と短めの起毛がある。
- 比較的丈夫である。
元々別珍は、絹織物だったベルベットを真似て、綿で作られたものです。
そのためベルベット同様に光沢と起毛がありますが、綿素材なのでやや素朴な印象に。
一方で起毛が倒れづらく、ベルベットよりも丈夫という利点もあります。また素材が綿であることが多いため、ベルベットよりも扱いやすく安価という利点も。
印鑑ケースや指輪ケースの内張りに使われることも多く、貴重品を優しく守ってくれるんですよ。
ベロア・ベルベット・別珍の違い、まとめ
見た目の違い
一見するとよく似ている、
- ベロア
- ベルベット
- 別珍
もし店頭で見かけた時に迷ったら、以下の点を覚えておくと見分けがつけやすくなりますよ。
素材 | 特徴や違い |
---|---|
ベロア |
|
ベルベット |
|
別珍 |
|
違いを理解して使いたい
ベロア・ベルベット・別珍は、同じような起毛素材なので、お店によっては同じ生地として扱われることがあります。
ですが、それぞれ違った特徴があるんですね。
- 編物で柔らかいベロア
- 織物でやや硬く毛足も短い別珍
- 同じ織物でも絹を使い高級感あふれる光沢が魅力的なベルベット
いずれにしても乱雑に扱うと起毛が倒れやすくなるので、取扱いに注意してくださいね!
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