テレビのコメンテーターに、よく「准教授」という肩書きの方が出演されています。
それを見ていて思ったのですが、以前よく見かけた「助教授」という方って見かけませんよね?
もしかして准教授のほうが専門的だから、テレビなどで発言するようになったのでしょうか。それとも准教授が表に出るようになり、助教授は大学で仕事をしているのでしょうか。ちょっと気になりますね。
そんな知ってるようでよく知らない、准教授と助教授の違い、そして助教や助手の違いについてもまとめてみました。
准教授と助教授の違い
助教授・准教授って何をする人?
そもそも准教授や助教授は、どういう職業・役職なのでしょうか。
准教授に関しては、学校教育法という法律で次のように定義されています。
7 准教授は、専攻分野について、教育上、
研究上又は実務上の優れた知識、能力及び実績を有する者であつて、
学生を教授し、その研究を指導し、又は研究に従事する。
(学校教育法 第92条より引用)
簡単に言ってしまえば、准教授は専門的知識を持ち研究を行いながら、生徒に教える人のこと。これならテレビなどで、専門分野に関するコメントを残すのもわかりますね。
一方の助教授はかつて学校教育法で、教授の職務を手助けする者と定義されていました。
これだけを見ると、助教授より准教授のほうが優れているように思えます。しかし実際には助教授は、様々な場所で専門知識を披露していましたよね。あるいは大学に通われた経験のある方なら、助教授から授業を受けたという人もいるのでは。
それだけの専門知識がありながら、法律の上ではどうして違いが出てしまったのでしょうか。
実情にあわなかった助教授
実は現在の日本には、「助教授」は存在しません。
というのも法律改正で、助教授はすべて准教授と名乗ることになったからです。
1944年(昭和22年)に発布された学校教育法で、助教授は「教授の助手である」と定義されていました。しかし実情は研究を行いつつ大学生の指導も行い、更には教授と合同で研究を行う立場。法律の上での定義と、実際の活動がかけ離れていました。
しかも世界的に見ても、「助教授」という役職は日本独自のもの。海外で助教授(Assistant Professor)と言っても通じず、「アシスタント」だと誤解されることが。海外の学会などで研究成果を発表しようにも、資格がないと誤解されることもありました。
更に海外の大学において、日本での助教授に相当する立場の役職は存在していました。「Associate Professor」がそうで、教授より少しランクの落ちる教授といった意味となります。
なので現状にあわせつつ世界的にも通用するよう、2007年(平成19年)に法律が改正されることに。その際に「Associate Professor」を訳した「准教授」を、名乗るようになったのです。
現在大学に在籍している准教授は、昔の言い方をすれば助教授に相当する方々。助教授は見かけなくなったのではなく、准教授と言い方が変わっただけなんですね。
ちなみに助教と助手の違いは?
教授を補佐するのが「助手」だったのが…
かつて助教授が教授の補佐を行うとされていたのなら、現在教授を補佐する人はいるのでしょうか。
実は助教授の時代から、アシスタントとしての「助手」は役職として存在していました。学校教育法にも定められ、その立場は教授・助教授・講師(大学で教鞭を取る人)・助手。
とはいえ専門知識を持ち、大学院で専門的に学ぶなどしないと助手になることができません。助手を足がかりに講師や助教授を目指すのが、大学でのいわゆる出世コースとされてきました。
ところが2007年(平成19年)の教育法改正に伴い、助手も一部改正されることに。
それまでの助手を専門的に分割し、「助教」と「助手」に分けることとなりました。
手助けする「助手」、教える「助教」
かつては助手も授業を受け持つようなことが、一部の大学ではありました。しかし現在では授業を受け持てる助手は、「助教」のみとなっています。
簡単に言ってしまえば、
・准教授などと同様に、研究を行い授業も行えるのが助教
・研究も行いつつ教授や助教授などを補佐するのが助手
という風に分けられました。
助教と助手はどちらがより偉いのかというと、一応は同等の立場となります。
しかし給与面や授業を持てるといった面から、助手より助教のほうが偉いとする事が多いようです。助手の立場にある人もまずは助教を目指し、ゆくゆくは准教授・教授となろうとする方も多いんですよ。
「現役助教授」と言う人には要注意!
現在の日本において、現役の助教授という人は存在しません。
なのでもし「現役の助教授」と名乗る人がいたら、気をつけなければなりません。もしかするとウソの役職を名乗り、近づいてきた人かも。知り合いが間違えて助教授と名乗ったなら問題ありませんが、見知らぬ人がそう名乗ったら要注意ですね。
今は助教授という肩書は無いという事を良く覚えておいて、変な人に引っかからないように気をつけましょうね!
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