春の訪れとともに気温が上昇すると、昼間でもついあくびが出てしまいますよね。学生さんの中には授業中に居眠りをしていしまい、先生に叱られる…なんてことも。
そんな時によく使われる言葉なのが、「春眠暁を覚えず」。
よく聞く言葉ですが、その意味はご存知でしょうか?正しく意味を理解して使わないと、的はずれな事になってしまうんですよ!
そんな、春眠暁を覚えずの意味や正しい使い方についてご紹介します。
「春眠」とは?
春の夜の心地よい眠り
「春眠暁を覚えず」ですが、言葉のどこに区切りを入れていいのか迷ってしまいませんか?
この読みは「しゅんみん あかつき を おぼえず」。最初の「春眠」で「しゅんみん」と読むんです。
「春眠」と言う言葉の意味は次の通り。
- 春の夜や夜明け頃の心地よい眠り
- 春の眠り
この意味のとおり、春眠は春の季節に使うもの。その他の季節に関しては使わないんですね。
「春眠暁を覚えず」の意味は?
心地よくてつい・・・
春眠の意味はわかりましたが、「春眠暁を覚えず」とはどういう意味なのでしょうか。
「暁」とは明け方や夜明けの時間帯を指す言葉。そこから早朝の意味でも使われます。「覚えず」は物事を覚えないと言う意味ではなく、「知らない内に」「いつの間にか」という意味。
ここでは「暁を覚えず」で一つの言葉となり、「知らない内に夜が明けていた」となります。
これらを合わせると、
- 春の夜は気持ちよく眠れるので、朝が来た事にも気が付かない。
- 春の眠りが気持ちよく、夜が明けたことにも気づかずつい眠ってしまう。
…という意味となります。
元は中国の詩
「春眠暁を覚えず」は、古い中国の詩人「孟浩然」(もうこうねん、689年〜740年)の五言絶句「春暁(しゅんぎょう)」が元になったもの。
この詩には続きがあり、全文を読むことでより意味が理解できるようになるんですね。
「春暁」の全文は、次の通りです。
春眠不覚暁
処処聞啼鳥
夜来風雨声
花落知多少
この詩の一般的な訳は、次のものとなります。
- 春眠不覚暁
(読み下し文)春眠暁を覚えず
(現代訳)春の眠りが心地よく、朝が来たことにも気づかなかった。
- 処処聞啼鳥
(読み下し文)処処啼鳥(しょしょていちょう)を聞く
(現代訳)今は鳥のさえずりが聞こえる。
- 夜来風雨声
(読み下し文)夜来風雨(やらいふうう)の声
(現代訳)昨晩は激しい雨風の音が聞こえていたが
- 花落知多少
(読み下し文)花落つること知る多少
(現代訳)恐らくは花がたくさん散ってしまったのだろう。
夜の雨風に対して、夜明け頃の暖かさについ寝坊してしまう。春の朝の気持ちよさの一方で雨風で落ちてしまった花が気になる、ということなんですね。
「春眠暁を覚えず」の使い方は?
使い方のポイントは春と朝
春眠暁を覚えずは、春に使う言葉。自分が眠たいときや、他の人が眠たそうにしていたとしても、春以外の季節に使うのは不適切です。
また昼間の居眠りに対して使いそうになりますが、本来の詩は朝の眠りに関するもの。そのため居眠りに対して使うのは、本来の意味から外れてしまうんですよ
春眠暁を覚えずの使い方は?
春の寝起きに関して使う、という点を踏まえて、「春眠暁を覚えず」を使った例文を紹介します。
- 春眠暁を覚えずといいますから、寝坊してしまうのは仕方がないと思いませんか?
- 寝坊で遅刻する者が増えている。春眠暁を覚えずとはいえ、だらしないとは思わないのか?
春になって寝心地がよく、つい寝坊してしまう気持ちはわかります。その言い訳に「春眠暁を覚えず」というと、古文の先生などには通用するかも!?
一方で意味を理解しているからこそ、それではいけないと説教される可能性もあるんですよ。
- 「寝る時間は変わらないはずなのに、最近寝起きが悪くて」
「春だからね、春眠暁を覚えずって言うし、仕方がないよ」 - 明日は休日で春眠暁を覚えずともいうので、タイマーをかけずにゆっくり眠ることにした。
春は気温も上昇していますが、冬より夜の時間が短め。そのため明るくなるのも早く、寝ているつもりでも少し眠たく感じることも。
そんな明け方の眠たい時間や、寝たはずなのに眠い朝に関しても使えますね。
春はどこか眠たい
「春眠暁を覚えず」という言葉では、春の夜明けの心地よさと眠りについて触れています。元々は古代中国の五言絶句で、夜の雨風で花が散っていないかとも気にする詩でもあります。
そのため詩の意味を理解せずに、昼間の居眠りに対して使ってしまうと、本来の意味から外れた使い方になってしまうんです。
本来の意味からは、春の朝の眠気や寝坊に関して使うのが最適。そのため、春以外の季節や、昼間の時間などには使わないほうが安心ですね。
「春眠暁を覚えず」とは言いますが、陽気につられて寝坊して言い訳に使わないようにしたいですね!
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