日本語には同音異義語が多く、どちらを使えばよいのか悩むことがよくあります。あるいは判っているつもりだったのに、間違って覚えていた…なんてことも。
そういった間違えやすい言葉の一つに、「痛む」と「傷む」があります。
特に「髪がいたむ」と言った場合、どちらを使えばよいのか悩んでしまいがち。
そこで、
・痛むの意味や使い方
・傷むの意味や使い方
・「髪がいたむ」はどちらが適切なのか
についてまとめましたので、ぜひ参考にしてくださいね!
「痛む」の意味や使い方
痛いと感じる、感じられる
痛むには、次の意味があります。
- 病気や怪我などで、肉体に苦痛や衝撃といった症状があらわれること
- 悩みなどで精神が落ち込み、苦痛や衝撃などの症状があらわれること
怪我をしたときは、その部分がズキズキとしますよね?また悩みごとがあると心が深く落ち込み、何もかも憂鬱になってしまいます。
これらは「怪我をした」「悩みごとがある」という原因に対し、心や体が痛いと感じているため。
このように本人が痛みや辛さを感じた時に、痛むという言葉は使われます。
痛むの使用例
「痛む」は、次のような場面で使われます。
- 転んで膝を擦りむいたところが、未だに痛む。
- 腕の古傷が痛むので、今日は天候が崩れるだろう。
- 失恋のショックが大きすぎて、今も胸の奥が痛い。
- 急な出費が続いて懐が痛いが、欲しかった商品だったので仕方がない。
基本的に対象となるのは、自分自身の体や心。この際、傷ついた部分は目に見えないものであっても、痛いと感じるなら「痛む」と表現します。
ちなみに「懐が痛む」は、お金が失われたことに対して使う言葉。お金が減って今後の生活が大変だという「精神的苦痛」を感じることから「痛む」と表現されます。
「傷む」の意味や使い方
腐っていく、壊れていく
傷むには、次の意味があります。
- 物品に傷が傷つくことで、破損したり外見が損なわれること
- 食品、特に野菜や果物が傷つくなどして腐ること
ここでポイントとなるのが、傷が入るという点。経年劣化で壊れた場合も、「年月」という傷が入ることで物品が損なわれています。
また食品が腐る場合も、時間の経過という「傷」が入ることが原因。野菜や果物に関しても、傷がつくとそこから腐りやすくなるため「傷む」という表現に。
破損した・腐ったという「誰が見てもわかる客観的な事実」に対して、「傷む」が使われます。
傷むの使用例
次に、傷むの使用例を紹介します。
- 先日の台風で建物が傷み、雨漏りが発生した。
- 同じスーツを毎日着用していると、スーツが傷む原因となってしまいます。
- 常温で保存した牛乳は、賞味期限内でも傷むだろう。
- 傷の入った果物を安く購入したが、食べきれずに傷んでしまった。
傷むを使う対象は、基本的には物となります。
また壊れてしまった対象物が、痛いと感じない存在であるなら「傷む」という表現に。
建物もスーツも牛乳も果物も、大きな分類では「物」ですよね?
これらは壊れても自発的に「痛い」と言う存在でないため、「傷む」となるんですよ。
「痛む」と「傷む」の違いについて
最後に、「痛む」と「傷む」のそれぞれの違いを表にまとめてました。
言葉 | 意味や違い |
---|---|
痛む |
|
傷む |
|
大きなくくりの違いでいうと、
- 人であれば、基本的には「痛む」
- 物であれば、基本的には「傷む」
・・と覚えるといいですね。
「髪がいたむ」はどちらが適切なのか
髪は痛いと言わない
ここでどちらを使うか迷ってしまう、髪の毛について考えてみましょう。
まず髪の毛は体の一部なので、「痛む」が適切だと思うかもしれません。しかし髪の毛自体は痛覚がなく、パーマをかけても脱色してもカットしても何も感じませんよね?
そのため「髪の毛がいたむ」といった場合、「傷む」という字を使います。
…という表現で覚えておくと、もう迷いませんね。
ちなみに爪が荒れた場合は、爪には痛覚がないため「傷む」と表現。ただし深爪したり割れれるなど怪我をした場合は、「爪が痛い」と表現します。
人か?物か?
「痛む」と「傷む」は同音意義語のため、どちらを使えばよいのか良く迷う言葉です。
しかし、
- 対象が何になるのか?
- 誰でもわかるのか?
で判断するとわかりやすいですね。
体や心が苦痛を感じたときは「痛み」、物が壊れたり腐った場合は「傷み」を使用。特に迷いやすい髪の毛に関しては、痛点がないので「傷み」を使いましょう。
「痛む」と「傷む」、意味の違いを理解した上で、間違えないように使い分けたいですね。
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