おせちに欠かせない「お煮しめ」は、お重(おじゅう)の三段目に入る重要な一品。味の染みた野菜が美味しく、お正月以外でも食べる方が多いのではないでしょうか。
ところで、お重に入るお煮しめですが、家によって「煮しめ」や「筑前煮」などバラバラ。どちらも同じ料理のような気がしますが、作り方などに違いはあるのでしょか?
また他にも、うま煮やがめ煮など、いろんな煮物の種類がありますね。
そこで、煮しめと筑前煮の違い、そしてうま煮やがめ煮がどんな煮物なのか?といった内容についてまとめましたので、ぜひ覚えてくださいね!
煮しめとは?
濃いめの味は保存のため

煮しめとは、根菜類・里芋・こんにゃく・しいたけ・筍などを煮た料理のこと。地域によっては具は多彩で、肉を入れる地域もあれば入れない地域もあります。
味は醤油ベースの甘辛味のことが多く、味噌味などの場合でも味はやや濃い目。
これはお正月の間に調理をしなくて済むように、保存性を高めているからなんですね。
お正月の煮しめは特別
お正月を意識して作る場合、特に次の具を入れると縁起が担げます。
梅の花の形に飾り切りすることで、新春らしさを演出。○レンコン
穴が空いていることから、先を見通せるという意味に。○ゴボウ
細長い形状から、細く長く生きるという縁起担ぎに。○しいたけ
六角形に形を揃えることで亀の甲羅に見立て、長寿の縁起物に。○里芋
小芋・孫芋とたくさん芋がなることから、子孫繁栄に。また六角形に切って、亀の甲羅に見立てて長寿の縁起物に。
地域によって縁起担ぎとなる具は異なるので、先輩方に確認してから作るのも良いですね。
名前の由来は煮方から
「煮しめ」という名前の由来は「煮しめる」という、調理方法から来ています。
煮しめるとは、煮汁が少なくなるまで煮込む調理方法のこと。短時間で一気に煮込むのではなく、ある程度時間をかけてゆっくりじっくり煮込みます。
実は煮込み料理では、短時間で一気に煮込んでも味があまり染みません。特に根菜類は一度沸騰させてから火を止めると、冷めていく工程で味が浸透。
そのため弱火でコツコツ煮込んだり、冷ましてから再加熱するとより美味しくなるんですよ。
□お煮しめ レシピ動画
https://youtu.be/svisAcbZjBg
*具材は一度下茹ですると、更に美味しく仕上がりますよ。
筑前煮とは?
筑前地方の郷土料理

筑前煮とは煮物の一種で、福岡県筑前地方の郷土料理です。
具材は
- 根菜類
- しいたけ
- こんにゃく
- 筍
などで、煮しめとほぼ同じ。
煮しめと違うのは、ここに鶏もも肉が加わること。
そのため、煮しめよりやや食べごたえがあり、野菜嫌いの人でも食べやすくなっているんですよ。
味は煮しめと同様に醤油ベースに砂糖を加えた、やや濃い目の甘辛味。ここに肉の油分と旨味が加わるため、うま煮よりもしっかりした味わいが楽しめます。
炒めてから煮る
筑前煮の作り方ですが、一度具材を油で炒めてから煮込みます。
先に鶏もも肉を油でさっと炒めから取り出し、火の通りにくい根菜類から炒めていきます。そこに火の通りやすい具材を加えて炒め、再び鶏もも肉を投入。
全体に油が回ったら醤油などを加え、さっと煮て味を染み込ませていきます。
ちなみに、うま煮やがめ煮は?
うま煮とは
うま煮は煮物の一種で、ニンジン・ゴボウなどの根菜類やしいたけ・筍などを煮た料理。地域によっては鶏肉・豚肉が入ることもあり、また煮しめの別名だとする場合もあります。
煮しめという名前の由来は、「旨味(うまみ)」が凝縮された煮物だから。また特に甘みを強く出した味付けをすることから、「甘煮(うまに)」から来たという説もあります。
うま煮の作り方は、基本的には煮しめと同じ作り方で大丈夫。
ただし味付けにはみりんや砂糖を使い、やや甘みを強くして仕上げます。甘みを多くするのは煮しめと同じく、長期間保存出来るようにするためなんですよ。
がめ煮とは
がめ煮は筑前煮の一種で、筑前地方の方が筑前煮をさして言う言葉。
がめ煮の「がめ」とは、博多弁で「寄せ集まる」という意味の「がめくりこむ」が由来となっています。
また、現在は鶏もも肉をいれますが、かつては博多で取れたスッポンや亀を使用。亀を煮たものということで、がめ煮とも呼ばれたという説もあるんですよ。
作り分けて食べ比べたい!
おせちに入れる煮物はたくさん作っておくと、お正月の料理を作る手間が省けて便利。そのため少し濃い目の味付けにして、保存しやすくするのが美味しく頂くコツなんですよ。
具材をじっくり「煮しめる」煮しめに、一度油で炒めてから煮る、がめ煮こと筑前煮。甘めの「旨味」が美味しいうま煮も含めて、どの煮物を作るか迷ってしまいますね。
せっかくなので、それぞれの煮物を作ってみて、味の違いを確かめてみませんか?
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