「立てば芍薬、座れば牡丹」ということわざをご存知ですか?
最近ではあまり聞かれなくなりましたが、これは女性の立ち振舞いを例えることわざ。この中で登場する芍薬(シャクヤク)は、牡丹(ボタン)に似た美しい花なんです。
そんなシャクヤクの花言葉には、どんなものがあるのでしょうか?
気になる、シャクヤクの花言葉やどんな花なのか?、また牡丹との違いについてご紹介します。
シャクヤクの花言葉は
恥じらうシャクヤク
シャクヤク(芍薬)の花言葉には、次のものがあります。
- 恥じらい
- 慎ましさ
- はにかみ
「恥じらい」「慎ましさ」「はにかみ」という花言葉には、シャクヤクの咲き方と、言い伝えが元になっています。
シャクヤクは、
- 日中に花を咲かせ
- 夕方には花びらを閉じる
といった特徴があります。
その様子が「恥ずかしがりやの妖精が花に隠れている」と、イギリスの民話では伝えているんですね。
また英語には、「blush like a peony」という、「恥ずかしがる」という意味の慣用句があります。
ここに登場する「peony」とは、シャクヤクの英名。「blush」は「赤面する」という意味ですので、まるでシャクヤクのように赤面するという表現になります。
これらの伝説や言い回しから、恥じらいや慎ましさといった花言葉がつけられたというわけですね。
色別の花言葉は
次に、シャクヤクの色別の花言葉を紹介します。
ピンクのシャクヤク
シャクヤクといえばピンク色をよく見かけますが、その花言葉は「はにかみ」。シャクヤク全体の花言葉と同じく、女性の恥じらう様子に例えているんですよ。
白のシャクヤク
白は清らかな女性に例えられる色で、ウエディングドレスのイメージにも。幸せそうな結婚と重なるのも、納得出来ますね。
赤のシャクヤク
赤い花は情熱的な花言葉が多いのですが、シャクヤクに関しては誠実という意味に。シャクヤクが持つ全体的なイメージも、影響しているのかもしれませんね。
シャクヤクとはどんな花?
ボタン科の花
シャクヤクはボタン科ボタン属の多年草で、高さ60センチほどに成長する東アジア原産の植物。
開花時期は4月~6月にかけてで、直径10センチ~20センチ程度の赤・白・ピンクの花が開花します。
シャクヤクは江戸時代より盛んに品種改良が行われ、日本では一重咲きの品種が多く誕生しました。一方で西洋では八重咲きの品種改良が行われ、日本のシャクヤクとは違った品種が。
明治時代以降は日本の品種と西欧の品種を交配させ、新しいシャクヤクも誕生しているんですね。
シャクヤクは癒やしの効果が
シャクヤクを漢字で書くと「芍薬」となりますが、これは中国で漢方薬として用いられていたからなんです。
日本に伝わった際も「薬」として伝えられ、中国で使われた漢字をそのまま音読したものが定着しました。
実際にシャクヤクの根には消炎・鎮痛効果があり、日本でも「生薬」として認められているほど。風邪薬にも「シャクヤクエキス」が配合されていることがあり、シャクヤクは馴染み深い植物と言えますね。
ちなみにシャクヤクの英名「peony(ピオニー)」は、ギリシャ神話の医術の神「パイエオン」が語源。パイエオンが出産の痛み対策に、シャクヤクを使ったという伝説から名前が取られました。
西洋でも医薬が名前に関係しているのは、なんだか面白いですね。
牡丹(ボタン)との違いは?
牡丹とは
牡丹(ぼたん)はボタン科ボタン属の落葉低木で、シャクヤクの遠い親戚に当たる植物。原産国は中国北西部で、「花の王」として中国で愛されているんです。
それというのも、かつては種でしか育たず、文字通りの高嶺の花。しかしシャクヤクを利用した接ぎ木が可能となり、多くの人が楽しめるようになりました。
牡丹の花は4月~6月頃に、直径10~20センチ程度の赤や白の花が咲きます。その花はシャクヤクと似ているため、区別が付けにくいんですね。
シャクヤクと牡丹の違いは
シャクヤクと牡丹の最大の違いは、「多年草」か「樹木」かどうか。
シャクヤクは多年草で、冬になると葉や茎を枯らし根の状態で冬を乗り越えます。一方の牡丹は樹木のため、冬も枝や幹が残ります。
またシャクヤクと牡丹の花も、よく見ると違いが。
シャクヤクは蕾の先端が尖っていて、花は甘いバラのような香りが。花が散る時は潔く、花全体がそのまま落ちてしまいます。一方の牡丹の蕾は丸みを帯びていて、花はそれほど香りがしません。そして花が散る時は、花びらが一枚づつ散っていきます。
芍薬(しゃくやく)と牡丹(ぼたん)の特徴や違いをまとめると次の通りになりますね。
芍薬(しゃくやく) | 牡丹(ぼたん) | |
---|---|---|
分類 | ボタン科ボタン属の多年草 | ボタン科ボタン属の落葉低木(樹木) |
開花時期 | 4月~6月頃 | 4月~6月頃 |
花の大きさ | 直径10~20センチ程度 | 直径10~20センチ程度 |
花の色 | ピンク・白・赤など | 赤・白など |
花の特徴 | 蕾の先端が尖っていて、花は甘いバラのような香りがする | 蕾は丸みを帯びていて、花はそれほど香りがしない |
花が散るとき | 潔く、花全体がそのまま落ちる | 花びらが一枚づつ散っていく |
立てば芍薬
「立てば芍薬、座れば牡丹」のことわざは、シャクヤクの見た目をよく表しています。
60センチ程度に成長して美しい花が立つ姿は、すっと立ち上がった女性のよう。花言葉も清楚なものが多く、女性にプレゼントしやすい花と言えますね。
牡丹と間違えやすい花でもありますが、芍薬と牡丹では開花時期や花の散り方に違いがあるんです。
美しい芍薬(シャクヤク)の花言葉を覚えて、ぜひ素敵な女性に花を贈りましょう!
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