先日メールで「3個づつ」と書いて友人に送信したところ、「ずつ では?」と指摘のメールが。その時は「打ち間違えた!」で終わりにしましたが、今まで気にせず打っていた事に驚きました。
プライベートなメールだったから良かったものの、これが仕事のメールだとしたらちょっと不安ですね。
気にすること無く使っている「づつ」「ずつ」ですが、実際はどちらが正しいのでしょう?
「ずつ」と「づつ」の違いや、それぞれの言葉の使い分けについてまとめてみました!
「づつ」と「ずつ」の違いとは
現代かなづかいと歴史的かなづかい
実は「づつ」と「ずつ」ですが、どちらを使っても間違いではありません。
しかし学校の授業では、「ずつ」を使うように指導されます。更に新聞などの活字メディアでも、特別な場合を除き「ずつ」の使用が推奨されます。
実は、
- 「ずつ」は「現代かなづかい」
- 「づつ」は「歴史的かなづかい」
なんですね。
歴史的かなづかいとは
「歴史的かなづかい」とは主に戦前まで使われてたもので、平安時代あたりの言い方を元にしています。
旧かなづかいとも言う事があり、古典の授業などでよく見かけるもの。
有名なものですと「てふてふ」があり、これは「ちょうちょ」と読みますね。書いた文字と実際の発音に違いがあることが多く、現代の私達から見るとわかりづらい部分もあります。
しかし当時の人たちは「そういうものだ」と教えられたので、特に不自由はしていなかったんですよ。
ただ発音と文字が違うために、昭和21年(1946年)に当時の文部省が国語改革を実施。その時に文字と音が一致する言い回しに改められ、その中には「づつ」もありました。
そのため「づつ」ではなく「ずつ」を使うようになり、「づつ」「ずつ」と二つの言葉が使われるようになったと言われています。
「づつ」「ずつ」、それぞれの言葉の使い分け
基本的には「ずつ」
現代仮名づかいでは、一部の例外を除いて「ずつ」が推奨されています。改定された当時は、必ず「ずつ」を使うようにと指導されていました。
しかし昭和61年(1986年)に見直しがされた際に、「づつを使っても良い」と緩和されました。
「づつ」も間違いではないけれど、できれば「ずつ」を使うという方針へと変わったわけですね。
これは古典文学などで「づつ」の表現が出た時に、間違いだという誤解が生まれかねないため。現代文学でも時代背景に合わせて、あえて「づつ」を使うことへの配慮もあります。更に年配者が「づつ」で教育を受けていたため、一般的に「づつ」が使われることが多かったのです。
前置きが長くなりましたが、普段の文章は「ずつ」の使用が好ましいです。
ですから、
一つづつではなく、一つずつ、
三回づつではなく、三回ずつ。
「づつ」も間違いではありませんが、相手方から間違いと指摘される可能性もありますので気をつけたいですね。
「づつ」を使うとき
基本は「ずつ」ですが、一部の文章では「づつ」を使う場面があります。
まずは、古典文学の原文を書き写すとき。原文に忠実にですから「づつ」とあるなら「づつ」と書き写します。
同様に小説などの原文が「づつ」となっている場合も、「ずつ」に修正せず「づつ」のまま使います。
また「つ」が重なる場合は、「ずつ」ではなく「づつ」とします。
例えば「竹筒」をひらがなで書く場合、「たけずつ」ではなく「たけづつ」となります。筒は「つつ」と「つ」が重なる言葉。音が濁っても「ずつ」は使いません。
とはいえ「筒」以外で「つつ」となる字はほとんどないので、筒が例外と覚えておくと判りやすいですよ。
「ず」と「づ」の使い分け
音が同じだけに、使い分けの難しい「ず」と「つ」のひらがな。
しかし2つの例を覚えておくと、どちらを使うのか迷いにくくなります。
□音が濁る場合
例えば「塚」をひらがなで書いた場合、「つか」となります。
もし「宝塚」と書いた場合、ひらがなでは「たからづか」となり「たからずか」とはなりません。同じように「薄墨」の場合は、「墨」は「すみ」となるため「うすずみ」になります。
この様に音が濁る場合は、「す」は「ず」「つ」は「づ」とします。
□同じひらがなが重なる場合
「筒」の例でもだしましたが、同じひらがなが重なる場合は前と同じ字を使います。
例えば「続き(つづき)」「鼓(つづみ)」などは、「ず」ではなく「づ」を。一方で「硯(すずり)」「鈴木(すずき)「雀(すずめ)」などは、「づ」ではなく「ず」です。
子供にひらがなで言葉を教えるときは、この2点に注意しましょう。
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「づつ」でも間違いではない
「づつ」と「ずつ」の違いは、文部省(現在の文部科学省)が決めた「かなづかい」の違いによるもの。
厳密な事を言えば「ずつ」を使うべきですが、昔から馴染みのある「づつ」も間違いではありません。
ですから年配の方が「づつ」を使っていても、覚え間違いではないんですよ。
公的な文章では「ずつ」が推奨されるので、注意したいのであれば普段から「ずつ」を習慣づけましょう。
一方で古典に親しむのであれば「づつ」も使うということも頭の片隅に入れておくといいですね!
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