よく話題の中心となっている人のことを、「台風の目」と言う事があります。一方で台風が接近しているときにも「台風の目」という言葉が出ることがありますね。
話の前後を見ればどちらの意味で使っているのかは分かるものの、「台風の目」とは一体どういうものなのでしょう?
そこで「台風の目」の意味と、どうして発生するのか?また台風の目の中はどうなっているのか?といったことについてまとめてみました。
台風の目とは?
天気の「台風の目」とは
まずは、気象の「台風の目」から説明しましょう。
夏から秋にかけて発生する台風とは、猛烈な熱帯低気圧のことを指します。台風が通過する地域では暴風雨となり、場合によっては土砂災害が起こることもあります。
そんな台風ですが、はるか高い位置から見ると、渦を巻いた雲のかたまりが確認できます。そしてこの渦の中心部は雲がなく、まるで目のように見える事から台風の目と呼ばれています。
気象衛星から送られてくる、日本上空からの雲の様子は天気予報でおなじみですよね。台風が接近したときの映像を見ると、台風の中心部は雲がほとんど無いことがわかりますよ。
表現としての「台風の目」とは
表現として使われる「台風の目」には、次の意味があります。
周囲に大きな影響や話題を起こしている、人や物のこと。
台風が接近すると暴風雨が吹き荒れ、大変なことになります。しかし台風の目の部分はそれほど雨風が強くなく、場合によっては晴れていることもあります。
そんな様子から、話題の中心にいる人を台風の中心となる「目」と例えられます。さらにそこから、予想を覆すようなことを行う人や物に対しても使われます。
例えば大相撲の優勝予想では、大体が横綱・大関クラスの関取の名前が挙がりますよね。ところがいざ始まってみたら、名前も知らない平幕力士が横綱・大関を倒したとしたら?するとこの平幕力士がニュースなどで、「台風の目」と表現され話題となります。
このように誰もが予想できる人や物ではなく、意外な人・物に対して使う言葉なんですね。
台風の目はどうして出来る?
なぜ台風が出来るの?
台風の目が何故出来るのかを説明する前に、台風が出来る仕組みを簡単に説明します。
台風は海水が太陽の熱で温められて蒸発し、水蒸気となって上空へと昇っていきます。このとき一度に大量に水蒸気が昇ると、上昇気流を生み出しつつ冷えて雲に変化します。
すると上昇気流から発生した風が、雲の中心部へと吹き込みます。
これが渦となって周囲の雲を巻き込み、どんどん成長して台風となるのです。
遠心力で
一度中心部へと風が吹き始めると、遠心力が発生します。遠心力とは円出回り続ける力があると、円の中心から外へ向かおうとする力のこと。
この遠心力が発生することで、中心部へ吹いていた風が今度は外側へと逃げていきます。この時中心部にあった雲も、風に押し流されるように外側へと移動します。
その結果中心部の雲が薄くなって空洞となり、台風の目となるのです。
□台風の目 2015
*雲が渦を巻き、中心部に目が出来る様子が良くわかります。
もし洗面器が身近にあるなら、水を張って中心部で指をぐるぐる回してみましょう。すると水が渦を巻き、指を回している中心部の水が減って底が見えることがあります。
これと同じことが、台風の中心部で起こっているわけですね。
台風の目の中はどうなっているの?
雲が薄いので雨を降らせる力が弱く風も吹かない
台風の目の部分にさしかかると、それまでの暴風雨が嘘のように収まることがあります。場合によっては雨も上がり、青空が見えることも。
これは台風の目は雲が薄いためで、雨を降らせる力が弱く風も吹かないのです。
□台風の目
*一部分だけ青空が見えますが、周囲が厚い雲に覆われているのがわかりますね。
台風の目を追いかけ続けるのは無理
ちなみに台風の目の部分を追いかけ続ければ、台風のさなかでも雨風は降りません。しかしこれは理論上での話であって、実際に台風の目を追いかけ続けるのはまず無理です。
台風の目は台風の規模にもよりますが、およそ10kmから50km程度。
更に台風の目から外れた部分は、台風でもっとも雨風が強くなる部分となります。試す人はいないと思いますが、危険ですので絶対にやめましょう。
晴れたのは一時的
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台風の目に入ると青空が広がるため、台風が通過したと勘違いする人もいるかも知れません。
しかし台風の目は台風の中心部。中心部を過ぎれば再び暴風雨の部分に突入します。そのためうっかり外出すると大変なことになるため、屋内で過ごすのが無難です。特に子供がいる家庭では、子供が外に出ないように注意が必要。
天気予報を確認して、完全に台風が通過するのをゆっくり待ちましょう!
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