メジメと雨が降る梅雨は、洗濯物が乾かない・カビが生えるなど厄介な季節です。毎日続くジメッとした天候に、「梅雨のない場所に移動したい!」と思う方もいるかもしれませんね。

実はこの時期の北海道は梅雨がなく、そのため北海道を旅行先に選ぶ方が増えています。

しかし北海道は本当に梅雨がないのでしょうか?あるいは気が付いていないだけで、実は梅雨はあるのでしょうか?梅雨の時期に北海道に行かれる方ならとても気になるところですね。

北海道に梅雨がないと言われている理由と、この時期独特の北海道の天候について紹介していきます。

北海道に梅雨がない理由

梅雨のメカニズム

まず「梅雨」がどうして起こるのかを、簡単に説明します。

梅雨は上空でオホーツク海高気圧と、太平洋高気圧がぶつかり合う事で発生します。

オホーツク海気圧は北海道上空で4月頃から発生する、空気の冷たい高気圧のこと。一方の太平洋高気圧は太平洋上空で発生する、暖かい空気の高気圧のことを言います。

このオホーツク海気圧と太平洋高気圧がぶつかり合うと、その境目では太平洋高気圧が含む水分が冷やされて雨が発生。これが雨となり、境目に当たる地域では湿った雨が降り続ける原因となります。

北海道上空では?

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5月ごろより2つの高気圧は、沖縄の南方でぶつかり合いそのまま北上。そして日本列島を横断する梅雨となり、ニュースなどで「各地で梅雨入り」などと報じられるようになります。

しかし、北上するほどオホーツク海高気圧の強い地域へと近づくため、勢いが弱まる結果になります。北海道と本州の間にある津軽海峡で梅雨前線が弱まるため、北海道に梅雨がないと言われるのです。

なおオホーツク海高気圧は、7月下旬頃には勢力が弱まって消滅します。このことで北海道を含めた全国各地が、太平洋高気圧に覆われて「夏」となります。

北海道は広い

北海道に梅雨が無いと言われるもうひとつの理由としては、北海道の広さが関係しています。

確かに梅雨前線は津軽海峡付近まで到達しますが、そこはいわゆる「北海道の端」の部分

実は津軽海峡に近い函館から札幌までは、高速道路を利用しても4時間かかるほど離れています。移動距離にすると300Kmですので、本州で言えば東京-名古屋間の距離ぐらい。これだけ離れていれば、梅雨前線の影響を受けない事がわかりますよね。

そのため一部の地域が梅雨の影響を受けていても、北海道の大多数が梅雨と無縁となるのです。

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北海道にある「梅雨」とは?

蝦夷梅雨を知っていますか?

北海道上空では威力を発揮しない梅雨前線ですが、全く影響がないわけではありません。

太平洋高気圧がとても強い場合や、オホーツク海高気圧が弱い場合などは曇り空になることも。特に津軽海峡沿いの道南地方では、梅雨前線の影響を受けて雨が降ることがあります。

また本州で降る梅雨とは別に、「蝦夷梅雨(えぞつゆ)」と呼ばれる雨が降ることもあります。

これはオホーツク海高気圧から冷たく湿った風が吹くことで、梅雨のような湿った雨が降る現象主に道東地方の太平洋側、釧路・根室地方に雨を降らせます。

いずれも6月下旬から7月にかけて降りますが、長くても10日も続かないのが特徴。また降ってもパラパラとした雨なので、北海道の人にとっては不快に感じない雨となっています。

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梅雨が無くても「リラ冷え」がある

北海道において梅雨・蝦夷梅雨よりも気をつけたいのは、「リラ冷え」と呼ばれる現象です。

リラ冷えとは蝦夷梅雨の時期より早い、5月下旬から6月中旬頃にかけて起こる低温のこと。原因は蝦夷梅雨と同じく、オホーツク海高気圧からの冷たい風です。

この時期の北海道は青天が続き、気温も20度近くになりとても過ごしやすい気候です。

しかしリラ冷えになると気温が10度ほど下がり、釧路地方ではストーブを焚いて過ごすこともあるんです。暖かいからと油断したときにいきなり冷え込むため、体調を崩しやすくなってしまうんですね。

ちなみにリラ冷えの「リラ」は、札幌の花「ライラック」のこと。ライラックの花が咲く時期に冷え込む事で、北海道の気象用語として使われるようになりました。

ライラックの花は甘い香りがして素敵なのですが、リラ冷えは遠慮したいですね。

*ライラックは北海道ではお馴染みの花で、青空によく似あう紫の花をつけます。

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それでも爽やか北海道!

海道独特の梅雨が存在しているものの、この時期の北海道は湿度も低く爽やかな季節です。

急に冷え込む日もありますが、上着を一枚用意することで充分対策が可能です。ジメジメとする梅雨空に嫌になったら、北海道に遊びに行きませんか?

北海道新幹線も開通しましたので、東京から函館までなら最短4時間10分で行く事ができるようになりました。より近くなった梅雨のない北海道で、爽やかな空気をたっぷり吸い込むのもいいですね。