より日本では、その時期に合わせた様々な行事が行われています。カレンダーを見ていると、そんな行事の日が書かれていて、見ているだけでワクワクしますよね。

そんな中で一つ気になったのが、「社日」というもの。文字だけ見ると、会社や社会に関係する日なの?と思ってしまいますね。

そんな読み方も気になる「社日」の2024年の日付、また社日の意味や由来について紹介します。

社日とは?

読みは「しゃにち」

社日ですが、読みは「しゃにち」と言います。

地域によっては、

  • 「春社」(しゅんしゃ・はるしゃ)
  • 「秋社」(しゅうしゃ・あきしゃ)

とも呼ぶので、これなら知ってる人もいるのではないでしょうか。

しかしどちらにしても聞きなれない言葉で、初めて知ったという人も多いかも知れませんね。

鳥居

社日は雑節の一つ

社日は節分や八十八夜などと同じく、「雑節」の一つです。

日本には四季をおよそ24等分にした、「二十四節気」という考え方があります。春分・秋分・夏至・冬至などが二十四節気で、様々な行事を行うお馴染みのものですね。

この二十四節気は元々中国で行われていたものが、日本に伝わったもの。そのため日本の気候に合わせると、ちょっと合わない部分があるんです。なので「日本では取り入れたい、季節の行事がある日」を補ったのが「雑節」というわけです。

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2024年の社日はいつ?

春社と秋社の年2回ある!

2024年(令和6年)の社日は、

  • 【春社】…2024年3月25日(月)
  • 【秋社】…2024年9月21日(土)

となります。

「春社・秋社」と言われているのは、社日は年に2回ある関係で、春と秋に分ける必要があったからです。

春分の日と秋分の日に近い、戌の日

社日は年に2回あるということで、春分と秋分に似ているとも言えますね。実は、社日は春分・秋分に深い関わりがあるんです。

社日の日付は、春社は、春分に一番近い「戊(つちのえ)の日」、秋社は、秋分に一番近い「戊(つちのえ)の日」となるからです。

戊の日は、10日周期で繰り返す「十干(じっかん)」の一つ。十二支と合わせて干支(じっかん)と呼ばれます。

■十干(じっかん)

  • 甲(こう・きのえ)
  • 乙(おつ・きのと)
  • 丙(へい・ひのえ)
  • 丁(てい・ひのと)
  • (ぼ・つちのえ)←戊の日
  • 己(き・つちのと)
  • 庚(こう・かのえ)
  • 辛(しん・かのと)
  • 壬(じん・みずのえ)
  • 癸(き・みずのと)

以上が「十干」で占いに使ったり順番を表すのに使われてきました。それぞれ1日ごとに割り当てられて、10日間で一巡していきます。この中でも「戊(つちのえ)」は十干の5番目になります。

2024年(令和6年)の春分・秋分の日付から、それに近い戌の日を見てみると、

  • 春分(3月21日)に一番近い戊の日は、3月25日
  • 秋分(9月23日)に一番近い戊の日は、9月21日

となるのがわかります。

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春分、または秋分の日が癸の日の場合は注意

ちなみに、春分、または秋分が「癸(みずのと)の日」の時は注意が必要です。

十干は10日周期になる関係で、春分、あるいは秋分が「癸の日」になる場合、戊の日(前)と戊の日(後)のちょうど中間になるからなんですね

この場合の社日の日にちの決め方については、2つの考え方があります。


  1. 春分・秋分になった瞬間が午前中なら前の戊の日、午後なら後の戊の日とする
  2. (時間に関係なく)前の戊の日とする

現在では社日は前の戊の日とするという考え方が一般的です。

ちなみに、2019年(令和元年)の秋分の日は、癸の日にあたっていました。そのため、秋分の日から数えて「前の戌の日」と「後の戌の日」が同日数(それぞれ5日前、5日後)だったんですね。そこで、秋社(秋の社日)は前の戌の日としています。

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社日の意味や由来

土に関係ある日

土の恵み

社日を決める「戊の日」には、土が密接に関係しています。その意味は「つちのえ」という言葉にある通り、「土の兄」というもの。

ちなみに兄という表現は、「陰陽」の「陽」を表す言葉となります。陽は光の側面で太陽を表す、陰陽という中国の考え方の一つ。こう書くと難しそうですが、簡単に「土に関係のある日」と考えましょう。

五穀豊穣を願って

また社日の「社」には、その土地を守護する「産土神(うぶすなかみ)」という意味があります。地域ごとに産土神は存在し、守護する土地を豊かにしてその土地を生きる人を守ってくれる存在です。

そのため社日には大地に感謝し、産土神を祀って五穀豊穣を祈願する習わしがあります。

一般には、

  • 春の社日…麦や米などの五穀を奉納し、この年の豊作を祈願します。
  • 秋の社日…その年にとれた最初の稲(初穂)を奉納し、感謝を神様に伝えます。

ちなみに産土神は引越しなどでその土地を離れても、一生守ってくれる神様という側面もあります。なので安産の神様という考え方もあり、子供が欲しい方や妊婦さんに人気の神様でもあるんです。

大地は女性の象徴とも言われていますし、五穀豊穣と子宝祈願はどこか似ているのかも知れませんね。

お酒を飲むと耳が良くなる!?

社日はその土地に密接に関係しているため、地域ごとにその特色が大きく変わります

例えば産土神がいらっしゃる日なので、社日には土を触らない・農作業を行わない風習が残っている地域もあります。これはお祭りの日は休んで、日頃の労をねぎらうという側面もありますね。

筥崎宮の秋季社日祭(お潮井とり)

*福岡の筥崎宮では、海岸の砂を集めて清める「お潮井とり」という風習があります。この砂にはお清め効果があり、体にかけたり新築物件にかけたり畑に巻いたりするんですよね。

また「社日」に鳥居のある神社を七社参拝すると、ボケ防止や痛風よけにつながるという言い伝えもあります。

更に「春社の日」に日本酒を飲むと、そのお酒は「治聾酒(じろうしゅ)」になるとか。耳が悪くなるのを防ぐそうなので、この日は美味しく日本酒を飲みたいですね。

あなたの地元でも…

畑

業に携わる方以外では、知らない人も多い社日。しかし地元に密接した日なので、地元の神社のお祭りが行われることも多いんですよ。

あるいは昔から伝わる風習で、春先や秋口に行うものは、社日が関わっていることも多くあります。

自分が知らなかっただけで、実はこの風習が社日が由来という事もあるかも知れませんね。気になったら確認してみて、その土地ならではの「社日」を楽しんでくださいね