「半夏生(はんげしょう)」という言葉をご存知でしょうか?
関西地方では梅雨明け頃に、スーパーのチラシなどで良く目にする言葉です。鮮魚コーナーでタコが沢山売られていて、「半夏生にはタコを食べよう!」と宣伝していますね。
他の地域ではあまり馴染みのない「半夏生」とは、一体どういうものなのでしょうか。
半夏生の由来や、2024年の半夏生はいつなのか?また、どうしてタコを食べるのかについてお伝えします。
半夏生とは?
農家が一休み

日本では1年を24等分し、その節目節目に名前がつけられています。それが「二十四節気(にじゅうしせっき)」ですが、さらに季節の移り変わりをより表現するために、補うかたちで設けられたのが「雑節」(ざっせつ)です。節分や八十八夜なども雑節に該当しますね。
半夏生(はんげしょう)は、その雑節の一つで、梅雨の終わり頃の時期を指す言葉なんです。
農家にとって半夏生は、畑仕事や田植えを終わらせる目安となり、その後は数日休む習わしがありました。また、半夏生にとれる野菜は毒気を含むとも言われ、その点でも休む事が推奨されてきました。
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「半夏生」という言葉について
「半夏生」という言葉には幾つかの語源があります。
有名なところでは、「カラスビシャク(烏柄杓)」という毒草の生える時期だから、というものがあります。カラスビシャクの別名が「半夏(はんげ)」であり、半夏の生える時期だから「半夏生」と呼ばれたのだというわけです。
またそれとは別に、「半夏生」の花が咲く時期だからという説もあります。こちらの「半夏生」は「片白草(かたしろぐさ)」と言う毒草で、その名の通り葉の一部が白くなる特徴があります。
半夏生の名前を持つ草がいずれも毒草というのは、半夏生に取れた野菜の話と重なって面白いですね。
□ハンゲショウ(半夏生)【東大寺別院周防阿弥陀寺】
*こちらが片白草です。鮮やかな白さがきれいですね。
2024年の半夏生はいつ?
2024年(令和6年)の半夏生は、7月1日(月)です。
昔の半夏生は、夏至から数えて11日目としていましたが、現在はより正確性を高め、黄道(地球上を太陽が1年掛けて通る道)を基準としています。
その黄道が100度の点を太陽が通過する日を、現在では半夏生としています。
少々わかりづらいのですが、「そういうものなんだ」と軽く覚えておく程度で大丈夫。黄道100度の通過日は毎年7月2日前後になりますが、2023年も7月2日が半夏生になります。
半夏生に食べるものとは
半夏生にタコを食べるわけ
半夏生にタコを食べる風習は、主に関西地方で行われています。

元々は田植えを終えた農家が、神様に食べ物を捧げて豊作を願ったことから始まりました。その時にタコを捧げて、豊作祈願後にみんなで食べたことが、「半夏生にタコを食べる」となりました。
タコが捧げものに選ばれた理由としては、
- 八本足で稲がしっかり根を貼ることを願ったから
- タコに沢山生えた吸盤のように、稲も沢山実る事を願ったから
といった説があります。
実利的な面では、疲労回復の効果がある、「タウリン」が含まれている事があげられます。昔の人は長年の経験で、田植えで疲れた時に、タコを食べたら元気になったことを知ってたんですね。
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うどんも食べる

関西ではタコを食べますが、香川では半夏生にうどんを食べる風習があります。半夏生以外でも食べているじゃないかと思いますが、これにも理由があるんです。
それは、この時期に収穫された小麦でうどんを打ち、皆で食べて収穫を祝ったからというもの。収穫祭にうどんを食べたことが、現代にまで風習として伝わっているんですね。
鯖や餅も食べる
半夏生に食べられるものとしては、他には「鯖(さば)」や「きなこ餅」が挙げられます。
鯖(さば)は福井県で食べられ、一人一匹の焼き鯖を家族全員で一緒に食べる風習があります。この時期の鯖は脂が乗っていないのですが、江戸時代より疲労回復のために食べる風習が伝わっています。

きなこ餅は、奈良県と大阪府の一部で食べられています。こちらはタコと同じく神様へのお供えもので、小麦粉を混ぜた餅にきなこをつけて食べます。

いずれも実利的な面と、神様への感謝という面が重なって、色々と考えさせられますね。
タコパもよし、酢の物でもよし
半夏生の頃は、夏本番を迎える前の少々体もお疲れの時期。疲労回復効果があるタコを食べて、元気に夏を迎えたいものです。
半夏生のタコは食べ方を指定されていませんので、お好みの方法で食べたいですね。みんなで集まって「たこ焼きパーティー」をするのも良いですね!
また、さっぱりとした「酢の物」にするもよいですし、新鮮なタコが入手できたら刺身も美味しいですね。あるいは、昔ながらの煮物にするのも美味しいですよ。
ぜひ半夏生には様々なかたちでタコを食べて、みんなで元気になりましょう!
ネットショップならたこ焼き器も様々な種類がありますし選ぶのが楽しくなりそうですね。
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私たちのところでは焼き鯖を食べます。