
「花より団子」ということわざはご存知ですか?「風流な景色などよりも、実利あるものの方に気が向く」といった意味ですね。
お花見の時に、桜そっちのけで宴会をしていると、まさしく「花より団子」。桜もきちんと鑑賞したいですね。
ところで、お花見の団子と言われると、串に刺さった「三色の団子」を思い浮かべます。あの団子をお花見の時に食べるのには、どんな意味や由来があるのでしょうか?
そこで、花見に団子を食べるようになった由来や、三色団子の色の意味、色の順番について紹介していきます。
花見で団子を食べるようになった由来
最初に花見で団子を食べだしたのは、いつの時代からなのでしょうか?実は意外な歴史上の人物が浮かび上がってくるんです。

秀吉は「花も団子も」だった
花見に団子を食べるきっかけを作ったのは、かの豊臣秀吉です。
元々春に咲く桜や梅を愛でる風習は、貴族から一般庶民にも広まっていました。貴族は花を愛でて和歌を作り、庶民は花を見ながら豊作祈願をしたと言われています。
そして時は移り変わり、戦国時代から安土桃山時代。太閤となった豊臣秀吉は、お花を見ながら頂くお茶会を盛大に開きました。慶長3年(1598年)に、京都の醍醐寺で開かれたと言われるこの茶会で、秀吉は画期的な事を発案しました。
それは、全国各地の美味しいお菓子を取り寄せて来客に振る舞ったのです。茶会の席ではお口直しにお菓子が出されますが、そこに全国の銘菓を使ったのですね。
花見の場で甘いお菓子を食べる習慣が出来たのは、これがキッカケだと言われています。
江戸の庶民は花より団子
その後、江戸時代になり、江戸の庶民が花見をしながら団子を食べる習慣が広まるようになりました。
広まった理由ははっきりとしていませんが、一説には、団子屋が花見の季節に団子を売りだした、のがキッカケとも言われています。
今も昔も商売上手な人はいるものなのでしょうね。
◆【スイーツレシピ】三色団子 3-color Dango
https://youtu.be/qC-54JWWcyU
ちなみに、こちらの動画のように、三色団子は家でも簡単に作ることができます。
お花見の際にぜひ手作りしてみませんか?
三色団子、それぞれの色の意味は?
花見に欠かせない「三色団子」。市販の三色団子の色は上から、
- 赤(桜色)
- 白
- 緑
の順になっているのがほとんどですね。それ以外の色は、あまり見かけないのではないでしょうか。
色の順番も決まっているように思えるのですが、それぞれどのような意味があるのでしょうか。
三色は季節を表す
最も有名な説が、団子の三色で季節を表しているというもの。
- 赤は、桜色または太陽の色で、「春」
- 白は、雪で「冬」
- 緑は、新緑で「夏」
…をそれぞれ表しているのです。
ところで、この中には「秋」が見当たりませんよね?どこにあるのでしょうか。
これには、秋がない=あきないで、食べ「飽きない」というオチがつきます。洒落っ気の効いた江戸の食べ物と考えるか、団子屋が商売上手と考えるかは、人それぞれですね。
三色で春を表す
一方で三色団子の色は全て春を表すという説もあります。
この場合、
- 赤は、桜色または太陽の色(春のイメージ)
- 白は、白酒(桃の節句に飲むお酒)、残雪(早春)、春霞(季語:早春)春の白い空
- 緑は、一斉に芽吹く緑(力強い春)、よもぎ(春の野草)
…を表します。
赤は、先程の「季節」の説明(春を表す)ところと同じですが、あわせて、白酒、残雪、春霞、よもぎなど…いずれも「春」を指す意味となるわけですね。

邪気を払う縁起物
さらに三色全てにおめでたい意味があり、縁起をかつぐ食べ物であるという説もあります。
- 赤は、紅白(紅)でおめでたい
- 白は、紅白(白)でおめでたい
- 緑は、邪気を払う効果があるのでおめでたい
また、赤や白は桜の色。その桜は春の花なのでおめでたい。きっと桜の木の神様だって喜んでくれる!…といった理由です。
これだけおめでたい事が重なれば、食べるだけでうれしくなりそうですね。
三色の順番には意味がある?
三色団子は、「赤・白・緑」の順番で串に刺さっています。この順序にも、2つほど理由があります。
桜が咲く順序を表している
一つには「桜が咲く順序を表している」というもの。
- 赤いつぼみがついた後に
- 白い桜の花が咲き
- 散った後は緑の葉が成長する
団子の串一つで桜の季節を表現してるのは、とても素敵ですね。
早春の情景を表している
もう一つの説は、「早春の情景を表している」というものです。
- 空には柔らかな太陽(赤)
- 地表にはまだ残る残雪(白)
- その下からは新緑の芽吹き(緑)
または、
- 桃の桜が咲くころ(赤)
- まだ地面には雪が残る(白)が
- その下には新緑(緑)が‥
この説も的確に「春」を表現していて素敵ですね。
どちらの説にしても、昔の日本人は春を待ち望む気持ちが大きく、とてもロマンチックだったのではないでしょうか。
団子を持ってお花見に行こう!

最近のおしゃれなスイーツも良いですが、お花見には素朴な「三色団子」が良く似合います。
「花より団子」とは言いますが、しっかりとした由来もあり、色にも意味のある三色団子。甘くて腹持ちが良くて、それでいてどこか懐かしいお団子をもって花見に出かけませんか?
いつの間にか減っていたら、きっとそれは桜の木が食べたに違いないですよ!
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