人間がコンピュータより優れているところ。それは「融通がきく」と言うことではないでしょうか。
例えば、1年は365日ですが、4年に1度は「うるう年」にすることで上手にやりくりしています。
現在の太陽暦では、1年は365日ですが、実際の地球の公転周期は、365.2422日。そこで、4年ごとに2月をいつもより1日多い29日とすることで、調節しているわけですね。
同様に、地球は、1日に1回「自転」していますが、回転速度にはムラがあります。
いつも一定の速度で回っているわけではないんです。
そこで、出てくるのが「うるう秒」の問題です。
うるう秒とは何か、2016-2017年度はいつ追加されるのか、問題点や退避手段など、うるう秒にまつわることについてまとめてみました。
うるう秒とは何?
「閏(うるう)」は、もともと「差し挟む」と言う意味。
暦における「閏(うるう)」とは、
・1年の日数や月数が普段の年より多いこと
・1日の秒数が普段の日より多いこと
を言います。
前者は、「うるう年」、旧暦の「うるう月」にあたり、
後者が、「うるう秒」です。
「うるう秒」とは
うるう秒とは、数年に1度、1年間に1秒追加されるものです。
でも、何故うるう秒が発生するのでしょうか。
それには、「1日」や「1秒」の長さの決め方の歴史が関係しています。
「1日」「1秒」の長さの決め方
昔は、地球の自転を基準に「1日」の長さを決め、その24分の1が1時間、さらにその60分の1が1分、その60分の1が1秒と言うように時間の長さを決めていました。
その後、技術の進歩により、原子時計が発明され、正確な時間が測定できるようになると、実は、地球は常に同じ速度で回転しているわけではないことがわかりました。
現在、世界の時刻には、
・昔からの方法で決められる「協定世界時 (UTC)」
・原子時計による「国際原子時」
の2つがあります。
地球の自転速度が必ずしも一定でないことから、この2つはずれてしまうわけです。
協定世界時と国際原子時のわずかなズレも、積み重なると増えて行きます。
そこで、時刻のズレがプラスマイナス0.9秒以内でおさまるように、「うるう秒」による調整が行われます。
「うるう秒」による調整は、1972年に開始されましたが、それ以来、2015年までに26回のうるう秒の追加が行われています。
将来のうるう秒実施については、地球の自転速度の変化の長期予測が難しいため、知ることはできません。
次に追加されるうるう秒はいつ?
次回のうるう秒による調整は、次のように決まっています。
・2016年12月31日の最後の秒で行う(世界時)
うるう秒は、追加だけでなく減らすこともあり得ますが、これまでに行われた調整は、すべて「追加」でした。
世界時と日本時間では、日本時間の方が9時間進んでいるため、日本では、1月1日午前8時59分の最後の秒で調整が行われます。
具体的には、
2017年1月1日午前8時59分59秒の後に、
8時59分60秒が挿入され、
その後、9時00分00秒になります。
なかなかうまい方法ですね。
うるう秒が追加されることについての影響は?
2017年1月1日は、うるう秒が挿入されるため、元旦のこの日は、他の日より1秒長くなります。
そのため、どんな問題が起こるでしょうか。
時計、パスコン・スマホは?
身近なところでは、時計が1秒くるってしまうことがあげられます。
ただ、最近増えている電波時計や、デジタル放送の録画機器などは、電波で時間がコントロールされているので、その心配はないと言えるでしょう。
同様に、パソコンやスマホなども、時刻が自動的に補正されるため、特に何もする必要はありません。
NHKの時報は、いきなり1秒ずらすのではなく。0.01秒ずつ100秒かけてずらしていくとのこと。
予想されることだけに、細かい配慮がなされていることがわかりますね。
サーバ・ソフトウェアは?
普通の生活には1秒単位の狂いは特に問題にならないと思われますが、デジタル機器やITの分野ではトラブルが発生する可能性があります。
最近のパソコンやサーバー、スマホなどの端末は、うるう秒挿入時に出される特殊な信号によって、自動的に時刻が補正されます。
ところが、ソフトウェアによっては、うるう秒の追加に対応できない可能性があります。
前回は1年半前の2015年7月1日でした。
前々回の2012年のうるう秒挿入時に比べると多くのシステムで対策できていたとは言え、それでもインターネットサービスで、トラブルは発生したようです。
今回も、特定のソフトウェアやブラウザ等でトラブル発生の可能性がないとは言い切れません。
特に、業務上必要なソフトウェアについては、早い段階からサポートに問い合わせて、対応を確認しておく必要がありそうですね。
時間の大切さを感じる日にしよう
普段、何気なく過ごしてしまっている時間も、積もり積もれば結構な時間になってしまいますよね。
それにしても、天体の動きにもムラがあると言うのは、何となく「人間っぽい」感じがして、不思議と親近感がわいて来ます。
うるう秒をきっかけに、あらためて時間の大切さについて、考えてみたいですね。
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