春先の新芽の出ない時期に、野山の枯草を焼くことを、「山焼き」「野焼き」と言います。もともとは、病害虫を駆除し、灰を肥料にするのが目的でしたが、今では町おこしのイベントとして行われることも多いですね。
その山焼きの中でも特に有名なのが、奈良・若草山の山焼き。
古都奈良にふさわしく、歴史といわれのある伝統行事です。冬には珍しい花火の打ち上げもあるため、非常に人気があるんですね。
そんな若草山の山焼き、2024年の日程とスケジュール、そして見どころ、おすすめ見学スポットについて紹介します。
若草山の山焼きとは?
若草山の山焼きとは、「若草山焼き」と呼ばれ、若草山に火をつけ「山全体を燃やす」行事。古都奈良に早春を告げる一大イベントとなっています。
山焼きと言えば「農業目的」だと思われがちですが、若草山の山焼きは、山頂にある前方後円墳の霊魂を鎮めるための「神事」です。
若草山の山焼きの由来
若草山焼きの由来については、従来、若草山をめぐる東大寺・興福寺の争いを「焼き払って」和解したことが始まりと言われてきました。
しかし、近年では否定されることも多く、その他にも次のような説があります。
- もともと近くの農民による野焼きの習慣があった
- 山焼きをしないと翌年に不祥事が起こると考えられていた
現在は、春日神社・興福寺・東大寺により、「鶯塚古墳の霊魂を鎮める祭礼」とされ、観光行事として、また、火災予防の役割も果たしています。
若草山の山焼きの日程とスケジュール
2024年は1月27日開催!
若草山の山焼きは、例年1月の第4土曜日に開催。2024年(令和6年)の日程や点火時間は次の予定です。
- 行事名:若草山焼き行事
- 開催日程:2024年1月27日(土)
- 花火:18時15分 開始
- 山焼き点火:18時30分 開始
- 開催場所:若草山一帯 他
- 入山料:無料(若草山焼き開催日は無料)
※小雨決行。荒天時は翌1月26日(日)に延期(山麓のイベントは中止)。
【若草山】
若草山山焼きのスケジュールは?
若草山の山焼きの主なスケジュールは次の通りです。
時間 | イベント | 内容 |
---|---|---|
12:00~19:00 | プレイベント | 若草山のふもとにある山麓特設ステージにて以下のイベントが行われます。
|
13:00~18:00頃 | 春日の大とんど | 若草山焼きに合わせ、春日神社の「大とんど」が行われ、無病息災、五穀豊穣を祈願します |
16:45~ | 御神火奉戴祭 | 春日大社境内にて「春日の大とんど」による”御神火”を受け賜ります。 |
17:05~ | 聖火行列 | 山焼きの火は、春日大社から若草山まで総勢40名の聖火行列で運ばれます。 |
17:25~ | 松明点火 | 水谷神社にて、春日の大とんどから受け賜った御神火を松明に点火します。 |
17:40~ | 野上神社祭典 | 野上神社で山焼きの無事を祈願する祭礼が行われた後、山麓中央に設けられた大かがり火に点火されます。 |
18:15 | 大花火打ち上げ | 奈良県で唯一「尺玉」が数百発打ち上げられます。新春の奈良の夜空を彩る花火は、山焼きの合図です。 |
18:30 | 山焼き一斉点火 | 山麓中央の大かがり火から松明に火が移され、ほら貝・ラッパ・号砲の合図で若草山の草地に一斉点火します。 |
「若草山の山焼き」の見どころ
「若草山 山焼き」の見どころは、何と言っても「山焼き」、そして、その直前の「花火」です。
冬には珍しい花火は、山焼きの合図。済んだ空気の中、打ち上げられる600発もの花火は、先人たちの霊を慰めるとともに、今に生きる私たちの目と心も楽しませてくれます。
花火を合図に、一斉につけられる火は、33ha(ヘクタール)の草地に燃え広がり、山全体を赤く染め、炎は夜空まで届くかのよう。冬の夜、山全体が炎で浮かび上がる姿は、まさに必見の価値ありと言えます。
また、山焼きの前に行われる各種イベントや、屋台なども楽しみのひとつ。お祭り気分を味わうことが出来ますよ。
□古都に早春告げる若草山の山焼き 奈良
https://youtu.be/MIBtgg9a6RU
*花火につづいて山焼きが!山焼きのアップは1分39秒くらいからです。圧倒されますね。
「若草山の山焼き」のおすすめ見学スポット
若草山 山焼きのおすすめ見学スポットとしては以下の場所があります。
- 若草山の麓(ふもと)※赤
- 大池(勝間田池)※緑
- 平城宮跡 ※紫
- 春日野園地(奈良公園内) ※青
- 新公会堂前(奈良公園内) ※橙
- 飛火野(奈良公園内) ※黒
特に若草山の麓は、迫力満点の炎を見ることができる人気のスポット。特設ステージでは昼過ぎからイベントが行われますし、屋台も出るのでお祭り気分が味わえます。
そのためか、15時ごろには混み始め、17時にはいっぱいになってしまいます。若草山の山麓へは早めに出かけることが必要ですね。
大池(勝間田池)、平城宮跡は、少し離れますが「通」には定番の場所。
山焼きの炎もきれいに見ることができ、撮影場所としても大変人気があるので、朝早くからの場所取りを覚悟しましょう。
場所の広い奈良県新公会堂は、人出が多くても、比較的見学しやすいのがいいですね。
若草山の山麓までのアクセス
若草山焼きの当日は、周辺で交通規制が予定されており、駐車場の収容台数もそれほど多くありません。
できれば公共交通機関を利用された方がいいですね。
電車・バスで
電車で行かれる際は、JR奈良駅、あるいは近鉄奈良駅へ向かいましょう。
JR奈良駅からは、奈良交通バスにて、以下のルートで行くことができます。
- 市内循環(外回り):東大寺大仏殿・春日大社前下車、徒歩約15分
- 春日大社本殿行:春日大社本殿下車、徒歩約5分
- ぐるっとバス:若草山山麓(100円)
近鉄奈良駅であれば、東へ徒歩30分ほどで行くことも可能です。
車・駐車場について
車で行かれる場合、最寄りのICは、
- 京奈和自動車道「木津IC」
- 西名阪自動車道「天理北IC」
- 第2阪奈有料道路「宝来IC」
ですが、交通規制も行われるため、JR奈良駅近辺に停車して奈良交通バスで向かわれるのがおすすめです。
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最近では、環境への配慮からたき火も難しくなっていますが、燃え上がる炎を見ていると、温かいと同時に、怖さも感じますね。
若草山の山焼きは、スケールの大きさが魅力。花火と山焼きが同時に楽しめるとあって、写真の愛好家が集うことでも知られます。
夏の花火もいいものですが、冬の花火は空気が澄んでいる分だけ綺麗に見えそうな気がしますね。
イベントとして楽しんでしまうのももちろんアリなのですが、由来やまつわることなどを知っておくと、伝統行事も一層楽しめますよ。
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