ひな祭りの食べ物と言えば「ちらし寿司」ですよね。
子供の頃、母が大きな桶にいっぱい作ってくれた、ちらし寿司は本当においしくて、九州では出初めの筍(たけのこ)が入っていたのを思い出します。
でも、どうしてひな祭りにはちらし寿司を食べるんでしょう?また、ちらし寿司以外には、どんな食べ物があるんでしょうか。
ひな祭りにちらし寿司を食べる理由や、ちらし寿司にある具の意味、ちらし寿司以外にひな祭りに食べられるものについて紹介します。
ひな祭りでちらし寿司が食べられる理由は?
ひな祭りの食べ物と言えば、何と言ってもちらし寿司。でも実は、ひな祭りにちらし寿司を食べるのは、「特に明確な理由はない」とも言われているんです。
お祝いの席には「なれずし」が用いられたからとの説もあるようですが、お寿司のルーツなれずしは、今のお寿司とは全然違うものです。
ちらし寿司の由来
ちらし寿司の由来として一番有名なのは、「一汁一菜令」説。
その昔、備前(岡山県)で大洪水があった際、藩主池田光政公はいち早い復旧のため、汁物一品と副食一品以外を禁止するという「一汁一菜令」を出しました。
そこで、たくさんの魚や野菜を混ぜ込んだ寿司飯を「一菜」とする方法が編み出されます。「ご飯に混ぜればおかずではない」-庶民の知恵って、素晴らしいですよね。
これが「ちらし寿司」の始まりだとも言われています。
ちらし寿司にある具のそれぞれの意味
□本格的!簡単でおいしい、ちらし寿司の作り方
見た目のかわいらしさと具の豪華さで、ひなまつりの定番となったちらし寿司。では、ひな祭りに食べる「ちらし寿司」には、意味がないんでしょうか。
いえいえ!そんなことはありません。
実は、ちらし寿司そのものと言うよりも「具」の方に意味があるんです。
ちらし寿司 具の意味
ちらし寿司に多く使われる具材には、次のような意味があります。
- 海老
「長寿」腰が曲がるまで丈夫でと言う願い。赤には「魔除け」、脱皮を繰り返すことからは「出世祈願」の意味も。
- ハス
「先の見通しがきく」穴から先を見通せるから
- 豆
「健康でマメに働く」仕事がうまく行くようにと言う願いを込めて
- 菜の花
春らしさの演出
また、「寿(ことぶき)を「司(つかさど)る」と言うことで、「寿司」自体に「お祝いの席で食べる縁起がいいもの」との意味があると言われています。
ちらし寿司以外にもひな祭りに食べられるもの
はまぐりのお吸い物
ちらし寿司を食べるときには、一緒に「はまぐりのお吸い物」が出されることが多いですよね。
「はまぐり」は、対になっている貝殻でなければぴったりと合うことはありません。
このことから、「ひとりの人と生涯連れ添う」と言う願いを込めてひな祭りに食べられるようになりました。
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菱餅
古代中国で食べられていたのは母子草(ははこぐさ)のお餅で、緑一色でした。
日本では、母子草がよもぎ餅となり、江戸時代には白、明治時代に赤が加わって現在の3色のお餅になりました。
それぞれの色は
- 赤(くちなし):魔除け[解毒作用]
- 白(ひしの実):清浄・純潔[血圧を下げる]
- 緑(よもぎ):厄除け、健康[増血作用]
をあらわすとともに、春らしい感じをかもしだしています。
原料のくちなし、ひしの実、よもぎには薬効があり、子どもの健やかな健康を願う気持ちが感じられますね。
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ひなあられ
江戸時代になると、おひなさまに春の景色を見せてあげる、「ひなの国見せ」が流行します。
このときに、持って行ったあられがひなあられの始まりとされ、菱餅を砕いて作ったとも言われます。
色は、菱餅と同じ3色が基本。華やかにするために黄色を加えることもあります。
白酒
白酒は、「甘酒」と違って「お酒」です。
中国では、桃の節句には長寿を願い、魔除けの力を持つ桃の花を浮かべた桃花酒(とうかしゅ)を飲む習慣がありました。日本でも、桃花酒が飲まれていたのですが、江戸時代になると白酒が大流行します。
独特の甘みで飲み口のよい白酒は、女性にも飲みやすく、桃の花と白酒で「紅白」となりめでたいことからひなまつりの定番になりました。
徳川将軍も、白酒を愛飲されたそうですよ。
ひな祭りはちらし寿司とはまぐりのお吸い物で
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子供の頃から、ひな祭りにはちらし寿司を食べて来ましたが、当たり前すぎて由来を考えたことなどありませんでした。でもちらし寿司の由来や、具材の意味などがわかると、ちらし寿司をもっと楽しめる気がしますね。
日本の伝統行事には、お祝いの食事がつきものですが、それぞれに縁起を担いだり、願いが込められていたりします。行事の時には、そんなことも考えてみたいものですね。
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