日本では見慣れないけれど海外では定番の食材の一つに「アーティチョーク」という野菜があります。
独特の見た目と食べ方なので、初めてアーティチョークを見る人はどう食べたらよいのか戸惑ってしまいますよね。
そこで今回は日本ではまだ馴染みのないアーティチョークについて、どういう食べ方をするのか、どんな栄養と効能があるのかお伝えしたいと思います。
アーティチョークとは?
まずはアーティチョークとはどのような食材なのか紹介します。
アーティチョークは地中海沿岸が原産の植物で、キク科チョウセンアザミ属の多年草です。
和名は「朝鮮薊(チョウセンアザミ)」と言います。名前に「朝鮮」と付きますが、朝鮮原産ではなく「外国産の」という意味合いです。
成長すると2mにもなり、直径15cmほどの大きな紫色の花を咲かせます。
ヨーロッパでは古くから食用にされてきましたが、食用にするのは花が咲く前の蕾で、芯の部分を食します。「ボトム」や「ハート」と呼ばれる可食部はでんぷん質が多く、加熱後のホクホクした食感とやさしい味わいは空豆やゆり根に例えられます。
日本には江戸時代にオランダからもたらされたものの、日本では栽培に適さなかったため普及しませんでした。現在も日本で見かけるアーティチョークはほとんどがアメリカ・ヨーロッパからの輸入物です。
近年は国内でもイタリア・フランス料理のレストラン向けに一部の農家で栽培されるようになり、わずかに市場にも出回るようになっています。
フランス語では「アティショー」、イタリア語では「カルチョーフィ」と呼ばれ、レストランのメニューでこちらの名前を見たことがある人もいるかもしれませんね。
アーティチョークと同じく蕾を食べる「カルドン」という植物もあります。外見もアーティチョークによく似ていますが、カルドンは茎も食べられます。
日本で購入できる場所は?
日本では輸入食材を扱っているお店やネットショップなどで購入することができます。
購入できる時期は、ヨーロッパのアーティチョークは通年、日本で栽培されるものは旬の6~7月頃です。1つ500~1500円ほどの価格で販売されています。
複数の品種があり、品種や収穫のタイミングによって味や食感に違いがあります。
アーティチョークの基本の食べ方
アーティチョークの食べ方や下処理の方法には色々あります。新鮮なアーティチョークなら生でサラダにして食べることもできますが、アクとえぐみがあるので、茹でたり蒸したりしてアクとえぐみを抜いて食べるのが基本です。
ここでは定番の調理方法2種類を紹介します。
変色しやすいので、切ったらすぐレモン汁をふりかけておくのがポイントです。
基本レシピ①:丸ごと調理する
アーティチョークを丸ごと柔らかくなるまで、30分ほど蒸し(もしくは茹で)ます。オーブンで焼くレシピもあります。
一番シンプルな食べ方は、そのままガクを1枚1枚外してディップソースを付けながら、付け根の肉厚になっている部分を歯で削り取るようにして食べる方法です。ディップソースはマヨネーズなどお好みで。オイル系のものが良く合います。
ガクを外し終わったら、食べられないワタ(花びらとしべ)を取り除きます。
最後に残った部分が一番おいしい「アーティチョークハート」です。
実際に見てもらった方が分かりやすいので、次の動画をご覧ください。
(アーティチョークを食べよう!)
基本レシピ②:可食部のみ取り出してから調理する
まずガクを一枚ずつ全部外します。残った固い部分を剥いてから、上部を切り落とし(もしくは半分にカットし)、中のワタをスプーンなどで取り除いて可食部のみにします。
グリルやフリットにしてシンプルに味わう他、煮込み料理やパスタ、ピザ、グラタンなどに活用できます。
アーティチョークの栄養と効能
アーティチョークはおいしいだけでなくさまざま栄養成分を含む植物です。近年はアーティチョークのもつ健康・美容効果について研究が進められ、医薬品やサプリメント、化粧品にも活用されています。
アーティチョークに含まれる栄養素
でんぷん質の可食部には、ビタミン・ミネラル類が少量ずつですがバランス良く含まれています。特に、むくみや高血圧の改善に効果のあるカリウム、造血と成長に欠かせない葉酸、骨を作るカルシウム、コレステロールと血糖値の上昇を抑制する水溶性食物繊維が豊富です。
注目の成分「シナリン」
シナリンとはアーティチョークに含まれるポリフェノールの一種で、特に注目されている成分です。肝機能向上に効果があり、古くからインドやベトナムでは二日酔いに効くとされ、乾燥させたアーティチョークの葉がお茶として飲まれてきました。動脈硬化症や高脂血症、糖尿病の予防など、多くの健康効果が期待されています。
生のアーティチョークより手に入りやすいアーティチョークティーは、近年日本でもハーブティーとして人気です。
日本の食卓にもアーティチョークのおいしさと栄養を
日本では希少で高価なうえに、食べられる部分が少なく下処理にも手間がかかるアーティチョークですが、欧米では手間がかかっても食べたいくらい人気のある食材なので、見かけたら一度は手にとってみてください。オイル漬けや塩漬けのアーティチョークの瓶詰・缶詰も輸入されているので、まずは手に入りやすくて下処理済みの加工品から試してみるのも良いですね。
海外のお馴染み野菜で、今後メディカルハーブとしても人気が高まりそうなアーティチョークを、ぜひ日本でも味わってみてください。
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