秋になると、カボチャの大きさを競うコンテスト、もしくはハロウィンのディスプレイでびっくりするほど大きいカボチャを見かけることがあります。
その大きさを表すように「アトランティックジャイアント(大西洋の巨人)」という名前の付いたカボチャなのですが、「大きいけど、食べられるのかな?」と疑問に思っていた人もいるのではないでしょうか。
その疑問にお答えするため、ここではアトランティックジャイアントの味や栄養、料理レシピについて紹介します。
アトランティックジャイアントとは?
まずはアトランティックジャイアントがどんなカボチャなのか確認してみましょう。
アトランティックジャイアントはアメリカで品種改良されて誕生したカボチャです。
1つの株に1つの実だけなるようにして十分な肥料を与え続け、1つの実に養分を集中させるなど、育て方を工夫することで重量が数十kgにもなる大きなカボチャに育ちます。上手く育てれば100kg以上になり、海外のコンテストでは1tを超えるものも登場しているのですから驚きです。
普通のカボチャとかけ離れた大きさに育つカボチャのことを「おばけカボチャ」と言い、主にこのアトランティックジャイアントのことを指します。
ハロウィン用のジャック・オー・ランタンにはオレンジ色のカボチャの品種が使われますが、アトランティックジャイアントもジャック・オー・ランタン作りに使用されるカボチャの一種です。
秋には日本でも各地でアトランティックジャイアントの大きさを競い合ったり、重さを当てたりする大会が開催されています。
特に有名なのが香川県の小豆島で開催される「日本一どでカボチャ大会」で、優勝者はアメリカ西海岸で開催される世界大会に行くことができます。
(「日本一どでカボチャ大会」の様子)
アトランティックジャイアントは食べられる?
さて、大きさが重視されるアトランティックジャイアントですが、味の方はどうなのでしょうか。そもそも食べられるのでしょうか。
味について
大きさを競うコンテスト用やハロウィンの装飾用の他、家畜の飼料用として栽培されているカボチャになります。食用としての品種ではないものの、人間も食べることは可能です。しかし水分が多く味も薄いので、食用に向いているとは言えません。
カボチャの品種は大きく分けると3系統あります。
ホクホク甘い「西洋カボチャ」、ねっとりとした「日本カボチャ」、色や形がユニークなものが多くおもちゃカボチャとも呼ばれる「ペポカボチャ」で、アトランティックジャイアントは「ペポカボチャ」系の品種です。
「ペポカボチャ」は主に観賞用で食用には向かない品種が多く、食用にするものとしてはズッキーニや金糸瓜(そうめんかぼちゃ)があります。それらの味から想像してもらうといいかもしれません。
レシピについて
欧米ではハロウィンの時期に各家庭でジャック・オー・ランタンを作り、その際にくり抜いた中身でパンプキンパイを焼くことがあります。
日本で流通している皮が緑色のカボチャはとても固いですが、ジャック・オー・ランタンに加工されるようなカボチャは、ナイフで簡単にくり抜けるほど水分が多く柔らかいのです。
同様にアトランティックジャイアントも水分が多く煮物などには向きませんが、砂糖やバター、シナモンなどの香辛料でしっかり味をつけてパイのフィリングにする他、クッキーに練りこんだり、ジャムにしたりすると良いでしょう。
しかし、普段料理に使うカボチャが大体1~2kgなので、小さくても数十kgのカボチャを全部使うとなったらすごい量になりそうです。
アトランティックジャイアントの栄養は?
残念ながら食用ではないためか、アトランティックジャイアントの栄養については不明です。
日本で主に流通している西洋カボチャの栄養価の高さが野菜の中でトップクラスなのと比べると、ペポカボチャのズッキーニや金糸瓜は栄養価が高いとは言えず、アトランティックジャイアントも同様と考えられます。
なお、アトランティックジャイアントも該当するか分かりませんが、ペポカボチャは実ではなく種の栄養価が高いと言われています。
「カボチャの種(パンプキンシード)」として出回っているものはペポカボチャの種で、ドイツでは薬としても利用されています。
アトランティックジャイアントはどこで購入できる?
日本でもハロウィンの浸透と共に、小~中サイズのペポかぼちゃが装飾用として生花店や雑貨店で販売されるようになりましたが、大型のアトランティックジャイアントはそうもいかないようで、一般には流通していません。
コンテストなどの展示期間終了後に希望者が持ち帰り可能なところもあるようなので、近くの大会会場をのぞいて見ると良いでしょう。
また、アトランティックジャイアントの種や苗を買って、普通のカボチャと同じように育てることも可能です。種5~6粒の少量だと、500円ほどで販売されています。
ただし、アトランティックジャイアントほどの大きさとなるとベランダ菜園は難しく、ある程度広い畑が必要です。
アトランティックジャイアントはおいしさよりも大きさ重視
日本では甘くておいしいカボチャが出回っているので、アトランティックジャイアントを食べるために手間暇かけて育てる必要はなく、やはりコンテスト用・観賞用として大きくなるのを楽しむのが良いようです。
気になる人は実際どれだけ大きくなるか栽培に挑戦してみてはいかがでしょうか。畑に巨大なカボチャがゴロゴロ転がっていたら、ご近所の注目の的になること間違いありません。
小さいものは試しに食べてみても良し、十分大きくなったら近場の大会に出場してみるのも良いですね。
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