「ルバーブ」という野菜を知っていますか?
アメリカやイギリスなどの欧米では古くから親しまれている野菜で、特に近年の健康志向の高まりによってその栄養・効能が注目されています。
今回は日本ではあまり知られていないルバーブについて紹介します。特徴や栄養・効能はもちろん、レシピや育て方もお伝えしますので、参考にしてみてください。
そもそもルバーブってどんな植物?
日本では主にジャムやシロップにして販売されているので名前は知っていてもルバーブそのものはどんな野菜なのか知らない、または果物と思っていた人もいるのではないでしょうか。まずはルバーブの特徴や用途を紹介します。

ルバーブの特徴
ルバーブはタデ科ダイオウ属の多年草で、和名は「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」と言います。
現在食用にされるルバーブはシベリア原産と言われていて、外見はフキに似ていて大きな葉を持ち、葉柄を食用にします。葉にはシュウ酸などの有毒な成分を含むため食べられません。
漢方薬の「大黄」(根部分を乾燥させたもの)には下剤としての薬効があり、中国では数千年前から利用されています。
もともとヨーロッパでも昔は薬用だったものが食用として改良・栽培されるようになり、18~19世紀頃から砂糖の普及とともに葉柄を果物のように甘く加工して食べるようになりました。そのため、野菜ではありますが伝統的に果物として扱われることがあります。
茎が緑系のものと赤系のものがあり、加熱しても色落ちせず見た目が鮮やかな赤系が人気です。
ルバーブのおいしい食べ方
アンズのような独特の香りと強い酸味が特徴のルバーブは甘い味付けがよく合います。
ルバーブは英語で別名「pie plant(パイの植物)」とも呼ばれるほどお菓子作りの材料として親しまれていて、欧米ではジャム、コンポート、シロップ、クランブル、パイ、タルト、マフィンなど、果物と同じように料理されています。
甘いお菓子以外にはフルーツワインの原料や、お肉料理のソースなどに使われる他、その酸っぱさを活かして、海外在住の日本人の中には砂糖ではなく塩で煮て「練り梅」のように加工し、海外では手に入りにくい梅干し代わりに利用している人もいるそうです。

ルバーブの栄養・効能は?
薬用植物としては根の部分を利用されてきたルバーブですが、食用とする葉柄部分にもさまざまな栄養成分が含まれています。
便秘解消に役立つ食物繊維
漢方薬の「大黄」とは別の品種ですが、ルバーブの葉柄部分にも同様に下剤となる薬用成分が少量含まれていること、そして豊富に含まれる食物繊維も相まって、お通じ改善に役立ちます。
むくみ・高血圧改善に役立つカリウム
体内の余分なナトリウムの排出を促してむくみを解消する他、血圧を下げる効果があります。
強い抗酸化力を持つアントシアニン
赤いルバーブにはポリフェノールの一種である「アントシアニン」という色素成分が豊富に含まれ、アンチエイジングや生活習慣病の予防に効果が期待されています。
副作用や注意点
ルバーブの葉柄部分にも漢方薬の「大黄」と同じ薬用成分がわずかですが含まれています。母乳に混じると赤ちゃんが下痢を起こす可能性があるので、授乳中の女性は摂取を控えましょう。また、子宮収斂作用もあるため妊娠中の女性は食べないように注意しましょう。
ルバーブはどこで手に入る?
おいしくて健康・美容にも良いなら食べてみたくなりますよね。
店頭販売だとルバーブジャムを一部の百貨店や自然食品店で見かけるくらいですが、ネットショップならルバーブの加工品を簡単に購入することができますし、生のルバーブも販売されています。
冷涼な気候でよく育つことから、日本では長野県や北海道が主な生産地です。旬は5月から6月頃ですが、9月頃まで収穫されます。
収穫後は主にジャムなどに加工されるため、生産地以外で生のルバーブが売られているのはほとんど見かけませんが、旬の時期にはネットショップに生のルバーブが出回っていて、時期にもよりますが1kgあたり1000円から4000円ほどの価格で販売されています。さらに冷凍されたルバーブなら外国産のものも季節を問わず購入できます。
ルバーブを育ててみよう

欧米ではルバーブは家庭の庭で栽培されているくらい身近な野菜です。育てるのに手間はかかりますが、収穫するときの喜びはひとしおです。
苗も売られていますので、初心者は苗から育てると良いでしょう。
土づくり・肥料
水はけがよい土壌を好みます。植え付け前にあらかじめ苦土石灰や堆肥、腐葉土を混ぜて土づくりをしておきましょう。畑に植え付ける場合は畝を作ります。
肥料は植え付け後には1か月に1回、2年目以降は量を半分に減らして与えます。
種まき
発芽温度は22℃前後のため、4~5月頃に種まきをします。鉢などに種をまいて水やりをした後は、発芽まで乾燥しないように新聞紙などで覆います。1~2週間ほどで発芽したら、本葉が2~3枚のうちに間引きをし、本葉が4~5枚になったら大きめの鉢や畑に植え付けましょう。
植え付け
地植えの際は株同士の間を50cm以上空けます。鉢でも育てることができますが、根を深く張るため、8号の大きさに1株までが目安です。植え付けをした後はたっぷりと水を与えましょう。
水やり・日当たり
水の与えすぎは根腐れの原因となります。土の表面が乾いてからたっぷりと水やりをします。また、寒さには強い一方で高温多湿には弱いので、夏の直射日光を避け風通しの良い場所で育てるなど管理に注意が必要です。
収穫
1年目は株を大きく育てるために収穫せず、2年目から収穫します。冬になると枯れてしまいますが、多年草のため翌年また新しい芽が出てきます。
春になると花を付けますが、葉柄を太く育てるために早めに摘み取ります。5~6月頃に葉柄が30cmほどになったら付け根から刈り取りましょう。
一度植えたら5年ほど収穫できます。
病気・害虫
うどんこ病、アブラムシ・コガネムシに注意し、見つけ次第対処しましょう。株元に敷きワラをして葉への泥跳ねを防ぐと病気・害虫対策になります。
増やし方
種まきと株分けで増やすことができます。
ルバーブジャムのレシピ
ルバーブが手に入ったらまず試してほしいのがジャム作りです。
通常、いちごジャムなど果物のジャムを作る場合は長時間煮込む必要がありますが、ルバーブは加熱するとすぐにやわらかくなり、10分ほど煮ればできあがります。
(参考動画)北欧の味【ルバーブジャムの作り方】10分で煮溶ける♪
ルバーブをもっと活用しよう!
甘酸っぱいお菓子になる上に、便秘やむくみなどの悩みを解消してくれるルバーブは、特に女性にとってはうれしい野菜なのではないでしょうか。
まだ日本では見かけることが少ないですが、新鮮なルバーブが手に入ったら、ポピュラーなルバーブジャムにする他、お肉料理のソースにしたり、パイのフィリングにしたり、ぜひ色々なルバーブレシピを試してみてくださいね。
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