管理職やプロジェクトリーダーは、部下の能力を引き出す事も仕事となります。全員が本来以上の能力を発揮できれば、仕事もスムーズに進みますよね。
実は上司や先生の心がけ一つで、部下や生徒の実力がとても伸びるんです!この効果を「ピグマリオン効果」というのですが、どんな活用方法があるのか気になりませんか?
そこで、ピグマリオン効果の意味や活用事例について紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
ピグマリオン効果の意味は?
期待された通りに効果があらわれる
ピグマリオン効果とは、アメリカの教育学者・ローゼンタールが1964年に提案した心理的効果です。その効果は、次の通りです。
・人は他人から期待されていると感じると、普段以上に良い成果や成長をとげる傾向がある。
人は他人から認められたい・褒められたいと、無意識にでも思っています。そこで他人から期待していることを感じることで、より成績が上がったり、また成果が出やすくなります。
これが「ピグマリオン効果」で、教育現場では子供の成績をのばすテクニックとして活用されています。そのため、別名で「教師期待効果」と呼ばれることもありますよ。
小学校の実験でピグマリオン効果を証明
ピグマリオン効果を提案したローゼンタールは、サンフランシスコの小学校である実験を行いました。
実験では担任教師に「成績が伸びる子供を見つけるため」と伝え、普通の知能テストを行います。テスト後にランダムに選んだ子供を、「この子は成績が伸びる子だ」と担任教師に伝えました。
実験内容を知らされていない教師は、成績が伸びることを期待しながら子供たちを見守り続けました。その結果、見守られた子供たちは本当に成績が伸びたんですよ。
知能テストに特別な効果はなく、「成績が伸びる」と言われた子も、特別に優秀な子供というわけではありません。
しかし教師が期待を込めて見守ることで、子供が「期待されている」と感じとって成長したんですね!
彫像も想いが重なれば人になる
ピグマリオン効果の「ピグマリオン」とは、ギリシャ神話に登場する、彫刻家で王の名前です。
ピグマリオンは地中海の島「キプロス島」の王様で、現実の女性に対して失望していました。
そこで、彫刻が得意だった王は「自分の理想とする女性」を作り、ガラテアと名付けます。
やがてピグマリオンはガラテアに恋をし、実際の女性のように扱うようになりました。しかしガラテアは想いに応えることはなく、ピグマリオンは恋するあまりやつれてしまいます。
これを見た恋の女神「アフロディーテ」が、ガラテアに命を吹き込んで人間にします。人間となったガラテアはピグマリオンの妻となり、末永く幸せに暮らしました。
ピグマリオンが理想の女性像を作って願ったことで、本当に理想の女性が生まれました。この神話の「ピグマリオン」の名前を借りて、「ピグマリオン効果」と名付けられたんですね。
ピグマリオン効果の活用事例
教育現場でのピグマリオン効果
ピグマリオン効果は、教育現場でよく活用されています。
例えば先生から「○○さんは字がきれいだね」と褒められると、その子供はよりていねいに字を書こうとします。また跳び箱が跳べない子供に「○○くんは大丈夫だ。必ず跳べるよ」と言って指導すると、コツをつかんで飛べるようになるんです。
ポイントは子供の長所をほめて、期待していることを伝えることです。できないことに関してはダメだと否定するのではなく、出来るようになると前向きな言葉を伝えましょう。
先生に良いと言われることで、「自分はできる!」と子供は前向きになり、より上達しやすくなるんですね!
ビジネスシーンでのピグマリオン効果
やる気にムラがあったり失敗の多い部下は、どうしても叱ったり無視してしまいがちです。しかし部下の欠点を叱るのではなく、長所をのばす言葉を重ねて、期待していることを伝えましょう。
どんな人でも一つは長所がありますし、仕事につながる良い点もきっとあります。期待していることを伝えつづければ、自然と部下のやる気も出て成績もあがりますよ!
ピグマリオン効果は何でも褒めるものではない
常に厳しく叱って悪い点を指摘することで、相手の欠点に気づかせようとする人もいます。「あえて嫌われ役になる」といいますが、感情的な指摘方法はよくありません。
悪い点を指摘するときには、嫌な気持ちにさせないように言葉を選びたいですね。
またピグマリオン効果は「相手にたいして期待する」ことであって、なんでも褒めるものではありません。「ほめて期待する」と「駄目な部分を指摘する」バランスは取らないと、甘いだけの上司・教師になりますよ。
期待されたら成果を出したい!
人は周りに期待されると、その期待に応えたいと無意識に感じます。ピグマリオン効果は期待していると感じることで、成績を向上させる効果があるという心理テクニックです。
上司や先生にほめられれば誰でも嬉しいものですし、もっと上手になりたいと頑張れますよね。頑張ってさらに上達すればもっと周囲が褒めてくれるので、さらに成績が伸びる良い循環が生まれますよ!
ときには叱られることも大切な経験ですが、まずは相手を褒めることでやる気と成績を伸ばすことは大事ですね。
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