会社内で部下を指導する時に、やる気の引き出し方に悩むこともありますよね?家でも子供が勉強に集中できなくて、悩んでいる方もいるかも知れません。
そんな時に活用したい心理効果が、「エンハンシング効果」です。心理効果と聞くと難しそうですが、簡単なのに嬉しくなるテクニックなんですよ。
そこで、エンハンシング効果の意味や活用事例について紹介していきますので、ぜひ覚えて活用してくださいね!
エンハンシング効果の意味は?
褒めてやる気を出す
エンハンシング効果とは、「褒められたり期待されることでやる気が高まる」という心理効果です。
心理学用語を使った説明をすると次の意味になります。
・言語的な外発的動機で、内発的動機づけが高まる効果
心理学において人間のやる気は、「内発的動機」と「外発的動機」に分けられます。
「内発的動機」は、今取り組んでいることそのものが楽しくて、続けている状態です。
例えば、趣味のゲームはいつまでも続けられますが、ゲーム自体が楽しいからですよね?仕事や勉強でも興味があって楽しいと思えた時は、誰にも強制されず続けられます。
この「自分がやりたくて続けている」状態が、内発的動機なんですよ。
「外発的動機」は、今やっていることでお金を得たり褒められたりと、得になるから行おうと思う状態です。宿題をしないと怒られるので片付けようと思う気持ちも、外発的動機なんです。
エンハンシング効果では、相手を褒めることが「相手にとっての「外発的動機」となります。褒められた結果が成果につながれば、楽しいから頑張りたいという「内発的動機」に変化します。
相手を褒めることでやる気アップにつなげるのが、エンハンシング効果なんです。
ちなみに、教師の期待や褒めることによって成績が伸びるとされるピグマリオン効果と似ていますが、エンハンシング効果はより対象範囲が広いですね。
エンハンシングは「高める」という意味
エンハンシング効果のエンハンシングは、英語の「エンハンス(enhance)」からとられたものです。
エンハンスは動詞で、「高める」「強化する」という意味があります。エンハンスを変化させたエンハンシング(enhancing)にも、「高める・強化する」という意味があります。
相手を褒めることでやる気を「高める」ので、エンハンシングとつけられたのも納得ですね。
エンハンシング効果の活用事例
子供のやる気を引き出せた!
発達心理学者のエリザベス・B・ハーロックは、1925年に次の実験を行いました。
1・子供を3つのグループに分け、算数の試験を数回受けさせた。
2・試験のたびに褒めるグループ、叱るグループ、何も言わないグループに分けた。
3・試験を繰り返した結果、褒められたグループはやる気を出して成績が上がった。
4・叱られたグループは最初はやる気をだしたものの、段々とやる気が下がり、成績も下がった。
5・何も言わなかったグループはやる気に変化がなく、成績も変わらなかった。
この実験から褒めることでやる気を引き出せば、成績も上がることが証明されました。叱って伸ばす方法もありますが、褒めるべき場面では褒めたほうが、成績が伸びやすいと言えますね。
頑張ったことを褒める
エンハンシング効果を意識して褒めるなら、頑張ってきたことや努力したことを褒めましょう。元々できていたことを褒めても、「当たり前のこと」と受け取って効果がでないことがあるからです。
・辞書を使って漢字を調べてたよね、辞書が使えるなんてスゴイよ!
・試験のために毎日自主練をしてたのを、先生見ていたぞ!
・プレゼンの内容も良かったが、資料の細かいところまで気を配っていたことが特に良かった。
完成したものを褒められることは多いですが、完成までの行動が注目されることはあまりありません。何を頑張ったのかをを褒めることで、相手のやる気アップにつながるんですよ。
アンダーマイニング効果には要注意
エンハンシング効果とは逆に、やる気を落としてしまう「アンダーマイニング効果」があります。アンダーマイニング効果は、やりたくてやってたことを褒められることで、やる気が下がってしまう心理効果です。
例えば、算数の勉強中に、親が「100点取れたらお小遣いアップ」と言ったとします。
あまり算数が好きでない子供だと、「お小遣いアップ」でやる気がでてエンハンシング効果となります。しかし算数が好きで勉強していた子供の場合だと、「余計なことを言わなくても…」となって、やる気が下がることもあります。
褒めたつもりが余計な口出しをしてしまい、やる気を削ってしまわないように注意したいですね。
褒められると嬉しい!
大人になると褒められることが少なくなり、出来て当たり前と言われがちです。しかし頑張ったことが褒められれば、気分が良くなりますよね。
エンハンシング効果は、相手を褒めることでやる気を引き出す心理効果です。褒めることは大変ですが、相手をよく観察すれば頑張っているポイントが見つかります。
エンハンシング効果を上手に活用して、気持ちよくやる気を引き出せる環境を作りませんか?
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