全国の郷土料理の中には、その名前からは味が想像できない料理、あるいは名前のイメージとは全く違う料理もあります。
そんなびっくりする料理の一つが、青森県八戸市の料理「いちご煮」です。名前だけ聞くと、果物のイチゴを煮たのか?と思いますよね。実はいちごでは無いんですが、豪華で美味しい料理なんですよ!
そんな「いちご煮」の名前の由来、そしていちご煮の缶詰や美味しい食べ方について紹介していきます。ぜひ料理の参考にしてくださいね!
いちご煮とはどんな料理?
ウニとアワビ入りのお吸い物

いちご煮は青森県八戸市、あるいは八戸周辺の三陸海岸の郷土料理。ウニとアワビのお吸い物のことを指します。
たっぷりのウニと、薄切りにしたアワビが入っていますが、アワビの代わりにつぶ貝をいれることもありますね。
味付けは塩とほんの少しの醤油だけで、ウニとアワビから出た出汁と、磯の香りが食欲を誘います。お椀には千切りにした青じそを入れることもあり、磯の香りが苦手な方でも食べやすく仕上げています。
そんないちご煮は、三陸海岸の漁師の間では、古くから食べられてきました。現在ではお祝いの席やお正月料理として、欠かせない料理となっていますよ。
農山漁村の郷土料理百選の一つ
いちご煮は、2007年(平成19年)12月に「農山漁村の郷土料理百選」の一つにも選ばれました。
農林水産省が主催した「農山漁村の郷土料理百選」では、全国から選りすぐりの郷土料理99品が選出されています。
百選なのに何故99品?と思いますよね。これは、最後の一つはみんなが思い出の料理を選んでください、という理由だからとのこと。
いちご煮は、青森県ではせんべい汁とともに選ばれ、全国的に知られるようになったんですよ。
いちご煮の名前の由来は?
まるで野いちごのように

そもそも、果物のいちごを使っていないのに、何故「いちご煮」という名前なんでしょう?実は「いちご煮」という変わった名前の由来は、果物のいちごと無関係ではないんですね。
漁師料理だった「いちご煮」は、昔は特に名前がつけられていませんでした。それが大正時代のある頃、この料理を八戸の老舗旅館「石田屋」が、お椀に盛り付けたお吸い物として出すようになります。
お店で出す際に石田屋の主人が「汁のなかから見えるウニ」を、朝もやの中の野いちごのようだと表現したんです。ウニをあたかも野いちごのようだと表現する感性は素晴らしいものがありますね。
そこからウニとアワビが入ったお吸い物のことを「いちご煮」と呼ぶようになった…というわけです。
いちご煮の缶詰を使った美味しい食べ方は?
いちご煮の旨味がぎゅっと濃縮
いちご煮を作るにはウニとアワビが必要ですが、どちらも高価なものですし、新鮮な物を手に入れるのは大変ですよね?
そんな方に強くおすすめしたいのが、「いちご煮の缶詰」です!
缶の中身はウニとアワビ入りのお吸い物で、2人前(400ml前後)の分量が入っています。缶から開けて温めれば、青森のごちそうが手軽に味わえますよ!
いちご煮の缶詰は、青森県の物産展やアンテナショップで購入が可能です。ネット通販でも購入できますし、青森旅行で購入するのもいいですね。
いちご煮の缶詰は炊き込みご飯に

いちご煮はお吸い物にピッタリですが、実は炊き込みご飯の元にもなります。そこで、手軽に美味しいいちご煮の炊き込みご飯の作り方を紹介しますね!
□材料(2~3人前)
- 米 …2合
- いちご煮の缶詰…1缶
- 酒 …大さじ1
- 昆布 …10cm程度1枚(なくてもよい)
- 青じそ(大葉)…1枚(なくてもよい)
□いちご煮の炊き込みご飯の作り方
- 米を研ぎ、しっかり水を切ります。
- いちご煮の缶詰を、ザルをつかって汁と具に分けます。
- 炊飯器に米とイチゴ汁の汁と酒を入れます。
※水分が足りないようなら水を加えます。
- 上にいちご汁の具と昆布を乗せてから、炊飯します。
- 炊き上がったら軽く混ぜます。
- 茶碗に持って青じそのみじん切りを乗せて完成!
潮の香りが苦手な方は、具を入れずに炊くのもおすすめです。ご飯が炊き上がったら具を加え、5分ほど保温してから混ぜると潮の香りがマイルドになりますよ。
ちょっと贅沢な茶碗蒸し
茶碗蒸しは柔らかな卵の風味がおいしく、1品あると嬉しくなりますよね。実は「いちご煮の缶詰」と卵だけで、ちょっとぜいたくな茶碗蒸しが作れるんですよ!

□材料(2~3人前)
- いちご煮の缶詰…1缶
- 卵 …3個
□いちご煮を使った茶碗蒸しの作り方
- いちご煮の缶詰を、ザルをつかって汁と具に分けます。
- 溶き卵を作り、裏ごししてからいちご煮の汁に加えます。
- 茶碗にいちご煮の具を入れてから、(2)を入れます。
- 蒸し器や鍋で10分ほど蒸して完成!
お好みで三つ葉や青葉を乗せると、彩りもきれいですよ。
海の幸を使った「いちご煮」を美味しく!
いちご煮はウニとアワビが入ったお吸い物で、青森県の郷土料理。「いちご」という名前は、白いお吸い物にウニが浮かぶ様子が、野いちごに似ているからとつけられました。
家で材料を揃えるのは大変ですが、「いちご煮の缶詰」を活用すればいつでも美味しいお吸い物が味わえます。炊き込みご飯や茶碗蒸しにすれば、特別な日のちょっとしたごちそうも簡単に作れそうですね。
ウニとアワビがとても美味しい、青森のいちご煮。ぜひ家でも味わってみませんか?
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