にぎやかな日常に疲れたときは日本庭園を訪れて、静けさを楽しむのも素敵。風に揺れる木々の音や庭に流れる水の音とともに、カーン!と響く「ししおどし(鹿威し)」に心が癒やされますよね。
静けさの中で身が引き締まる「ししおどし」ですが、そもそもどういった目的で設置されているのでしょうか。また名前の由来や、音がなる仕組みも気になりませんか?
そこで、
- ししおどしの意味
- ししおどしの名前の由来
- ししおどしには効果があるのか?
…について紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
ししおどしとは?ししおどしの意味は?
ししおどしとは?
ししおどしは日本庭園などにある音がでる装置の一つで、漢字で「鹿威し」と書きます。「獅子威し」「獅子脅し」と書くこともありますが、正しくは「鹿威し」です。
またししおどしは「添水(そうず)」とも呼ばれていますが、これは日本庭園に設置されているものを指します。
ししおどしは竹筒・石・水が流れる装置がセットとなっていて、一定のリズムで音を鳴らし続けます。その仕組みは、次の手順で成り立っているんです。
- 竹筒に水が流れ込み、水がある程度貯まるとお辞儀をするように先端が上下に動く。
- お辞儀をした時に中の水がすべて排出され、軽くなった竹筒は勢い良く立ち上がる。
- すると竹筒の先端が地面近くに設置された石にあたり、軽快な音がなる。
□ししおどし(鹿威し)
https://youtu.be/ruFAmrymZNk
*ししおどしがどういうものかは、こちらの映像と音で見ればよくわかりますよ!
京都のお寺「詩仙堂」に設置されたのが始まり
日本庭園に初めてししおどしが置かれたのは、京都のお寺「詩仙堂(しせんどう)」だと言われています。
江戸時代初期に作られた詩仙堂は、当初は武将で文人でもある石川丈山(いしかわじょうざん)という人が隠居ぐらしをするためのお寺でした。
自然豊かな場所に立てられた詩仙堂は、自然を活かした庭園などを配置した美しい場所だったんですね。しかし自然が豊かすぎてイノシシや鹿が庭に入ることがあり、追い払う為にししおどしを配置したと言われています。
《京都》詩仙堂の添水 庭の僧都(ししおどし)
https://youtu.be/wBcCBLtlBTE
*京都市左京区にある「詩仙堂」は紅葉の名所の一つで、秋にはこのような光景にも出会えますよ!
このししおどしの姿や音が、庭によく合って風流であることから、いつしか他の日本庭園にも取り入れられたんですね。
ししおどし(鹿威し)の名前の由来
鹿で「しし」
ししおどしは、元は音を鳴らして動物を追い払うためのものでした。水を利用した装置なのも、田んぼ近くに設置できたため。田畑に使う水を装置に利用していたんですよ。
またカラスを追い払う「かかし」なども、まとめて「ししおどし」と呼ぶこともあります。
ししおどしの名前に「しし」が入り、また漢字で「鹿」と書くのは、動物対策の道具だったからです。
ここで言う「しし(鹿)」は、鹿やイノシシなどの「狩猟して食べることができる動物」を指す言葉。田畑を荒らす害獣ですが、一方で貴重なタンパク源として食べてきた歴史があります。
そんな鹿やイノシシなどの害獣を脅かして遠ざけるので、「ししおどし」という名前となったわけですね。
ししおどしには動物を追い払う効果はあるの?
実は効果はほとんどないが…
実は、ししおどしには動物を追い払う力はほとんどありません。
というのも、動物には学習能力があり、同じ音が繰り返されるだけだと「危険はない」と判断するからなんですね。そして実際に近づいて自分に危害が加えられなければ、もう大丈夫だとわかってしまいます。
これに対抗するには、音を更に大きくすればよいのですが、それではただの騒音になってしまいますよね。
そうなると庭に設置するには風流さが欠けますし、さらに動物が音に慣れてしまうと再び効果を失ってしまいます。
そもそも現代の日本には音が溢れ、ししおどし以上に大きい音が日常的に聞こえてきます。もしお庭に動物が侵入して困っていても、ししおどしは最初しか効果がないので、別の方法を考えるしかなさそうですね。
実用性よりも、人を癒やす素敵な音を楽しむ
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ししおどし(鹿威し)は動物を脅かし、田畑に近づけないために生まれた道具です。水が溜まって一定間隔で音が鳴るのも、動物を脅かすのが目的だったわけですね。
とは言え、この「音」が人間には心地よく感じられることから、やがて日本庭園に設置され、添水 (そうず) とも呼ばれるようになりました。
ただし動物を追い払う効果は薄いため、現在では音を演出するために設置されることがほとんどです。
人を癒やす素敵な音を奏でる「ししおどし」。近くに日本庭園があれば、ぜひ訪れてみませんか?
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