
有名なことわざの1つに「千里の道も一歩から」という言葉があります。座右の銘にしている人も多いのではないでしょうか。ビジネスシーンでも良く使われる言葉ですね。
そんな「千里の道も一歩から」ですが、意味はなんとなくわかっていても、言葉の由来についてはあまり知られていません。
そこで、
- 「千里の道も一歩から」の意味や由来
- 「千里の道も一歩から」の使い方の例文
- 「千里の道も一歩から」の類語
について順に紹介していきます。ぜひ覚えてくださいね!
千里の道も一歩からの意味は?
長い道のりも、まずは歩き出すことが大切

「千里の道も一歩から」は、次の意味があることわざです。
- たとえ遠い道のりも、最初の一歩を踏み出さないと始まらない。
- どんなことでも、一つ一つ確実に続けていけば成功する。
千里の「里(り)」とは長さの単位のことです。1里の単位は国や時代によっても違ってきますが、日本では約3.9km。千里だと約3900kmもの距離になりますね。
それだけの長い距離ということで、千里は「とても長い・遠い」という意味となります。
目的地がとても遠い場所でも、歩き出さないとたどり着けませんよね?そこから転じて、とても大きい計画や難しい仕事でも、まずは始めることが大切だと言っているんです。
中国の老子の言葉が由来
「千里の道も一歩から」ということわざは、「老子」が残した書物が由来となっています。
老子は古代中国、紀元前6世紀頃に活躍した哲学者。「道教」の祖ともされていて、後の中国にも大きな影響を与えた人物です。
その老子が残した書物の中(老子第64章)に、次の一文があります。
合抱之木,生於毫末;
九層之臺,起於累土;
千里之行,始於足下
▼意味
合抱(ごうほう)の木も毫末(ごうまつ)より生じ、
九層の台(うてな)も塁土(るいど)より起こり、
千里の行(こう)も足下(そっか)よりはじまる
- 「合抱の木」は両手で抱えるほど大きな木
- 「九層の台」は何層にも土が重なった高台
のこと。大きな木も筆の先ほど(毫末)の芽から生まれ、高台も小さな土を盛り上げることから始まります。そして遠い道のりも、足下から一歩踏み出すことから始まると、老子は説いています。
この中の、「千里の行も足下よりはじまる」が、後にことわざとなったわけです。
日本に伝わったのは?
「千里の行も足下よりはじまる」の言葉は、少なくとも鎌倉時代には伝わっていました。
鎌倉時代の「玉函秘抄(ぎょっかんひしょう)」という書物(金言成句集)に、「千里の行も足下からはじまる」という表現が残されています。
同じく鎌倉時代の「曾我物語(そがものがたり)」という書物(軍記物語)では、「九層の台は累土よりおこり、せんりのかうはいっぽよりはじまる」…と、足下ではなく、「一歩」という表現が使われています。
千里の道も一歩からの使い方
目標に向かってまずは始めること!

「千里の道も一歩から」は、大きな目標に向かって物事を始める時に使います。また本来の目標に対して、準備を始める時に使うのも最適ですね。
- 千里の道も一歩からと言われたので、毎日5分勉強するところから始めることにした。
- 成功したいなら千里の道も一歩からと心がけ、小さな仕事をこなすことを覚えなくてはならない。
達成したいことが大きいと、やらなければいけないけれどつい後回しにしがちです。そんな時に「千里の道も一歩から」と思い、できるところから始めると勢いがつきますよ。
- 一人で制作を始めたが、やがて仲間が集まり、10年かかってようやく完成した。やはり千里の道も一歩からだな。
このように、努力した結果、大きな成果をあげた人や事柄に対しても使われますね。
千里の道も一歩からの類語は?
ローマは一日にしてならず

千里の道も一歩からと似た意味を持つ西洋の言葉に、「ローマは一日にしてならず」があります。
ローマとは300年以上続いた「古代ローマ帝国」のことで、現在にも数多くの遺跡が残されています。現在にも通じるような高度な文化があったローマ帝国ですが、国が成立するまでには何度も侵略をうけたんです。
最初から強い国だったわけではなく、何百年もの積み重ねがあってのローマ帝国です。そのためローマは一日にしてならずは、努力の積み重ねによる結果だという意味で使われます。
一朝一夕
「千里の道も一歩から」に似た意味に、「一朝一夕(いっちょういっせき)」があります。
一朝一夕だけなら、ほんの少しの時間、あるいはすぐにできる…という意味になるので、千里の道も一歩からとは意味が違ってきます。
しかし一朝一夕は、「一朝一夕にはいかない」と、否定の言葉と付け加えて使われるんですね。
そのため、
- 少しの時間でできるものではない
- すぐにはできない
…と努力や積み重ねが必要だという意味で、使われる言葉です。
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まずは一歩踏み出すことが大切
時間がかかりそうな仕事やや大きな目標がある場合、面倒になって先延ばしにしがちです。しかし始めないことには、いつまでたっても終わりませんよね?
「千里の道も一歩から」は、まずは一歩踏み出そうと言っていることわざです。目の前のできることに取り組むのもいいですし、難しい資格なら簡単な段階から始めることも大切です。
目標の大きさに驚くよりも、まずは「第一歩」を踏み出して始めませんか?
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