字熟語やことわざの中には、困った時に心の支えとなる言葉がいくつもあります。特に四字熟語は座右の銘にしたいものが多く、実際に社訓などに採用しているところも多いんですね。

そんな座右の銘や社訓によく使われる四字熟語の一つに「不撓不屈(ふとうふくつ)」があります。文字を見るだけで心の支えとなりそうですが、どんな意味がある言葉なのでしょうか。

そこで、

  • 不撓不屈の意味や由来
  • 不撓不屈の使い方の例文
  • 不撓不屈の類語

…についてお伝えしていきますので、ぜひ覚えてくださいね!

不撓不屈の意味や由来

くじけず登っていく

不撓不屈はくじけない!

不撓不屈(ふとうふくつ)には、次の意味があります。

  • どんな苦労や困難があっても、くじけないこと
  • 苦労や困難が待ち構えていても、乗り越える強い意思を持つこと

不撓不屈の「撓(とう)」には、枝がしなって曲がる様子から「折れ曲がる・屈する」意味となりました。また「屈(くつ)」も「折り曲げる」という意味があり、くじけるという意味にもなりました。

しかし撓と屈の前に、打ち消しの意味がある「不」がつくことで、くじけないという意味に変化します。くじけないという意味が二つ重なる不撓不屈は、強い心を持って困難を乗り越える言葉となるんですよ!

漢書で登場した言葉

不撓不屈という言葉が最初に登場したのは、古代中国の歴史書「漢書(かんじょ)」です。

漢書の中の「叙伝(じょでん)」には、次の一文があります。

楽昌篤実、不撓不屈(がくしょうとくじつ、ふとうふくつ)
(楽昌侯となった王商は篤実で、不撓不屈の人だった)

(こう)」は皇帝などから授かる位の一つで、ここでは王商という人物が楽昌侯(がくしょうこう)を引き継いだことを表しています。「篤実(とくじつ)」は、懐が深く誠実さを表す言葉です。

そこから楽昌侯(がくしょうこう)を継いだ王商が、誠実であり、困難に負けない人物だと紹介しているんですよ。

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不撓不屈の使い方の例文

励ましの言葉として

不撓不屈は今現在困難な状況にいる人を励まし、後押しする時に使うと便利です。

  • 不撓不屈の精神で取り組めば、必ず業績は向上する。
  • 今は苦しいかも知れないが、不撓不屈で頑張るしかない。

くじけず頑張れば必ず結果に結びつくと、励ましの言葉となりますね。

TRYしていく

また「不撓不屈の精神」「不撓不屈の意思」とつけると、強い気持ちがより伝わりますよ。

  • 不撓不屈の精神で、相撲道に精進してまいります。
  • 不撓不屈の意思を貫くことで、恩返しとしたい。

最初の例文は、貴乃花関が1994年(平成6年)の11月に横綱に昇進したときの口上として述べた言葉です。この口上で「不撓不屈」を知ったという方も、いるかも知れませんね。

不撓不屈の類語

堅忍不抜(けんにんふばつ)

堅忍不抜(けんにんふばつ)は、次の意味を持つ四字熟語です。

  • 何があっても心を動かさず、じっと耐えること。

不撓不屈は困難に負けずに乗り越えようとしますが、堅忍不抜では困難に耐えつつ乗り越えようとしています。状況に負けず耐えていると表現したいなら、堅忍不抜を使いましょう。

七転八起(しちてんはっき)

「七転び八起き」とも表現される七転八起(しちてんはっき)は、次の意味があります。

  • 何度失敗しても、立ち上がってやり直すこと
  • 人生は良いときも悪いときもあるという例え

大変な状況で行き詰まっても、何度でも努力をすれば良いと言っています。よりわかりやすく伝えたいときは、「七転び八起き」のほうが伝わりやすいですよ。

七転八起と似た言葉に「七転八倒(しちてんばっとう)」がありますが、こちらは不撓不屈の類語ではありません。七転八倒は、「何度も倒れて苦しむ様子」を表す言葉です。困難から立ち上がる言葉ではないので、注意してくださいね。

【関連記事】
七転八起の意味や使い方の例文。七転び八起き・七転八倒との違いは?

為せば成る

為せば成るは、江戸時代の米沢藩主・上杉鷹山が残した言葉です。

上杉鷹山(1751-1822)は、江戸時代中期、財政難で苦しんだ米沢藩を立ち直らせた人物で、理想の上司として現代でも名前が上がる人です。

「為せば成る」は省略した言葉で、全文は次の通りです。

為せば成る為さねば成らぬ何事も成らぬは人の為さぬなりけり
(なせばなる なさねばならぬ なにごとも ならぬは ひとの なさぬ なりけり)

為せば成るは、次の意味があります。

できそうにない事でも、出来ると強い意志を持って取り組めば、必ず達成することができる

少し長い言葉ですが、座右の銘にピッタリですね。

なせば成る

【関連記事(座右の銘に良い言葉)】

不撓不屈の心で頑張ればやがて成果は出る

不撓不屈は、困難な状況でもくじけず努力しようという意味の四字熟語です。大変な状況になるとつい諦めてしまいたくなりますが、あきらめない心を持つことが大切だと言っています。

座右の銘にピッタリですし、どんな時でも心の支えと鳴ってくれる四字熟語ですね。よりわかりやすく伝えたいなら、「七転び八起き」と言いかえると伝わりやすいですよ。

どんな大変な時でも「不撓不屈」の心で頑張り、結果に結びつけましょう!

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