思い出を振り返ってみると、よく覚えてないけど楽しい思い出はたくさんありますよね。その一方で忘れたい失敗にかぎって、細部まで細かく覚えていることはありませんか?
そうした失敗した時だけよく覚えているのは、「ツァイガルニク効果」によるものなんです。聞きなれない名前ですが、実は身近なところで使われている効果なんですよ!
そんな「ツァイガルニク効果」について、事例も交えて紹介していきます。
ツァイガルニク効果とは?
ツァイガルニクとは心理学者の名前
ツァイガルニク効果は、旧ソビエト連邦の心理学者・精神科医のブルーマ・ツァイガルニク(1901-1988)が発見した心理効果のことです。
ブルーマ・ツァイガルニクは、自身の先生でもあった、ドイツの心理学者クルト・レヴィン(1890-1947)が提案した考えをもとに、実験を重ねて実証しました。
そのためツァイガルニクの名前を取って、「ツァイガルニク効果(Zeigarnik effect)」と呼ばれています。
ツァイガルニクの実験結果では?
ツァイガルニク効果とは次のようなことを表します。
- 人は達成出来た事柄よりも、達成できなかったり、中断した事柄のほうに記憶力が働く。
ツァイガルニクは、次のような実験を行いました。
- AとBの二つのグループに分け、いくつもの課題を出す。
- Aグループは全ての課題を最後まで行わせたが、Bグループは途中で終わらせて次の作業に移った。
- 全ての課題を終えたあとに、両方のグループに記憶力の内容を確認した。
実験の結果、途中で課題を終わらせたBグループのほうが課題をよく覚えていました。全て最後まで行ったAグループは、それほど課題の内容を覚えていませんでした。
これにより「中断したときのほうが記憶力が高まる」という、心理効果があることがわかったというわけです。
ツァイガルニク効果の事例
続きはCMのあとで!
ツァイガルニク効果は、とても身近なところで使われているテクニックなんですよ。
例えばテレビのバラエティ番組で、「CMのあとに衝撃の展開が!」というのを良く見かけますよね?こうなると気になってしまい、チャンネルを変えずに続きを見てしまうのではないでしょうか。
この「その後の展開が気になるので、そのまま待ってしまう」のがツァイガルニク効果によるものです。
ただし何でも「CMのあとで」としてしまうと、「実は大したことがなかった」と気にならなくこともあります。何度も同じことを繰り返すと効果は薄れてくるので、ここぞという時に使うことも大切です。
途中で勉強をやめるのも効果的
ツァイガルニク効果を勉強で応用するなら、「途中でやめる」ことを意識してみましょう。
例えば数学の問題集があるとして、5問あったとしたら、通常は5問全て解きますよね?しかし全て解くのではなく、3問だけ・4問だけ解いて、続きは明日行うようにします。
こうすることで「途中で終えてしまった問題」が記憶に残りやすく、効率よく覚えられるわけです。
読書でしたら、章の終わりまで読むのではなく、ページの途中で読むのをやめてしまうのも効果的です。続きが気になって明日も読むようになって、読書の習慣が身につきやすくなるんですね。
どの勉強においても「切りの良いところ」ではなく、「中途半端なところ」で終えると効果が出やすいということです。これもツァイガルニク効果の働きによるものなんですね。
恋愛でも活用!
失恋が忘れられないのは、途中で終わってしまった恋として「ツァイガルニク効果」が働くからです。実はこのツァイガルニク効果は、現在の恋人に対しても応用することが可能です。
例えばデートでは「朝から楽しい場所へ行って、できれば夜まで一緒に過ごしたい」と考えがちです。しかし一日中一緒に居るよりも、「もう少し一緒に過ごしたいな」ぐらいの早めの時間で終えるほうが良いわけです。
夕方ぐらいに「また今度」とデートを終えて、次の約束してみましょう。こうすると相手も「もっと一緒に過ごしたい!」という気持ちがより高まるもの。「ツァイガルニク効果」は恋愛にも効果的に使えるんですね。
ただし相手によっては強引にデートを続けようとしたり、諦めてしまうこともあります。人の性格は様々ですので、あまり引っ張りすぎないことも心がけてくださいね。
心の動きを活用しよう!
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人の心や動きについて考えたり分析する学問として、心理学があります。人の心なんてわからないと難しく思いがちですが、身近なところで心理学は応用されているんですね。
ツァイガルニク効果もその一つで、途中でやめてしまったことのほうがよく覚えている、というものです。テレビの「続きはCMで!」もツァイガルニク効果を応用したもので、これならよく見かけますよね。
ツァイガルニク効果を知っていると勉強にも活用しやすいので、まずは試してみませんか?
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