昔からある慣用句には、独特の言い回しをするものがありますが、「水入らず」も一見不思議な言葉の一つですね。
親子水入らず、家族水入らず、夫婦水入らず…といった使い方をしますが、何故“水入らず”なのでしょう?
そんな「水入らず」の意味や使い方、また類語についても順に紹介していきます。ぜひ参考にしてくださいね。
「水入らず」の意味や由来
ごく親しい関係だけで
「水入らず」という言葉には、次の意味があります。
- 内輪の者だけが集まり、他人を交えない状態のこと。
「内輪」とは、夫婦・親子・家族・親戚・仲間などのとても親しい関係のことを言います。
ただし「水入らず」における「内輪」は、家族・夫婦・親子といった本当に狭い範囲の関係を指すんですね。
そのため「水入らず」だけの単独では使いません。
- 夫婦水入らず
- 家族水入らず
- 親子水入らず
というように、家族のようなごく親しい関係同士で使います。
水入らずの由来
「水入らず」という言葉には、二つの由来があります。
油だけで水が入り込まない
一つめの由来は、水と油の関係から生まれたというものです。
水と油は一つの容器に入れても、上に油・下に水と分離します。また油だけ集まった状態に一滴水を垂らすと、水は弾かれてしまいます。
そこから仲が悪い関係のことを、「水と油」というようになりました。
親しい者同士が集まっている時に、無関係の者が混ざれば邪魔者扱いされてしまいます。親しい間柄の人を「油」に、無関係の者を「水」に例えたのが「水入らず」というわけですね。
盃をあらわなくてもいい関係
もう一つの由来は、日本酒の飲み方のマナーからきたというものです。
あらたまった席では、日本酒を「盃」を使って飲むことがあります。目上の方から盃を頂いて飲む場合は「献杯」、自分から盃をもらいにいく場合は「お流れ頂戴」と呼んでいます。
この時頂いた「盃」は水でゆすいでから返す、「盃洗(はいせん)」を行うのがマナーとされています。盃洗を行うのは、口につけたものをそのまま返すのは失礼だと考えたからなんです。
しかし盃洗では、受け取る側は「洗わなくていい」と返すのが作法となります。これは口をつけたことを気にしないということで、親密さを表しているからです。
そこから「盃を交わす時に水が必要ないほど親しい関係」を、「水入らず」と言うようになったというわけです。
水入らずの使い方
家族、夫婦だ、親子だけで…
先にご説明した通り、水入らずは、頭に「家族」「夫婦」「親子」をつけて使うのが一般的。次のような使い方をします。
- せっかくの銀婚式なんだから、夫婦水入らずで旅行に行きたい。
- 成人したら息子と酒を酌み交わし、親子水入らずの時間をすごしてみたい。
- 家族水入らずのところ申し訳ないが、トラブルが発生したので出社してほしい
仲の良い夫婦がふたりきりで過ごすときは、積極的に「夫婦水入らず」を使いましょう。また親子で過ごす時間を「親子水入らず」と表現すると、素敵な親子関係に見えますよ!
一方で家族揃って過ごしたいのに、仕事で邪魔をされてしまうこともあります。家族で過ごす時間に起こる様々なことを、「家族水入らず」を使って上手に表現したいですね。
水入らずの類語は?
団らんのひととき
水入らずに近い意味の言葉に、「団らんのひととき(団欒のひととき)」があります。特に家族で過ごす時間に関しては、「一家団らん」「家族団らん」と表現します。
団らんとは多くの人が輪を描いて座る事で、集まって楽しく話すこととなります。ひとときは少しの時間という意味なので、「輪を描いて座るように楽しく過ごす時間」となりますね。
和気あいあい
「和気あいあい(和気藹々)」とは、みんなが集まって楽しく過ごす様子を表す言葉です。
家族だけでなく友人・知人を交えて過ごすときは、和気あいあいを使うと便利です。またある程度親しい社員同士を表す時も、和気あいあいは良い表現となりますね。
水臭い
とても親しい関係なのに相手が遠慮するようなら、そんな状況を「水臭い」と表現できます。
「水臭い」とは、飲食物に多く水分が含まれ、味がうすい事を表しています。そこから転じて、よそよそしく他人行儀だという意味となりました。
ただし使う相手はあくまで親しい方に対して。遠慮しないでほしい時に使います。親しい友人で家族同然の「水入らず」な関係と言えるのに、相手が遠慮した時には使うのがピッタリですね。
他人が入るのは遠慮してほしい
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家族や親子であっても、性格が合わずに仲が悪いことはあります。しかし分かり合えるのであれば、家族・親子・兄弟では仲良くしたいものです。
もし身内で素敵な時間を過ごすのであれば、「水入らず」という表現を積極的に使いたいですね。「夫婦水入らず」といえばいつまでもラブラブな関係ですし、「家族水入らず」なら素敵な家族と言えます。
他人が入り込むのを遠慮したくなるような、水入らずの関係を夫婦・家族・親子で作りたいものですね。
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