2019年5月1日に新しい天皇陛下が即位され、令和の時代が始まりました。そんな中、早くも話題に上っているのが、女性天皇・女系天皇の是非について。
現在は男性の皇族だけが天皇となりますが、過去には女性天皇も存在していたんですね。その女性天皇と女系天皇とはどう違うのでしょう?
そこで、
- 女性の天皇と女系天皇の違い
- 歴代に存在した女性の天皇は?
- 女性が天皇になれない理由は?
…といった内容についてお伝えしていきます。ぜひ参考にしてくださいね!
女性の天皇と女系天皇の違いは?
女系天皇とは母方が皇族である天皇のこと

女性天皇とは、天皇が女性である時に使われます。現在は男性の皇族が天皇となっていますが、かつては女性の皇族が天皇となることもありました。
一方、女系天皇とは、母方は天皇や皇族の血筋ですが、父方が天皇や皇族の血筋ではない天皇のことを言います。天皇の性別は男性でも女性でもあてはまります。つまり、女系天皇=女性天皇というわけではないんですね。
そのため、天皇の血筋と性別によって、以下のように切り分けることができます。
- 血筋が父方の男性天皇 … 天皇
- 血筋が父方の女性天皇 … 女性天皇
- 血筋が母方の男性天皇 … 女系天皇
- 血筋が母方の女性天皇 … 女性天皇かつ、女系天皇
ただし、過去に即位されたすべての天皇は、父方の血筋が必ず天皇または皇族となっています(上記の1と2)。そのため「女性天皇」は過去に存在していましたが、「女系天皇」(上記の3と4)は、これまでに一度も存在していないんですね。
歴代に存在した女性の天皇は?

歴代の女性天皇は8人!
天皇は、2019年5月1日に即位された今上天皇まで、126代続いています。ただし同じ人物が2度天皇となったこともあるため、総数としては124人となります。
124人の天皇のうち、女性天皇は8人・10代となります。10代となるのは、2度天皇となった女性が2人いるからですね。
歴代の女性天皇を紹介!
次に、8人・10代の女性天皇を紹介しますね。
人 | ~代 | 女性天皇 | 読み方 | 在位期間 | 時代 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 第33代 | 推古天皇 | すいこてんのう | 592年~628年 | 飛鳥 |
2 | 第35代 | 皇極天皇 | こうぎょくてんのう | 642年~645年 | |
第37代 | 斉明天皇(※) | さいめいてんのう | 655年~661年 | ||
3 | 第41代 | 持統天皇 | じとうてんのう | 686年~697年 | |
4 | 第43代 | 元明天皇 | げんめいてんのう | 707年~715年 | 奈良 |
5 | 第44代 | 元正天皇 | げんしょうてんのう | 715年~724年 | |
6 | 第46代 | 孝謙天皇 | こうけんてんのう | 749年~758年 | |
第48代 | 称徳天皇(※) | しょうとくてんのう | 764年~770年 | ||
7 | 第109代 | 明正天皇 | めいしょうてんのう | 1629年~1643年 | 江戸 |
8 | 第117代 | 後桜町天皇 | ごさくらまちてんのう | 1762年~1770年 |
(※)重祚(ちょうそ)された天皇(再び即位された天皇)
■推古天皇
日本初の女性天皇で、父親は29代・欽明天皇、夫は30代・敏達天皇となります。皇太子に聖徳太子(厩戸皇子)を置き、、朝廷の改革を行いました。
■皇極天皇・斉明天皇
日本初の2度天皇となった人物で、最初の即位で皇極天皇・2度目の即位で斉明天皇となりました。
また生前のうちに天皇の位を譲った、初めての人物でもあります。ちなみに天皇の位を譲ることを「譲位」といい、再び即位することを「重祚(ちょうそ)」といいます。
■持統天皇
父は天智天皇(中大兄皇子)で、夫は天武天皇(大海人皇子)と、教科書に登場する人物と縁の深い方です。
■元明天皇
持統天皇の妹にあたり、夫は天武天皇の息子である草壁皇子となります。
■元正天皇
元明天皇の娘で、歴代で唯一「母から娘へと譲位された」天皇となります。
■孝謙天皇、称徳天皇
2人目の「重祚(じゅうそ)した天皇」であり、最後の重祚となります。
■明正天皇
859年ぶりに誕生した女性天皇で、母方の祖父は徳川2代将軍・徳川秀忠、叔父が3代将軍・家光です。
■後桜町天皇
現時点で、最後の女性天皇となります。明治7年に甥である後桃園天皇に譲位して上皇になりました。
女性が天皇になれない理由は?
法律で男性皇族のみと決められている
天皇及び皇族に関する法律「皇室典範(こうしつてんぱん、昭和22年法律第3号)」では、天皇となるには次の条件を満たすこととしています。
- 皇統に属する男系の男子
- 天皇の皇子及び嫡男系嫡出の子孫
参照リンク:皇室典範(昭和二十二年法律第三号)
皇統とは天皇の男性血統のことで、これにより男性の皇族だけが天皇となる条件を満たすこととなります。
また、
- 天皇ご夫妻の間に生まれた皇子(男の子)、あるいは
- 父が天皇の血筋である子孫
であることも求められます。
そのため「皇室典範」では、天皇ご夫妻の子供であっても、皇女(女の子)ですと、天皇にはなれないんですね。

「万世一系」という考え方がある
もし法律が変わって女性皇族が容認された場合、別の問題が生まれます。
それは「万世一系」(ばんせいいっけい)という、永久に一つの系統が続くという考え方がある点です。
すべての天皇は父方が天皇の血筋を受け継ぎ、2000年近く同じ一族が血を受け継いでいます。実はこれほど長く一族が続いているのは、世界的にも例がありません。
そのため今後も「父方が天皇の血を引くこと」が、強く求められています。
女性皇族が天皇となった場合、配偶者は一般の方となる可能性が強くなります。もし配偶者が天皇の子孫ではなかった場合、父方が一般の血筋なので「万世一系」は崩れてしまいます。
そのため女性天皇は避けるべきだ、という意見が強いわけですね。
じっくり見守りたい
かつては女性皇族も天皇となったことがありますが、その数は8人とごくわずかです。それも全て男系の血筋であり、生涯独身か、即位の際には未亡人でした。
現在は男性皇族のみが天皇となりますが、皇族の男性が少なくなっている現状の中、女性皇族が天皇となってもよいのでは?という意見もあります。
しかし長く続いた皇室の伝統を重要視するなら、女性皇族の天皇は反対という意見が多いのも事実。一言では言い切れない難しい問題ではありますが、今後の成り行きを見守りたいですね。
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