お盆の風習は地域や宗派によって様々。事前に準備が必要なことも多く、知らないと直前にあわててしまいますね。そんなお盆の風習の一つに、キュウリとナスの野菜を使った「精霊馬(しょうりょううま)」があります。

精霊馬とはどんな風習なのか?また何故キュウリとナスを使うのでしょう?

そんな「精霊馬」の意味や由来、そして作り方と飾り方について紹介していきます。お盆を迎える前ぜひ覚えてくださいね!

精霊馬とは?

キュウリとナスを動物に見立てる

精霊馬

精霊馬は「しょうりょう うま」と読みますが、仏教の風習で、お盆に「キュウリ」と「ナス」をお供えするものです。ただし宗派や地方によっては、お供えしないこともあります。

精霊馬ではキュウリとナスに箸を刺して足を作り、キュウリを「馬」・ナスを「牛」に見立ててお供えしています。

精霊馬の風習がない地方の人からすると、一見ふざけているようにも見えるかもしれません。しかしキュウリの馬とナスの牛は、お盆に帰ってくるご先祖様専用の乗り物なんです。

そのため気持ちを込めて作られ、お盆期間中は大切にお供えされ続けるんですよ!

精霊馬の意味や由来

お迎えは早い馬で、送るときは遅い牛で

ナスとキュウリを使った精霊馬

精霊馬は、お盆に戻ってくるご先祖様のために作られます。

キュウリで作った「馬」は、あの世から戻る時に、足の速さを活かしてすぐに家族に会えるようにと作られます。

一方の「ナス」の牛は、足が遅いので、あの世へ戻るのを少しでも遅らせる意味があるんですよ。また牛はたくさんの荷物を運べるので、お供え物を持って帰ってもらう意味も込められています。

なぜキュウリとナスなの?

精霊馬にキュウリとナスが使われる理由は、どちらも夏が旬の野菜だったからだと考えられてます。

仏壇には旬の物をお供えして、ご先祖様に感謝を捧げる風習があります。そのためお盆の時期に美味しくなるキュウリやナスを、お供えするのは自然だと言えますね。

しかもキュウリは馬、ナスは牛・・・と動物に見立てやすく、精霊馬として使われるようになったんですね。

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精霊馬の作り方

ナスとキュウリと割り箸で

精霊馬の作り方は簡単なので、親子で作ると楽しいですよ!なお地域や宗派によって作り方や飾り方は違うので、事前に確認しておくと安心ですね。

精霊馬

□用意するもの

  • キュウリ 1~2本
  • ナス   1~2本
  • 割り箸  野菜1本に対して1本

*キュウリやナスはなるべく新鮮なものを用意しましょう。
*割り箸が無い場合は、つまようじ・マッチ棒・竹串などでも可
*野菜に対して割り箸が太く長いと感じたときは、つまようじなどを使いましょう。

この他にカッターナイフなどの、割り箸を切り落とせるものを用意すると便利です。

□作り方
  1. ナスとキュウリは洗って汚れを落とし、水気をしっかり拭き取る。
  2. 割り箸を使う場合は、四等分する。
  3. 割り箸などを足に見えるように刺す。
  4. 試しに立ててみて、倒れないようなら完成。

キュウリは少し曲がったものを、ナスは太めのものを使うとより牛や馬に近づけられます。馬や牛の写真を見ながら足の位置を決めると、より動物らしく仕上がりますよ。

□精霊馬を作ろう!
https://youtu.be/RxirTk4dEyM

*地域によっては、尻尾を作ることもあるんですよ!

精霊馬の飾り方

精霊馬は、盆棚(ぼんだな)または精霊棚(しょうりょうだな)にお供えします。盆棚や精霊棚はお盆の時期に、ご先祖様にお供えをするために使う小さなテーブルです。

お仏壇の前に置くのが一般的ですが、地域によっては玄関に置くこともありますね。

「盆棚」に精霊馬をお供えするときは、お盆の時期によって頭の向きを変えます。

お盆の初日はご先祖様をお迎えするので、頭を仏壇に向けるようにお供えします。最終日はあの世に戻る日なので、お尻を仏壇に向けるようにお供えしましょう。

精霊馬を飾る時期は?

精霊馬を飾る時期は、お盆の4日間です。地域によってお盆の時期は異なりますが、以下の日にちが一般的ですね。

  • 7月13日~16日(新盆:7月がお盆の地域)
  • 8月13日~16日(旧盆:8月がお盆の地域)

関連記事:新盆・初盆の読み方や迎える時に行う事。盆提灯はどうする?

13日には迎え火を焚く地域も多く、この日に精霊馬の顔を仏壇に向けてお供えします。16日には送り火を焚き、精霊馬も外向きにお供えし直すんですよ。

お塩で清めて処分をしよう

お盆が終わると精霊馬もお役目を終えるので、感謝を込めて処分します

処分方法は地域で異なり、

  • 送り火で燃やす
  • 川に流す
  • お寺に奉納する

など様々です。

もし処分方法が決められていないときは、塩でお清めをしてから半紙で包んでゴミとして処分します。夏に常温保存した野菜はいたんでいる可能性があるので、食べるのはあきらめましょう。

お盆にご先祖様をお迎えしよう!

【関連記事】

霊馬はお盆の飾り物で、キュウリやナスで馬や牛を作ってお供えします。

  • 「馬」は足が早いので家へ帰るために
  • 「牛」は足が遅いのでゆっくりあの世へ帰るために

作られるんですね。

最近ではSNS上で、リアルな馬やバイク・車の形に精霊馬を作る人も多く見かけます。素朴な形の精霊馬でもご先祖様は戻ってきてくれますし、大切なのはご先祖様を思う心です。

お盆に新鮮なキュウリやナスで心のこもった精霊馬を作り、お供えしませんか?