日本語の中には音で聞くとわかりづらく、文字で書かれても意味がわかりづらいものがあります。また自分を一段低くした表現を使うこともあり、意味を理解しないと受け止め方に悩んでしまいますよね。
そういった言葉の一つに「曲がりなりにも」というものがあります。なんとなく意味は分かっていても、どのような場面で使うと良いのか、少し難しい言葉かもしれませんね。
そんな「曲がりなりにも」の意味や使い方、また似た意味を持つ類語について紹介していきます。ぜひ覚えてくださいね!
「曲がりなりにも」の意味は?
完全ではないが・・・

「曲がりなりにも(まがりなりにも)」は、次の意味がある言葉です。
- 不完全ながら
- 不十分であろうが
- 完璧ではないが
- どんなに悪かろうが
どこか足りない部分や、頼りない部分はあることを、「曲がりなりにも」と表現しています。ただしこの「曲がりなりにも」のあとに続くのは否定する言葉ではなく、期待や肯定となる言葉です。
- 不十分ではあるが、なんとか頑張っている。
- 完璧ではないが、物事をこなしている。
- どんなに悪かろうが、頼まれた物事は片付けている。
このようなマイナス要素もあるが、プラスの評価をしてほしい時に、「曲がりなりにも」は使われるんですね。
言い間違いに注意!
「曲がりなりにも」という言葉は、「曲がり形(なり)にも」とも書きます。木材などが「曲がった形(かたち)」をしていても、使えるということからこの言葉となりました。
時々「まがいなりにも」「紛いなりにも」と言う人がいますが、これは間違い。また言葉の由来についても、「紛い物が変化して」という意味で理解している人もいますが、これも違いますので注意しましょう。
「曲がりなりにも」の言葉の使い方は?
不安はあっても、それでもこなせる

「曲がりなりにも」という言葉は、次のような場面で使われます。
- 曲がりなりにも社会人となったのだから、自分で判断できるだろう。
- 古いけれど曲がりなりにも自動車なのだから、歩くよりは早く移動できる。
- 曲がりなりにも教授なので、学生よりは信頼できますよ。
どこか不安が残るが、それでも物事はこなせる時に、「曲がりなりにも」は使われます。その為、使われた相手が不快に感じることもあるので、できれば他人に対して使わないほうが無難ですね。
一歩引いた表現として
自分自身を表現したり、身内を評価するときにも「曲がりなりにも」は使われます。
- 頼りないとは言われますが、曲がりなりにも社長ですのでその点はご安心ください!
- 娘は曲がりなりにも大学を出ているため、私よりは優秀ですよ。
- 曲がりなりにも家を構え、ようやく大黒柱と呼べるような存在になれた。
自分や身内を表現する時に、「劣っている部分があるが…」と一歩引いた表現を使うことがあります。こうした謙遜表現は日本人らしいとも言えますが、謙遜のしすぎは逆効果となることもありえます。
さらには例え親しい間柄であっても、否定する表現は気持ちの良いものではありません。謙遜表現は時と場合を考えて、使いすぎないように注意してくださいね!
「曲がりなりにも」の類語は?
なんとか・なんとかかんとか
「曲がりなりにも」の類語に、
- 「なんとか(何とか)」
- 「なんとかかんとか(何とかかんとか)」
があります。
「なんとか」は、「はっきりしない物事を例える時」に使うことがあり、「”なんとか”というお店」のように用いられます。実はこの意味とは別に「努力する」という意味もあるんです。こちらの意味が「曲がりなりにも」の類義語となります。
「なんとかかんとか」は、「なんとか」を強調する言葉。「何とか彼んとか」とも書きますね。

どうにか・どうにかこうにか
「どうにか」は、「不十分ながらも最低限の条件を満たしている」ときに使う言葉です。
「どうにかこうにか」とした場合は、「どうにか」を強調した意味となりますね。
かろうじて
「かろうじて」は、「余裕のない、ぎりぎりのところで実現する」という意味があります。時間制限や期限がある状態で実現・達成できた時に使うと、ぴったりですね。
さしあたり
「さしあたり」は今現在に限っては上手くいっているが、将来のことは考えていない状態を指します。そのため「今は成り立っているがその先はわからない」といった時に使うと、より的確ですね。
「曲がりながらにも」は使いどころに注意
「曲がりなりにも」という言葉には、対象となる物事が完璧ではないという表現が含まれています。それでも物事をこなし不十分ながらも対応出来ている時に、この言葉は使われるんですね。
また、実際は実力があった場合でも、自分や身内を一段低く表現するときにも「曲がりなりにも」は使われます。ただし場面を選んで使わないと、相手も自分も低く見られてしまうこともあるので注意してくださいね!
曲がりなりにも努力を重ねているのですから、時には自信を持って自分を表現してみませんか?
コメントを残す