料亭で出される日本料理は美しく、目でもお腹がいっぱいになりますよね。一方で料亭での「懐石料理」は、作法や格式の高さにとまどってしまうこともあります。
ところで、懐石料理と同じ読み方の料理に「会席料理」があります。また同じように格式のある料理として「本膳料理」もありますが、これらは出される料理や作法など、どう違うのでしょうか?
そんな気になる、本膳料理・懐石料理・会席料理の違いについて紹介しますので、参考にしてくださいね!
本膳料理とは?
作法と儀式と
本膳料理とは日本料理の提供の仕方の一つで、作法に則って食べる料理のことを言います。「食事をとる」ことそのものに儀式的な意味があるため、献立や食べ方・服装などの決まりごとが多いんです。
本膳料理は室町時代の武家の作法をもとに誕生し、江戸時代に今の形に整えられました。しかし明治時代に入ると次第に廃れて、現代では冠婚葬祭で見かける程度となっています。
例えば結婚式で、新郎新婦が「三三九度」を行いますよね。これも本膳料理の一つで、男女が合計9回お酒を口にすることで夫婦の契を交わしているんです。

本膳料理の出し方
本膳料理ではお膳が5つ、一度に並んで出されます。
- 本膳(一の膳)
- 二の膳
- 三の膳
- 四の膳
- 五の膳
…と呼ばれますが、それぞれのお膳には乗せる料理が決められています。「一汁三菜」「二汁五菜」「三汁七菜」などあり、献立に従って乗せられます。
一汁三菜は普段の料理でも聞きますが、これは「汁物一つに副菜(おかず)三つ」を指す言葉ですね。
意外と大変
かつての本膳料理は目で楽しみ、実際には食べないお膳もありました。また最初に酒を酌み交わす儀式を行い、別の部屋に移動してお膳が出されたという記録もあります。
さらには食べる合間に能を楽しんだり、3日間に渡って行われたとの記録も残っています。このような儀式的要素が強い点が、現代では廃れてしまった理由かも知れませんね。
懐石料理とは?
お腹を温めるように

懐石料理とは、お茶の席で出される料理のことを言います。
これはお腹を満たしておくことで、よりお茶の味を楽しめるようにという気づかいから生まれたものです。また空腹でお茶を飲むと気分が悪くなる事があるため、その予防のために出された側面もあります。
懐石料理という名前の由来ですが、温石(おんじゃく)という懐に入れて暖をとる石から取られています。食事でお腹を温めるから、「懐石」料理となったんです。
あくまでも軽食
懐石料理で出される料理は一汁三菜で、1品ずつ出される特徴があります。これをゆっくりといただき、食事の雰囲気も同時に楽しむからです。
またお腹いっぱいになる量は出さず、あとで頂くお茶が楽しめる余裕が残るようにします。
現代ではお茶の席ではなく、料亭などで独立して懐石料理が出されるのが一般的。また本格的な日本料理が懐石料理という解釈のもと、たくさんの料理が出されることもありますね。
会席料理とは?
本膳料理を簡略化した料理

会席料理は本膳料理を簡略化したもので、お酒の席で楽しむ本格的な料理のことを言います。元々は俳句を読む人たちが集まる「会席」で、俳句を楽しんだ後に出された食事だったんです。
現代では料亭や婚礼の席で出される料理となり、格式ある日本料理のフルコースという認識となっています。
お酒の席で楽しむのが会席
人が集まった席で出される料理という部分では、懐石料理と会席料理は似ています。
読み方も同じで間違えやすいですが、会席料理ではお酒が出されるという点に違いがあります。また懐石料理ではご飯が先に出されますが、会席料理では汁物とともにご飯は最後に登場するんですよ。
本膳料理・懐石料理・会席料理の違い、まとめ
最後に、本膳料理・懐石料理・会席料理の特徴や違いをまとめてみました。
料理 | 特徴や違い |
---|---|
本膳料理 |
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懐石料理 |
|
会席料理 |
|
出される形式で料理を楽しもう
懐石料理と会席料理は読み同じということもあり、同じ形式の料理だと思いがちですが、目的に違いがあります。
懐石料理はお茶を味わうために軽く食べるもの、会席料理は主にお酒の席で出される料理です。そして本膳料理は作法に従って食べる格式高い料理で、現代では三三九度の風習などで一部で見かけるのみとなっています。
とは言え、懐石料理と会席料理については、最近では日本料理店でもそれほど区別しなくなりました。お酒の付いた懐石料理が用意されているところもありますね。
それぞれの目的は違う料理だということを理解したうえで、美味しい日本料理を楽しみたいですね。
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