
京都には他の街にはない、独特の風習がたくさんありますよね。「京言葉」も、柔らかな響きと京都らしい意味が込められていて素敵です。
そんな京都の言葉で戸惑うことがあるのが、「おいでやす」と「おこしやす」です。京都の宿やお店で良くかけられる言葉ですが、この2つの言葉にはどんな違いがあるのでしょうか?
そこで、「おいでやす」と「おこしやす」のそれぞれの意味や違い、そして使い分けについて紹介しますので、ぜひ参考にしてくださいね!
「おいでやす」と「おこしやす」のそれぞれの意味と違い

おいでやすとは?
「おいでやす」は、京言葉で「いらっしゃい」という意味で使われます。この他には「待っていたよ」と、客を気さくに出迎えるニュアンスで使うこともあります。
お店に一歩足を踏み入れると、店員さんが「いらっしゃいませ」と声をかけてきますよね?これの京都版が「おいでやす」だと覚えておくと、わかりやすいですよ。
おこしやすとは
「おこしやす」は、京言葉で「ようこそおこしくださいました」という意味で使われます。「わざわざ遠くから来てくださいましてありがとうございます」という、もてなしの意味も込められています。
そのため旅行客の立場ですと、予約した宿やお店で女将や店員さんからかけられる言葉になりますね。
「おいでやす」と「おこしやす」の違いは?
「おいでやす」も「おこしやす」も、お客様をもてなす言葉ではあります。
しかし「おいでやす」は、すべてのお客に対して「いらっしゃいませ」と声をかける時に使われます。中にはそれほど歓迎していない客に対して、一応の礼儀として使うこともあるんです。
一方で初めて来た方を歓迎する言葉としても、「おいでやす」が使われます。
この違いを判断するのはむずかしいのですが、「いらっしゃいませ」と言われてると判断すれば安心ですね。
一方の「おこしやす」は、遠くから来た方を歓迎するもてなしの言葉として良く使われます。ここでは予約客など、約束をした上で訪れる客を心から歓迎する意味が込められています。
「おこしやす」は、「おいでやす」よりも丁寧で、より「あなたを歓迎しています」と伝える場合に使われます。逆に言うと、予約をして訪れたのに「おいでやす」と言われたら、あまり歓迎されていない事も考えられますね。
ただし、「おいでやす」と「おこしやす」を、それほど区別せずに使う人もいます。その為、実際はわかりづらい部分もありますが、どちらで言われても、歓迎の言葉だと受け止めれば大丈夫ですよ。
「おいでやす」と「おこしやす」はどのように使い分ける?

おいでやすを使う場合
「おいでやす」がよく使われるのが、京都のお店を訪れたときです。
○ようこそ、おいでやす。
京都の伝統的なお店に入ると、まずお店の方からこう声をかけられます。お店の人は「いらっしゃいませ」の意味で、おいでやすと使っています。
「おじゃまします」と会釈をして、買い物や見学をマナーを守って楽しみましょう。
○手ぶらでおいでやす。
京都育ちの知人・友人と京都で会う約束をした時に、このように言われることがあります。意味は「手土産とかいらないので、気軽に遊びに来てね」となります。
本当に気心の知れた親しい友人なら、その言葉に甘えて手ぶらで遊びに行っても良いでしょう。ただし社交辞令として「手ぶらで」ということもあるので、一般的には手土産は用意するのがマナーですよ。
おこしやすを使う場合
「おこしやす」には、特に強いおもてなしの意味が込められています。
○ようおこしやす。
何度か足を運んだことがあるお店では、このように出迎えてくれることがあります。これはお店の人が、大切にしたいお客様だと思ってくれているんです。
今後もより良い関係を保つために、こちらもより良い客でありたいですね。
○遠路はるばる、ようこそおこしやす。
予約を取った上で京都の旅館へ行くと、このような言葉でお出迎えしてもらえることがあります。「遠くからようこそいらっしゃいました」と、旅の疲れをねぎらう温かい言葉でもあるんですよ。
○またおこしやす。
お店を出る時にかけられる言葉で、またのご来店・ご宿泊をお待ちしておりますという意味です。社交辞令として言われることもありますが、柔らかく言われると気持ちが良いものですね。
京都の言葉は奥深い
京都のお店で言われる「おいでいやす」と「おこしやす」は、どちらも「いらっしゃいませ」という意味があります。
「おいでやす」は来客全てに声をかけるような、「いらっしゃいませ」という意味で使われます。またそれほど歓迎していない客に対しても、「おいでやす」ということがあります。
一方の「おこしやす」はおもてなしの意味が強く、旅館などで予約客に対して、または顔なじみの客に対して使われることが多いです。
京都を旅行する時には「おいでやす」と「おこしやす」の違いも楽しみ、より「おこしやす」と言われたいですね!
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