日本語の中には、漢字の読みが難しいものがあります。漢字から推測できればいいのですが、時には全く違う読みをするものもありますよね。
普段何気なく使っている言葉にも、実は漢字と読みが繋がらないものがありますが、その中の一つが「流石」です。
読み方も気になりますが、「流石」という言葉にはどんな意味があるのでしょう?
そんな「流石」の読み方や意味、由来、そして使い方も例文を交えて紹介します。
流石の読み方や意味は?
「流石」の読み方は「さすが」です。「りゅうせき」ではないので気をつけてくださいね。
その「流石」の意味は、次のものとなります。
- 予想通りあるいは期待通りの結果となり、そのことに感心する。
- 自分が予想していた通りになり、そのことについて納得する。
- その内容は認めるが、肯定したくない。そのことに対して反する気持ちを表す。
1番と2番は、相手を肯定し褒めるときに使われる言葉。3番は、相手や物事は肯定したいが気持ちとしては認めたくない。あるいは物事自体が良いものとは言いたくないため、褒めつつも否定したいときなどに使われます。
一見するとどれも相手を褒めたり、肯定するときに使う言葉ではあります。しかし発言の前後や内容を確認しないと、相手への皮肉や否定の意味で使っていることもあります。
相手から言われたときや自分が使うときは、意味を理解した上で上手に使いたいですね。
流石の言葉の由来は?
中国の故事から
流れる石と書いて「さすが」と読み、感心したり少し反発する意味を持つのはどうしてなのでしょうか。それは古代中国のある故事が元になっているからなんです。
もともと中国には、「枕石漱流」(ちんせきそうりゅう)という四字熟語がありました。その意味は「石を枕にして眠り川の水で口を漱ぐ(すすぐ)ような、世俗から離れて暮らす」というものです。
ある時、孫楚という政治家が、一線を退きたいと友人に悩みを打ち明けました。その時、間違って「漱石枕流」(そうせきちんりゅう)と言ってしまいます。
友人が「それは枕石漱流では?」と指摘したものの、孫楚は反発してしまいます。
それを聞いた友人は、うまいことを言ったものだと、あきれつつも関心しました。
このことから「枕石漱流」とは別に、「漱石枕流」という四字熟語も使われるように。そしてこの四字熟語から2文字をとった「流石」を、感心や反発しつつも認める意味として使うようになったんですね。
ちなみに、何故「流石」と書いて「さすが」と読むのか?ですが、日本に「そうはいっても」という意味の古語で「しがすかに」という言葉があったことからきています。この「しがすかに」が変化して「さすがに」となり、ここに中国から伝わった「流石」を当てはめたというわけです。
そのため音と読みが合わない、当て字となってしまったんですね。
夏目漱石というペンネームにも
「漱石枕流」という字を見ると、あの夏目漱石の「漱石」だと気づいた方もいるかもしれませんね。
実は夏目漱石はペンネームで、この漱石枕流の逸話から「漱石」の名前を頂いたものなんです。由来を知った上で使ったとは思いますが、選び方が面白いですね。
「流石」の使い方
流石の使い方は、大きく分けると
- 「肯定的な意味」
- 「やや否定的な意味」
に別れます。
予想通り素晴らしい
肯定的な意味では、次のように使われます。
- いくつも賞を受賞しただけあって、あの料理人の料理は流石の味だった。
- 流石、名探偵!迷宮入りかと思われた事件をあっという間に解決!
名探偵も料理人も、事前に素晴らしい能力を持っていることは知っていました。その上で実際にその素晴らしさを目にして感心したときに、「流石」と使うんです。
すごいけれど
一方で流石には、やや否定的な表現として使われることがあります。
- 流石の名医でも、恋の病は治せないだろう。
ここでは名医ではあるがそれでも治せないものがあると、やや否定した表現になります。
- 筆が早いと言われる作家でも、流石に一晩で作品を仕上げるのは無理だった。
こちらでも作家の能力は認めるものの、そもそも無理だったということを表現しています。
また相手に皮肉を言いたいときにも、流石という言葉が使われます。
- 事件があるときにしか役に立たないなんで、流石、探偵さんといったところですね。
こちらでは探偵に対して役立たずだと、遠回しな表現として使っています。
流石と言われるように
「流石」という文字だけを見ると、「さすが」とは読みにくいかと思います。しかしこれは当て字なので、そういうものだと割り切りましょう。
四字熟語を言い間違えたことから生まれた「流石」は、相手の素晴らしさを褒めるもの。その一方ですごいけれど反発したいときなどに、皮肉を込めて使われることもあります。
意味や使い方に注意して使えば、きっと相手も「流石!」と褒めてくれますよ!
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