お正月は一年の始まりということで、特別な風習が数多くあります。しめ縄もそうですし、初詣や初日の出も特別な風習と言えますよね。
そんなお正月の風習の一つに、「若水」というものがあります。
地域によっては馴染みのない風習ですが、どういうものか気になりませんか?
そんな「若水」の読み方や意味・由来、また似た言葉である「変若水」との違いについてもあわせてまとめてみました。ぜひ参考にしてくださいね!
若水とは?読み方は?
若水とは?
若水とは1月1日(元日)に汲み上げた最初の水のこと。「わかみず」と読みます。
他にも、「はつみず」「あさみず」と読んだり、「初水(はつみず)」「福水(ふくみず)」「一番水」「初穂水」と呼ぶ事も。
そしてこれらの水を汲む事を、「若水汲み」または「若水迎え」などと呼んでいます。
若水とはどのようなもの?
若水汲み(若水迎え)は、1月1日の早朝に井戸から水を汲み上げるもの。地域によっては家から歩いていける範囲で、一番遠い井戸へ行く事があります。
この時に他の人と会わないようにする必要があり、また会った時も口を聞いてはいけない地域も。井戸に米や餅などのお供えをしたり、お祝いの言葉を言いながら汲み上げる風習もあります。
若水を汲みに行く人にも決まりがあり、
- お正月の準備を担当する男性で、主にその家の家長
- 台所を担当する、その家の女性
…のどちらかが行くのが一般的です。
特に「正月は女性を休ませるもの」とする地域では、女性は一切若水汲みに関係しないこともあります。
井戸水が使えない場合は?
かつては井戸水が生活用水として活用されていましたが、現在は上水道が発達しています。そのため、若水のために井戸水を利用することが難しくなり、若水の風習が行いづらい部分もありますね。
そこで井戸水の代わりに湧き水を汲みに行ったり、自宅の水道水で代用することもあります。
いずれの場合でも、元日の最初の水なので、”若水”として扱われるんですよ。
若水の意味や由来は?
若水の由来は?
現在の若水は、「元日の一番最初に汲んだ水」のことを指します。しかし元々は、「立春の日に汲んだ水」のことを指していました。
若水および若水汲みの風習は、平安時代にはすでに宮中で行われていたものです。当時は立春が1年の始まりで、この日の朝一番に担当者が井戸から水を汲み上げました。
そしてこの水を使った朝食と水そのものを、天皇に献上していたんです。
やがてこれが庶民にも広がり、1年の始まりが1月1日となり若水の風習となりました。
若水の意味や使い方は?
一年で一番最初にくんだ水である若水には、邪気を払う効果があります。また「若い水」と書くように、若返りの効果があるとも考えられていました。
さらにはお正月に各家庭にやってきて厄払いをしてくれる、年神様とのご縁がある水という側面も。
そのため、「若水」には福を呼び込んで一年を平穏に過ごせる効果が期待できるんですよ。
そんな若水の主な使い方ですが、まずは神棚へお供えします。年神様へのお供え物とすることで、一年がより良い年になるんですよ。
その他の使い方としては、
- 口をすすいでお清めとする。
- 正月に食べるお雑煮の水として使い、厄払いを行う。
- 黒豆・昆布・梅干しなどを入れた煎茶「福茶」を入れるのに使う。
…など、お正月の食事などに利用します。
特に福茶は健康や長寿・無病息災に飲むもので、黒豆も昆布も梅も縁起の良いもの。それぞれからダシも出て美味しそうなので、お正月に取り入れたいですね。
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変若水との違いは?
若返りの秘薬!?
若水と似たものに、「変若水(おちみず・をちみづ)」があります。
変若水は飲むことで若返るとされる水のことで。中国の信仰が伝わったものです。
実は変若水は月の信仰とも深く結びついています。というのも月は一定期間で満ち欠けを繰り返すため、「不死と再生」を象徴するという考え方があるからです。
日本神話でも月の女神「月読命(ツクヨミ)」が、「をち水」という若返りの霊水を持つ存在に。また万葉集でも「年老いた人に、ツクヨミが持つをち水を飲ませたい」という内容の歌がいくつも残されていますね。
万葉集が成立したのは奈良時代末期から平安時代初期にかけてで、収録されている作品もそれ以前もの。そのため、変若水の言い伝えが、後の若水の風習へつながった可能性が高いと言われているんですね。
一年の始まりに若水を!
若水は1月1日に最初に汲んだ井戸水のことで、厄払いの効果があると言われています。この水は井戸でなければだめというものではなく、現代では湧き水や水道水で代用することもあります。
地域によっては男性が汲みに行ったり、人と会っても挨拶してはいけないと行った風習も。そうして手に入れた若水は、お雑煮に使うなどして一年の健康を願うものです。
最近ではあまり行われなくなった元日の若水ですが、一年の厄除けに取り入れてみませんか?
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