日本は季節によって、様々な表情を見せる国です。春・夏・秋・冬の四季はもちろん、春の中でも初秋と晩秋では気候が違いますよね。
そんな細かな季節の違いを表す言葉に、「二百十日(にひゃくとおか)」と「二百二十日(にひゃくはつか)」があります。一見して日付のように思われるこれらの言葉ですが、どのような意味があるのでしょう?
そこで、
- 二百十日と二百二十日の意味
- 2023年の二百十日と二百二十日はいつ?
- 二百十日と二百二十日の風習
…についてご紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
二百十日と二百二十日とは?意味は?
雑節の一つ
二百十日(にひゃくとうか)と二百二十日(にひゃくはつか)は、雑節の一つです。
雑節とは、通常のカレンダーや、1年を二十四等分する二十四節気とは別に、季節の移り変わりをより的確にわかりやすくするための目安となる暦のこと。
二百十日・二百二十日以外では、節分・彼岸・社日・八十八夜・入梅・半夏生・土用も、雑節に当たりますね。
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農家の厄日とされていた
- 二百十日は、立春から数えて210日目に当たる日のこと。
- 二百二十日は、立春から数えて220日目に当たる日のこと。
いずれも現在の9月初め頃となり、風が特に強い日のため警戒が必要だとされています。
実は二百十日と二百二十日は、八朔(はっさく)を加えて「農家の三大厄日」とされているんです。
八朔とは「八月朔日」を略したもので、朔日とは「1日」のこと。旧暦8月1日のことを指し、今の暦ですと、年によって変わりますが、8月下旬~9月下旬にかけて。やはり9月の初め頃となります。
コメ農家にとって9月の強風は、実った稲が倒れて品質に影響を及ぼしてしまうもの。そのため特に風の強い日に備えて、稲が倒れないよう対策を取る必要がありました。
昔は天気予報が発達していなかったため、日付で「特に風が強い日」と注意を促していたんですね。
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実際の季節と少しずれがある?
注意してほしいのは、雑節及び二十四節気は「旧暦(太陰太陽暦)」にて使われていたものという点です。
旧暦は月の満ち欠けをもとにした暦で、明治時代に入るまで使われていた暦。現在使用している暦は「太陽暦」で、太陽の動きをもとにした暦となります。
旧暦は現在の暦とは1ヶ月程度のズレがあり、実際の季節と違うと感じられる点も。
二百十日・二百二十日は、現在の太陽暦では9月初め頃となりますが、この時期は8月下旬頃や9月末頃に比べると、むしろ強い風・台風が特別多いわけではありません。
これは、旧暦では今の太陽暦にあてはめると、1ヶ月ほど日にちにずれが発生することがあるため。年によっては台風や強い風の時期にあたったこともあると思われます。
これなら強い風の警告も納得できますね。
2023年の二百十日と二百二十日はいつ?
2023年(令和5年)は、
- 二百十日は9月1日(金)
- 二百二十日は9月11日(月)
となります。
この日付は毎年固定されているわけではなく、年によって違うこともあります。今年はいつになるか?という算出方法は簡単。立春を1日目として数えて210日目が二百十日。そして立春から数えて220日目(二百十日の10日後)が、二百二十日となります。
2023年の立春は日本時間では2月4日。その立春の日を含めて210日目を数えると9月1日、220日目は9月11日になりますね。
尚、立春は2020年までは毎年2月4日となり、そこから数えるだけなので毎年同じ日だと思いがち。しかし4年に一度「2月29日」が挟まる「うるう年」があるため、うるう年だけは一日ズレることになります。
近年のうるう年は2020年(令和2年)ですが、この年の二百十日は1日早くなり8月31日、そして二百二十日は9月10日となるんです。また、2021年以降2056年までは「うるう年の次の年の立春」が2月3日となりますので、その年も一日ずれることになります。
*表にすると次の通りです。
年 | 二百十日 | 二百二十日 | 備考 |
---|---|---|---|
2018年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2019年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2020年 | 8月31日 | 9月10日 | うるう年 |
2021年 | 8月31日 | 9月10日 | うるう年の翌年も一日ずれる(2056年まで) |
2022年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2023年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2024年 | 8月31日 | 9月10日 | うるう年 |
2025年 | 8月31日 | 9月10日 | うるう年の翌年も一日ずれる(2056年まで) |
2026年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2027年 | 9月1日 | 9月11日 | |
2028年 | 8月31日 | 9月10日 | うるう年 |
二百十日と二百二十日の風習は?
風祭りとおわら風の盆
二百十日と二百二十日は、特に風が強いとされている日。そのためこの時期には、風を鎮めるお祭りが各地で開催されています。
その中でも特に有名なのが、富山県八尾町で行われる「おわら風の盆」です。
おわら風の盆は、毎年9月1日から3日にかけて開催される盆踊り。風を鎮めるお祭りと、お盆の盆踊りが一つになったものと言う説が有力なんですよ。
盆踊りといえば賑やかなイメージがありますが、おわら風の盆はとても静かなもの。その美しさに魅了される人も多く、毎年25万人以上の方が訪れるほどです。
*歓声がためらわれるほど、静かに進行するお祭りなんですよ。
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他にも夏の時期を中心として、風を鎮める祭り(風鎮祭)が全国各地で行われますよ。
■代表的な「風鎮祭」
- 龍田大社風鎮大祭【奈良県生駒郡三郷町】7月第1日曜日
- 高森風鎮祭【熊本県阿蘇郡高森町】8月中旬頃の金土
- 伊和神社風鎮祭(油万燈)【兵庫県宍粟市】8月26日
- 彌彦神社風神祭【新潟県西蒲原郡弥彦村】二百十日の日(9月1日か8月31日)
- 川北神社風鎮祭【山口県下関市】9月1日
- 貴船神社風鎮祭【福岡県行橋市】9月1日・2日
- 大祐神社風鎮祭【青森県八戸市】7月中旬の土日
防災の日
二百十日と二百二十日は、台風の季節で農家の厄日とされてきました。とりわけ9月の台風は勢力が大きく、過去にも様々な被害が。
更に9月1日といえば、「関東大震災」が発生した日。そのため、毎年9月1日は「防災の日」となっています。
3月11日の「東日本大震災」の発生日から、およそ半年となる9月1日。防災グッズのチェックは半年に1度が目安のため、9月1日に改めてチェックしたいですね。
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二百十日と二百二十日は、風に備えて
二百十日と二百二十日は、強風や台風に注意すべき日とされています。かつて使われた暦で見れば、ちょうどこの時期は台風が訪れる時期。
現在の暦でみた場合も、台風が上陸すれば大きな被害が出やすい時期となっています。
また二百十日に当たる9月1日は防災の日にもあたり、防災意識を高めるきっかけとなる日。暦の上でのことだからと軽視せず、二百十日や二百二十日に防災対策を見直しませんか?
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