5月下旬から7月にかけて、しとしとと降り続ける梅雨は少し困った季節。しかし農作元の育成には欠かせない雨ですし、この季節を楽しむ心構えも必要です。
そんな梅雨で使われる言葉の一つとしてあげられるのが、「入梅」(にゅうばい)というもの。
また、入梅に関連して「入梅いわし」と言う言葉も聞くことがありますが、どういうものか気になりませんか?
そこで、
- 入梅の意味
- 2023年の入梅
- 入梅いわしとは?
- 入梅の候の時期や言葉の使い方
について順に紹介していきますので、ぜひ参考にしてくださいね!
入梅の意味
入梅(にゅうばい)と言う言葉には、二つの意味があります。
雑節の一つ

その一つは暦の上で使われる言葉で、「雑節」の一つに数えられるものです。
雑節とは季節の移り変わりを把握するために、二十四節気を補う形でつけられたもの。二十四節気とは一年を24等分して名称を付けたものですが、その二十四節気を補うのが雑節なんです。
有名な節分や八十八夜も雑節ですが、入梅はこの雑節の一つ。その意味は「梅の実が熟して、梅雨が始まるころ」というものです。昔の農家は入梅を田植えの目安として使っていたため、重要な日だったんですね。
ただし雑節の入梅は、暦の上での梅雨入りを表すもの。そのため暦の上では梅雨入りとなっても、実際の天候は梅雨入り前の事もあります。
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梅雨入り
一方で実際に梅雨入りすることも、「入梅」と表現します。
これは梅雨入りの漢語表現にあたるもので、気象庁から梅雨入りの発表があった時点で「入梅」になります。「梅雨入り」と言う表現が一般的にはよく使われますが、関東の一部地域などでは梅雨の季節全体を「入梅」と表現します。
ちなみに梅雨明けの事を「出梅(しゅつばい)」とも言いますが、こちらはあまり使われませんね。
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2023年の入梅はいつ?

2023年(令和5年)の入梅は、6月11日(日)です。
かつて入梅は、二十四節気の一つ「芒種」から数えて最初の「壬(みずのえ)」の日としていました。
「壬」とは10日周期でめぐる暦「十干」で使われる言葉で、この場合ですと6月10日の前後。ただしその範囲は10日程度とかなり広く、あまり精密ではなかったんです。
現在の入梅は、「太陽黄経(たいようこうけい)が80度となった日」が該当。この場合は、6月11日前後となります。
ちなみに、太陽黄経とは、地球を中心に天体が回っているとする暦や占いでの考え方。この中で黄経は、1年かけて太陽が十二星座の間を一周する道の事を言います。この時、春分の日の時にあった太陽の位置を、黄経0度に設定。一年かけて黄経を移動する中で、ちょうど80度の位置に達した日が入梅となるんですね。
入梅いわしとは?
イワシの旬
入梅に関連して良く聞かれる言葉の一つに、「入梅いわし」というものがあります。
6月頃の鮮魚売り場で、「入梅イワシ、入荷しました!」と言う表示を見たことがあるかもしれませんね。
入梅いわしはイワシの品種名ではなく、梅雨の時期に取れるイワシ全般を指す言葉。イワシは6月からの時期が旬で、脂が乗って特に美味しくなります。

ちなみに千葉県銚子市では、例年6月中旬から7月にかけて「銚子うめぇもん入梅いわし祭」(ちょうし うめぇもん にゅうばい いわしまつり)が開催されます。新鮮なイワシの漬け丼や天ぷら、つみれ汁などが味わえるんですよ。
*こちらは過去に制作されたCMですが、ボリューム満点で美味しそうですね!
入梅の候の時期や言葉の使い方は?
梅雨入りしてから
雑節の入梅は、季節の挨拶としても使われます。特に手紙での挨拶では、季節感が出せて便利ですね。
挨拶文として使う「入梅の候(にゅうばいのこう)」は、入梅の季節である6月に使うのが最適。ただし実際に梅雨入り後に使う言葉なので、6月でも梅雨入り前・梅雨明け後には使用しません。
また梅雨入りが早まった5月や、梅雨入りが遅れた7月の挨拶には使わないほうが無難です。さらに梅雨のない北海道への手紙には、入梅の候を使わないようにしましょう。
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入梅の候の使い方は

手紙の挨拶文などで入梅の候や入梅を使う場合、次のように使うのが最適です。
※ビジネス文章のテンプレートとして使えますね。
※少しやわらかい表現です。目上の方への改まった手紙として使えます。
※友人への手紙で季節感を出すのにぴったりです。
しばらくは雨の季節を楽しもう!
入梅は暦の上での梅雨入りを表す言葉で、農作業の目安として活用されてきました。
6月11日前後が入梅となり、実際この時期には梅雨入りしている地方も多いのではないでしょうか。
気象での梅雨入りも「入梅」と表現しますし、季節の挨拶にも使われる言葉。梅雨入りするとじめっとした日々が続きますが、イワシが旬を迎えて美味しく味わえるなどうれしいことも。
梅雨が明ければ夏ももうすぐなので、しばらくは雨の季節を楽しみましょう!
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